第3話「シーズン開幕」
オーストラリア、アルバート・パーク・サーキット。
1年前、F2で戦った場所に今度はF1選手として戻ってきた。
決勝レーススタートを待つ24台がグリッドに並んでいた。
『昨日の予選は最高だったな!いきなりトップ10入りなんてな!』
「開幕前のテストでほとんど走れなかったから不安だったけど、10位スタートっていう結果はやっぱ嬉しいよ。」
『このあとの決勝も、ポイント獲得目指して頑張ってくれ。期待してるぞ。』
「わかった。」
1周のフォーメーションラップを終え、グリッドに戻って来る。
「大丈夫、大丈夫。俺なら表彰台だって行ける。」
そう言って自分を落ち着かせる。
シグナルが5つ灯り、一斉に消える。
F1シーズン開幕戦が始まる。
スタート直後は大混戦。
接触寸前、もしくは接触しているバトルが至る所で起こる。
それを切り抜け、一つ順位を上げる。
『OK、9位だ!先は長いぞ、頑張れ』
「了解」
アンドリューもスタートダッシュを決め、4位に順位を上げていた。
そして、松下の前には一緒にデビューした永野駿がいた。
『前は永野だ。抜くなら行け。』
モーターブーストのスイッチを押す。
わずかにストレートスピードが伸びた松下が前に出る。
そして、第11コーナーでイン側に飛び込む。
これで松下も8位に上がった。
タイヤ交換も済ませ、レースは折り返しへ。
しかし、このチームの悪いところが少しずつ見え始める。