第2話「故障」
場所は変わり、中東のサーキット、バーレーン・インターナショナル・サーキット。
ここではF1の開幕前公式テストが行われていた。
すでにほとんどのチームが走行を開始し、コースを周回していた。
しかし、松下のガレージだけはパーティションで目隠しがされていた。
「松下すまない。燃料の噴射システムにトラブルが出てしまった。今、修理しているから、もう少し待っていてくれ。」
「わかった。直るまで待ってるよ。」
30分の修理作業の後、ようやく、サーキットを走ることができた。
『本当にすまなかった。ここからは周回を重ねてマシンに対する理解を深めてくれ。』
「了解」
4周ほど周回した時、マシンの異変に気づいた。
「なんか、リアが滑る。なんかダウンフォースが足りない」
『OK、確認する。』
その間もフラつきながら走り続ける。
「滑ってる!」
『今原因が分かった。リアウィングのDRSシステムが作動したままだ!ただちにピットに戻ってきてくれ』
「Oh No〜」
ピットに戻って来る。
『本当にすまない。トラブル続きで周回できずに。』
「しかたないよ。去年からF1に来たんだから。データも足らないもんね。」
『…本当に申し訳ない。』
結局、その後もトラブルが続き、3日間のテストはほとんどをピット内で過ごした。