ヴィクトルvsエレオノーレ(前半)
「負けて悔しがるアメリアを観戦していたヴィクトルは彼女の中にまぶしい過ぎ去った過去
を視ていた。 幼なじみアメリア、数年間彼女が離宮をに滞在していた際に、毎日のように遊んだ少女。
間違いなく初恋だったが、彼女の天才故にオレは惚れていたのだろうか?
彼女は同年齢でありながら、常に頭の回転が速く、天才王子と褒められていたヴィクトル異常に頭も回り、秀逸な才能をヴィクトルに見せつけていった。
彼女はまぶしかったのだ。 ヴィクトルは常に努力して、その歩調を合わせて居たが、アメリアはそ知らぬ顔で一歩先を行く。
「アメリアはいつだって先を行く存在だった。追いつきたくて、必死に努力していたが……彼女は、そんなことを意にも介さず、さらに先へ進んでいく。
それが悔しくもあり、まぶしくもあった。
だが、エカテリーナに出会った瞬間、何かが変わった。
彼女は、まるで"オレがたどり着くべき未来"のように思えたんだ。」
だが、そんな関係にも変化が訪れる……
初めて訪れる彼女二年ほど前にこの城を訪れた、魔道公女エカテリーナ・彼女こそが運命の相手だと思った。 アメリアを嫌いになったわけではない。ただ、オレには最早エカテリーナ以外の女性を選べなくなっていただけだ。
ならば、期待に応えなければならない、アメリアを見ながら思うーー
オレも格上と戦ってみたい!?
この場に居る中で圧倒的な格上、剣の勝負でも勝てない相手が望ましい、それはーー
シスター・エレオノーレその人だった……
「エカテリーナがいなければ、俺は今もアメリアを追いかけていたかもしれない。
でも、そんな世界はもう存在しない、ヴィクトルは静かに覚悟を決めて、シスターの前へと立った。
その様子を見た場が静まりかえる。
「まるで、時間が止まったかのようだった。誰もがその言葉の意味を測りかねているのか、一瞬の沈黙が流れる」
「やがて、誰かが小さく息を呑む音が聞こえた。それが合図となったように、場の空気が張り詰めていく。」
「シスター・エレオノーレ、オレは貴女と戦いたい」
唐突なヴィクトルの発言に場が騒然とする? あまりにも異質な勝負、審判としてこの場を裁定していた。エレオノーレ野目が一瞬細まったが、すぐにはいつもの笑顔を取り戻す。
「殿下ーーわたくしはシスターです、確かに光り魔法一流、殿下では魔法対決では分が悪すぎますが?
「分かっている、だからこちらは剣、でやらせてもらう。
そちらは何を使っても構わない。
「正気ですか? それはご命令となのでしょうか殿下? いかに命令であれど、殿下に光魔法を向ける程……
いえ、私にも立場があります。剣での勝負ーー殿下相手なら私は物理においては格下かもしれませんね、ですが負けるとも思えません。
殿下は、魔法剣を使っても構いません」
「いや、はじめは純粋な剣技で挑みたい、負けると感じたら抜かせてもらおうか?
受けてくれるなシスター・エレオノーレ」
ご命令とあらば、立場上受けぬ訳には参りませんね。 アメリア様審判を交代お願いします。 十分強いと思います殿下、その心意気には感服いたしますが
……相手が悪いときもまたあるものですよ?」とエレオノーレはいつもの笑顔を浮かべながら内心の分からない言葉を紡いだのだった。
幼い頃の記憶だ……まだ現役だった頃の彼女エレオノーレ……
「彼女は過去に、魔法騎士たち数十人を相手に、ただの"杖"一本で制圧したことがある」
「光魔法の権威でありながら、剣の扱いにも通じ、"魔法剣士ですら敵わない" と囁かれている」
「戦い慣れたヴィクトルですら、彼女の前に立つと"まるで剣を構えることすら許されない" かのように錯覚する。」
「エカテリーナを守るために、俺はこの剣を磨いてきた」
「この剣がエカテリーナを救う力になるなら、どんな無謀な相手にでも挑む」
「ならば、私はただ剣を交えるだけ。――あなたが"戦う理由"を持っているのか、試させてもらいましょう。
「剣を交えるだけで、あなたの覚悟がどれほどのものか……見極めることができるでしょう。」
「エカテリーナ様のために鍛えた剣……ならば、その想いが"本物"かどうか、試させてもらいます。」
その台詞を聞いたアメリアはピクンと肩をふるわせたが、それ以上の反応はしなかった。
「ならば、私はただ剣を交えるだけ――あなたが"戦う理由"を持っているのか、試させてもらいましょう」
「剣を振るうだけなら誰でもできる。だが、本当に"誰かを守る剣"になれるのか……それを見極めさせてもらいます」
「俺の剣は、果たしてエカテリーナを守るに値するのか……?」
「俺が強くなれば、彼女を守れるのか? それとも、どれだけ鍛えたところで、届かないのか?」
「本当に、この剣でエカテリーナを守れるのか?」
「オレは彼女を守ると言いながら、実は"彼女に認められたいだけ"なんじゃないか?」
「それを確かめるために、この戦いが必要なんだ……!」
「俺の剣は、果たしてエカテリーナを守るに値するのか……?」
「俺が強くなれば、本当に彼女を守れるのか? それとも、どれだけ鍛えたところで、届かないのか……?」
「剣を振るうことに意味はあるのか……それを、今、知りたい。」
エレオノーレ視点ーー
城の訓練場。見守る者たちの息を呑む視線の中、二人が向かい合う。
進み出る二人、魔術師同士に比べれば距離が近い常置で向かい合う二人、それがエレオノーレの剣士としてたたかう姿勢を感じさせていた。
アメリアのやや興奮した声が響くーー始め、彼女はヴィクトル辛子線を外すのを辞められないようにそれだけ言い放った。
静寂。
観客のざわめきも収まり、戦場には剣士としての二人の存在だけが浮かび上がる。
(さて……どれほどの腕前か、確かめさせていただきますわ、ヴィクトル殿下)
エレオノーレは仕込み杖の柄を軽く握る。対するヴィクトルはすでに大剣を構えており、今にも斬りかかろうとする気迫を纏っている。
場に満ちる喧噪は終わり、静寂その後に……
殿下の気概は十分二伝わりましたわ、私の魔法抜かせてみなさいな? 進化としてではなく、今は剣士として貴女の前に立ちましょう?
「いい覚悟だ……行くぞ!」
一瞬の沈黙。そして、大剣が風を切り裂いた。
ズンッ! 大地を叩きつけるような強烈な一撃。訓練場の石畳が砕け、砂煙が舞い上がる。
だが、そこにエレオノーレの姿はなかった。
「……なっ!」
彼女は剣閃が届く寸前にすでに横へ回り込み、ヴィクトルの背後を取っていた。
「悪くはない一撃ですわね。ですが、剣というのは、速さと正確さがあってこそです」
悪くない一撃だとおもう、エレオノーレはすでに、仕込み杖で、抜刀の構えを取っている。 抜きはしない。まずは初手はカウンター。
小手調べね、とエレオノーレはおもった。殿下の剣技はすでに知っている。最後に見たのは二ヶ月ほど前か? あれからどれだけ伸びているか? 若干楽しみつつあることに自分でも驚いていた。
強烈な体験での一撃ーー先手を取ったヴィクトルの剛剣
衝撃波すら伴うその一撃。しかし——
スッと、おぼろのように静の動作から、杖を構えるエレオノーレ……
姿が霧のように消えた。
「エレオノーレは、ヴィクトルの剛剣が振り下ろされる直前、すでに重心をずらしていた。彼の視界の中に"残像"を作るような動きで、あたかもそこにいたかのように錯覚させたのだ」
「なっ……!?」
気づけば相手は、軽やかに間合いの外へと跳んでいた。
まるで紙一重で躱したのではなく、最初からそこにいなかったかのように——。
「あら……もう攻撃されたのですか?」
攻撃すらしない、エレオノーレは思う、ヴィクトルの攻撃は悪くはないと評価、将来立派な王子として、いや、王か? まあ、彼は大成する。 その予感が読み取れる。だがーー
彼女は努めて涼しげな微笑みを浮かべ、仕込み杖を軽く回した。
「悪くはない一撃ですわね。ですが、剣というのは、速さと正確さがあってこそです」
エレオノーレは静かに仕込み杖を抜く。鞘が弾けるように吹き飛び、細身の刃が月光のように輝いた。
「では、わたくしの番ですね」
シャッ!ーー鞘から抜き放ち抜刀等同時に奔る鞘走りによって加速する初手……
まだ本気ではないが、最初の一撃こそが最も鋭い武器としての特性上だ。
杖の先端が僅かに伸びる。刃が露出し、極東の刀のような形となる。
それは剣でもあり、魔法の触媒でもある。
ーー殿下、どこまでついてこれますか?
ヴィクトルのナイフが瞬時に、長さを変えて長剣になる。同時に大剣もそれに応じて収縮、二刀流だ。 がら空きになった。胴体への一撃をはじき返した。
鋭すぎる一撃に対しては賭けだったがなんとか防ぎきった。
シャッ! 一閃。速すぎる抜刀が、ヴィクトルの肩に僅かな傷を刻む。




