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王子ヴィクトルと、王女シャーロット

さて、もう一章ブブカ気負えたので、ペースを上げていきましょうか?

「さて、準備ができましたね? それでは、エカテリーナ様に来賓として登場していただくため。


 アメリア様もここまででお下がりください。


 ヴィクトル様の婚約者として今宵の主賓として、大々的に紹介される予定なのでアメリア様がおられると皆混乱してしまいますよ?

 口調が笑っている者の目というか笑顔が怖いのは相変わらずのシスターだった」



 エレオノーレはアメリアを誘導するためか意図的とも思える元婚約者の部分の婚約者だけをはっきりと強め聞こえるように発音した。


 言葉にはどこか冷ややかな響きがある。

 それを意識しているのか彼女は笑顔の裏に何かを隠しているように思えた。



「まあ、私が居ては勘違いされてしまうわね。 それではこれにて失礼させていただきますね。 シスター・エレオノーレ」


 ーー貴族の令嬢らしくうやうやしく優雅に一礼して退出していった。



 しかし、優雅な一礼の背後には悔しさを隠しきれない表情があった。

 それでもアメリアは堂々とした足取りで自分から部屋を後にした。


 彼女の足取りは堂々としていたが、その背中からは敗北の重みが見え隠れしていた。

 自分を奮い立たせるように、握りしめた拳が微かに震えているのを誰も気づかなかった。



「さて、それではここから私についてきてくださいね」

 エレオノーレが歩き出す。

 私は彼女の後をついていくが、心の奥で何かがざわついていた。

(本当に……このまま進んでいいの?)

 計画のことが脳裏をよぎる。 

 シャーロットを撒いて、ヴィクトルを殺す。

 それが今夜の使命ーーだがそれでいいのか?

(でも……今夜、私は本当に皇太子妃として「見せ物」にされる……)

 背筋がぞくりとした。

 扉の向こうで、貴族たちのヒソヒソとささやき会う話声が聞こえる。

 ――まるで競りに出される商品のような気分だった。



 それに続くように、貴賓室から隣の部屋へと移動する。


 一見行き止まりにしか見えない謎の小部屋に、案内されわずかに警戒心が働く。

が、エレオノーレに殺意は視えないし、部屋の構造がややおかしいところに興味が行く。

 さも当然のようにエレオノーレが、床の出っ張りに足を乗せると部屋が振動し出す。



 床がわずかに沈む感覚とともに、周囲の壁が滑るように動き出した。

 まるで部屋そのものが生きているかのようだった。


 こんな仕掛けが存在するなんて、まるで絵本の中の冒険のようだ?

 部屋全体が動いている感覚に、生き物の中にでも居るようで思わず息を呑んだ。


「ルキア名物、魔法で動くエレベーターです。 珍しい仕掛けなので初めてかもしれませんが、どうかごゆるりと……」


「えれべーたー? と聞き慣れない単語を反芻すると、ゴトリと言う音を立てて、扉の外に一気に大勢の気配を感じさせる」


 この喧噪は、部屋ごとの移動?

 まるでおとぎ話のようなからくりに、戸惑っていると、さて、ここでしばらく待機命令を受けております。


 しばらくお待ちください。 と言って出入り口を伺うエレオノーレ、彼女ソファへと誘導されてちょこんと座った。



 静かな部屋に座ると、これからの婚姻の儀について考えずにはいられなかった。

 自分の役割が終わる瞬間を想像し、胸の中に不安と緊張が交錯する。

 この待ち時間の間、止めどなく恐ろしい胸騒ぎと妄想が頭を交錯する。

 もうすぐ自身の仕事ーー暗殺を実行する第一段階へと突入するはずだった。


 手持ち無沙汰気味で外から聞こえる喧噪に耳を澄ます。


 大勢の大衆の喧噪を感じる物のどこか品がある騒がしいタイプの喧噪ではなく、

 ささやき会う広間が広がっているのが感じられる。


 おそらく外にいるのはほとんどが貴族なのだろう?

 まるで競りに出される商品のような感覚にとらわれる。


「大丈夫です、単にヴィクトル様の婚約者として哨戒されるだけです」

「それって、品定めとかされますよね?」



「まあ、多少は……ですが、エカテリーナ様は十分な素質があります。

 誰も異論を挟むことなどできないでしょう?」


 私、エレオノーレもついております。

 大丈夫です。そう堅くならず力を抜いてくださいな」

 丁重にもてなされて、少しずつ力が抜ける。大丈夫と反芻して言い聞かせるように流れに従う。


「さあ、お時間です。 出番が回ってきましたよ、このまま私に続いてください」

 言って扉から出て行くエレオノーレ。


 それに従って、式場へと入室する。


 その瞬間、待合室とは違った明るい部屋へと通される。

 天井には無数の水晶のシャンデリアが輝き、壁には緻密な彫刻が施された黄金の装飾が並ぶ。 幾十日のレースのカーテンを抜けた先にある広間へと案内される。


 広間に集う人々の衣装はどれも豪華絢爛で、煌びやかな宝石が煌めいた。


 部屋に入室した瞬間ーー照明がいったん落ち、スピットライトがこちらに集中する。

 わずかに目がくらんだのを我慢し、公女としての堂々とした立ち振る舞いを意識する。


 私は意を決して、光の中へと足を踏み出した。

 エレオノーレが静かに告げる。

「今宵の主賓、未来の皇太子妃候補、魔導公女エカテリーナ様の入場です!」


 一瞬ーー会場が一瞬静まり返る。 無数の視線を浴びて、一瞬心が折れそうになるが、耐える。 まるで私の一挙手一投足を監視するような、突き刺さる視線が痛い。

(まるで、裁かれる罪人のような気分……)


 そして、次の瞬間ーーもう一つのスポットライトが光った。 目がくらみ前が視えなくなる。

「続いて、我が国の皇太子ーー ヴィクトル殿下の入室です」

 明かりを浴びる扉が開く。

 ーーその瞬間、私の心臓が跳ねた。


 ――なぜなら、彼の目は、氷のように冷たかったから」


 その視線は、まるで私ではなく、別の何かを見ているようだった。

 (この視線……何かがおかしい……)


 一瞬、背筋が凍る。

 私は微笑もうとした。だが、その瞬間、彼の視線が突き刺さり、喉が凍りついた。


 まるで、目の前に立っているのが「私ではない」かのような……そんな錯覚に陥った。

 その視線は公女エカテリーナを通じて別の誰かを捉えているようだった?


 「――なぜなら、彼の目は、氷のように冷たかったから」

 その視線は、まるで「ここにいるはずのない存在」を見ているようだった。

 これが、私の役割。でも……私、本当に、この場にいていいの?

 まるで、私はこの場にいるべき存在ではないような――そんな錯覚に陥った。

 見透かされるような視線を受けて心臓が跳ねる。

 だが、私の都合など知らないとばかりに状況は進行していく。



 エレオノーレがヴィクトル、入場を張り上げるとそれが会場全体へと反響した。

 何かの魔法だろうか?

 怖気づきそうな心を必死に押さえ込み、深く息を吸った。

 今だけは、公女エカテリーナとしての役目を果たさなければならないーー!



  目を開けて前を見る、視線の中に一際異様な雰囲気を纏った男の姿が目に入った。

 彼の冷たい瞳が怖い、背筋が凍るような拒絶感。


 そちらに視線をした瞬間ーー続いて、我が国の皇太子ーーヴィクトル殿下の登場です。


 ーーと、鳴り響く声に従ってスポットライトがもう一方へと集中する。


 そこには貴族らしい端整な顔立ちに、まだ、若輩だが、青年と言える静観としなやかさを備えた体つきを持ち優雅な装飾に身を包んだ。



 騎士風でかつ、王子を連想させる装飾ーー少しくらめな藍色の髪、並び立てばアメリアとおそろいとも髪色体格、風貌の青年が立っていた。



 女性達がそちらに目を奪われ始めるのと反対に、男性達はこちらから視線を動かさない。



「それではふたりのウエディングスタイルをご観覧あれーー!


 ーーと、青年はこちらに近寄ると、優雅な仕草で手を取り、ゆったりと歩き出した。

 だが、その冷たい瞳に、失望の光が宿っているのが私には分かった。


 何故……私は何かしたというの?

 彼の冷たい瞳に、まるで全てを見透かされるような圧力を感じた。


 まるで私が彼の期待を裏切ったかのような眼差し。

 その瞳には義務と諦めが渦巻いているように見えた。



  「やはりかーー」虚無感を感じさせる一言のつぶやき……



 ヴィクトルは私の手を取るが、その瞬間、彼の指先がわずかに震えた。

 それは、一瞬の動揺か、それとも……

 彼の視線が一瞬、私の瞳に釘付けになった。そして、ふっとわずかに眉をひそめる。

 私の手を取る彼の指が、一瞬だけわずかに震えた。その動揺は、一体何を意味するのだろうか?

(なぜ……まるで、私が別の誰かであることを確信したかのような……?)




 そのままロイヤルロードを歩いて行く。

 手を引かれエスコートされながらーー流れに身を任せる。 エスコートは男性側の役割だというが、見事にこなしてのける彼は流石破王子様と言える。

 それに比べて私はただ、されるがままに従うことしかできない!


 客観的に視て私はさぞ人形のように写ることだろう。

『ダメだ、もっとエカテリーナを演じきらないと、貴方はどういう女性なの? エカテリーナ? その瞬間刻印がともったような輝きとともに私の目に意識が宿った気がした?


 残念ながら事前の台本などは一切ないため、全てをヴィクトル様に任せる形になる。


 次に何が起こるのかも知らされていない中で、ただ彼の手に引かれる自分があまりに頼りなく思えた。


 遠くから聞こえる楽団の演奏が、かすかな緊張感を一層高めていた。

 そんな中を優雅な仕草を意識しながら歩く。


 階段をゆっくり降りると、会場の中心ーー大広間だ。


「それではここで、ヴィクトル様と、新王妃エカテリーナ様のダンスをとーー」


 言いかけたところで、こちらへと視線を向けるエレオノーレに、そんなの分からないと言った意味の視線を返す。 と、アイコンタクトが通じたのか流れが変わる。



「ーーと、それでは、剣の舞ーー剣舞を披露していただきましょう?」



 やや強引な流れで言い放つエレオノーレに、そっちもよく分からないです。

 ーーとツッコミを入れそうになるが、すれ違うように後ろへ下がったエレオノーレが

 昼間のようにやればそれらしく見えますよ!


 ご自分の技量を信じなさい。 ーーと、エレオノーレささやいた」



「それでは相手をさせていただく、ルキア第一王子ヴィクトルがーーエカテリーナ嬢にお相手願おう!?

 こちらはもとより儀式剣であるーーレイピアを構えるが、ヴィクトルは優雅な仕草でに長剣を鞘から抜き放ったーー!」




 ヴィクトルは遠慮なく、小手調べのように軽めの一撃を繰り出す。


 これが公女にすることなの? と軽い抗議を抱きながらそれを受け流し。

 剣を会わせるようにステップする。

 残念ながらダンスや剣舞の知識はなくぶっつけ本番だ。



「ヴィクトルの剣は軽やかに空を切り、その軌跡が弧を描く。エカテリーナであるはずの私は焦りながらも右に身をかわし、その一撃をぎりぎりで受け流すーー!

 優雅な動きを意識しながら、舞い踊るようにステップを刻んでいく。 その間にもエカテリーナであろうと暗示を掛けるのを辞めないーー!」


「剣と剣が交わるたび、金属音が広間に響く。

 ヴィクトルとくらべて動きがぎこちない自分に気づき、体の動きを滑らかにしようと努力する。

 刃を重ねる度に自身の動きが洗練され研ぎ澄まされていく感覚、相手がうまいのか自分ができるのか、それすらも分からない! ただ必死にギアをあげてステップを早く刻み続けるーー!」


「手加減するつもりはない、覚悟するんだなーー!?」と先ほどより幾分和らいだ表情になり微笑むヴィクトルは余裕の態度を崩さない。


「これがルキアの第一王子の力だ。 君の限界を見せてくれーー!?」


「この場で失敗すればエカテリーナとしての威厳が損なわれる。

 けれど、この剣が重く感じるのは、自信のなさからかそれとも彼の視線の鋭さからか?」


 自信のなさから後ろへと視線を送るとーー 


「後ろで控えるエレオノーレが、小さくうなずくのを見て少しだけ勇気が湧いた?」



 徐々にテンポを上げていくテンポと断続的な金属のぶつかり合い、同時にステップの速度が上がっていく。



 目に入る観衆達は見惚れるように感心した視線を向けてくるので、なんとか安堵しつつ、速度を上げる剣舞を舞う。


「やるな、だが、私もまだまだ本気ではない。 気を抜いたら怪我では住まないぞ!」


「婚約者を斬り殺しても貴方の評判が落ちるだけだと思いますが、ヴィクトル殿下!?」


 あまりに挑発されたので、普段はまず言わないような強気な挑発が口をついて出た。


「なるほどその活きだ。ついてこれるかな? 流石エカテリーナだ。そのを名乗るならばついてこい!」


 すれ違いざまに会話をささやき合う。


「最初は剣の重さが負担だったが、観衆の視線やエレオノーレの合図に支えられ、徐々に剣を振るう動きが自然になっていくーー?」



「少しだが、息が上がって居るぞ、公女よ。 ホントに斬り殺してほしいのか?」

「いえ、殿下ーーまだまだ行けますわ」


 場の雰囲気に流されて自分とは思えない発言が続く。



「剣舞のテンポが上がるたびに、恐怖よりも楽しさを感じ始めた自分に気づく。


 ヴィクトルの剣先が滑るように近づき、反射的にソフィアは身を翻してかわした。

 その直後、彼の剣が空を切る音が耳に響く」


「ソフィアは剣を大きく振り上げ、風を切るような動作で相手の剣を受け流す」


「観衆の中で一際目立つ赤いドレスの女性が、微笑みながらソフィアに拍手を送るのが見えた」


「隅で見守る兵士たちが、小声でヴィクトルの技量について語り合う声が聞こえる」


「ーーさて、フィナーレだ。 勝負を決めさせてもらうか、余興は終わりだ!」


 その瞬間私の放った剣技を腰を押しして下げ、たまった力を身体をバネのように伸ばすことで、必殺の一撃を放つヴィクトル。


 ヴィクトルは、まるで舞台の主役が幕を下ろすかのように優雅な動きで剣を振るい、ソフィアの剣を弾き飛ばした。 その一連の動作にまるで迷いがない。


 剣技がそこまでではない私では反応できずに、ヴィクトルの意図して狙ったであろうレイピアの柄にヒットする。


 弾き飛ばされたレイピアが宙を舞い床へと突き刺さる。

 

 弾き飛ばされた剣が宙を舞う様子を目で追いながら、自分の未熟さを痛感した。

 だが、なぜかその敗北は悔しい、というよりも、清々しいものに思えた。


「負けはしたが、最後の一瞬、彼の剣筋を読み切った」

 順当な実力差、魔導師型である私の資質野問題が大きいので、彼について行けるだけで行幸だとは思うが……

 



 その瞬間ーー拘束で足払いをを掛けられ、転倒とする寸前ーーヴィクトルに身体を支えられる用に抱き仕留められて、剣舞は終了する。


 彼の剣技には、ただの勝敗を超えた美しさがあった。その瞬間、敗北が悔しいどころか、むしろ誇らしいとさえ思えた。


倒れる寸前、無意識にヴィクトルの腕に頼る自分に気づき、悔しさが込み上げる野は止められない。


 身体を支えられながら、目の前にあるヴィクトルの瞳を見上げる。

彼は見つめ合うように視線を交わしながらーー



「ふむ、悪くない。次に戦うときは、もっと鍛えた剣で挑んでくれ」

そう言い残してヴィクトルが観衆に一礼すると、拍手と歓声が沸き起こった。


 そこでスポットライトがいったん落ちる。


「だが、今夜の試練はこれで終わりではない 公女の力とは、剣技だけではないだろう?

 嫌君の特性から言えばここからが本番か、無様な様はさらしてくれるなよエカテリーナ?


 ヴィクトルの視線が、何かを確かめるように鋭く光った。

 まるで"ここで本物のエカテリーナかどうか見極めよう"としているような――」

「彼が最後に視線を送ったのは、刻印がある腕と背中をへと順に見定めたようだった?」



「それでは勝負が決したところで次の演目、

 ーー魔道公女エカテリーナ様の実力配下ほどのものか?




 対するは、ルキアの秘宝と名高いーー第三公女シャーロット様です!」


「昼間とは違うフォーマルなドレスを着こなすシャーロットにスポットライトが集中した」


 夜の灯りに照らされたシャーロットのドレスは、まるで満天の星空を切り取ったように輝き、観衆の視線を一瞬で奪った。



「あら、お兄様は、魔法はお使いにならないのですか?」


「私の実力では魔道公女の、実力計れないだろう。見物させてもらおうか?」



 ーーと事前に示し合わせたように兄姉が入れ替わる。


 進み出るシャーロットの控えに、地味目のドレスに身を包んだアメリアが控えている。


 アメリアの顔には笑顔を装いながらも嫉妬の色が隠しきれなかった。

 握りしめた拳が、彼女の内心を雄弁に語っていた。


 シャーロットが私を見つめる瞳には、遊びの色は一切なかった。

 それがかえって私の闘志を刺激する。


 シャーロットに注がれる歓声が私の耳に響くたびに、胸の中で沸き立つ嫉妬が私を押し潰しそうになる。


 

 観衆の中からはシャーロットの名を呼ぶ声が飛び交い、彼女の圧倒的な人気を感じさせた。 一方、私に向けられる視線はどこか冷ややかだ。



 アウェーでの戦いというわけだ。 シャーロットが初対面の時に発言したルキアの至宝というのは実話だったらしい。



 ルキア王家の至宝として生まれた彼女にとって、この戦いは単なる余興ではない。

 家名を背負い自らの誇りを証明する場なのだ。



 シャーロットに向けられる歓声はまるで波のように押し寄せる。一方で私に向けられる視線は冷たく、まるで侵入者を見るかのようだった。



 私にとってはここからの方が本番かもしれない。

 おそらくシャーロットは一切の手加減をしないだろう?



 刻印の力を公にしていいかも不明であり、刻印なしでの勝負が理想である。


 そういう意味では賞賛の薄いアメリアより、シャーロットが舞台に立っているのは全てルキア王家の計算なのか?

 それとも観衆達のシャーロットへの歓声から、彼女の人気と信頼の高さがうかがえる。


 新皇女アメリアの登場はある意味で、主役の分散を招くからかいくつもの理由が頭を巡った末、ここで無様な敗北は許されないことを考える。 最低でも引き分け以上だ。


 この舞台での敗北は許されない。

 私が偽りの公女である以上、せめて実力だけでも認めさせる必要がある。



 そんな様子を眺めながら、新皇女としての地位を与えられたアメリアは思う。


 嫉妬の炎が胸の中で燃え上がる一方で、シャーロットの堂々たる姿に心のどこかで敬意を 抱いている自分もいる。その矛盾に、自分自身が戸惑った。


 シャーロットに自分の妹分てきな役割以上を求めたことがなかったからだろうか?


 ルキア王国の観衆が彼女に向ける冷たい視線は冷たい。 それを受けてソフィアは暗い感情を抱いた。


 単なる無関心ではなく明らかな疑念だった。偽りの公女が舞台に立つ資格などあるのか――そんな思いが静かに胸に突き刺さる。



さて第二回線開始ーー



 エレオノーレの進行を告げる宣告とともに、シャーロットが両手にそれぞれ別の魔法を集中していく。



 私の魔法額がたしかならば右手にはサンダーボルト左手には光魔法?

 今まで一切使わなかった新たな魔法が集中していく、刻印が反応するがそれに答えるわけには行かない。



 対する私は、右手のレイピアが自動的に補欠枠だったサンダーエッジに切り替わっている。

 左手にはボルケーノ背中には切り札になる。

 闇魔法が込められているはずだが、それは使うわけには行かない。



「行くよ、お姉様ーー私が新しく覚えた秘密兵器、光魔法ライトニング。

 そして得意の雷魔法サンダーボルト」


 来る……どちらも下級魔法だがそれが合わさっていくのを感じる。

 シャーロットの性格ならば、すでに格上としての活躍を、見せている私に手加減などしないはず。 最初から全力で来るはずーー!



 ……からの合成術ーー新必殺技ライトニング・ボルトーー!


 光の速さで一直線に放たれる光線が、床を焦がしながら絨毯を焼き尽くす。


 シャーロットの詠唱が終わる瞬間、わずかながら魔力の集中が右手に偏るのを見逃さなかった。その一瞬の判断で、射線を読んで回避に成功した。


 これは見てから回避するのは厳しそうだと判断飛び退いた瞬間に、手法のごとき車線が走った、その後の焼け焦げる匂いが鼻につく。


 先ほどまで私が居た絨毯の上を焼き尽くす、光線が絨毯を焦がした傷跡を残している。


 光魔法の使い手は少ないと聞く、おそらく使えるのは限られるだろう?

 エレオノーレの差し金が頭をよぎる。 エレオノーレが特別な術を教えたのか、それともシャーロット自身が生まれ持った才能か?


 シャーロットが光魔法を習得できたのは、エレオノーレの指導によるものだろうか。

どちらにしても光魔法は限られた人間にしか使えない。シャーロット自身の才能が大きいのは確かだ。


 それとも、王族に秘伝として伝わる何かがあるのか――謎が深まるばかりだった。

 どちらにしても、出会ってからのシャーロットの成長率の高さには驚かされるばかりだ。



 強力な合成術を回避したことで刻印がうずく。



 刻印が強烈に反応しているのを感じた。

 背中に熱が走るーーまるで誰かが『力を解放しろ』と囁いているかのように、刻印が疼いている。

 しかし、この場で解放すれば、偽りの公女という立場を完全に失ってしまう。




 複合魔法ライトニングボルトが放たれると同時にーー


 観衆から驚きの声が上がったそれを見ながら、アメリアがつぶやいた『これがシャーロットの新技か!』驚きが波のように感嘆がに変わる。



 シャーロットが遠い背中だった頃が懐かしい。

 今では私に追いつき、追い越そうとしている。それが悔しくもあり、誇らしくもある。

 だが、負けるわけにはいかない。


 ……合成魔道ね。 私も練習してみようかなとアメリアは心の中でつぶやいた。



 ソフィアは回避した後で、合成魔道の威力を目の当たりにした。

 試してみる価値はある。

 即興で左手の炎と右手の雷に魔力を込める。


「えー、反則もう、まねできるの?

 お姉様の意地悪ーー! と、軽く抗議の声を漏らすシャーロット」



「シャーロット! 貴方は天才かもしれない。でも私も負けられない。

 余裕ぶってると、怪我じゃすまないよーー!


 言い終えると同時に、魔導の力が発言する。

「レイジング・ファイアー」


 炎を纏った雷がシャーロットへと殺到する。

 シャーロットほどの、派手さはないものの、火力、範囲ともに中級魔法を超える。



 シャーロットは徒手空拳だったが、いつもの要領でダガーナイフを取り出すと、それを避雷針にして直撃を避けた。



 だが、炎の熱がシャーロットの周りを焦がす。

 私が言い終えるタイミングで魔法を放ったため、タイミングが完全に読まれていたようで。


 シャーロットは火炎から大きく距離を取っていた。


「はあ、天才って私だけだと思ってたんだけどなあ、とため息をもらすアメリア」


 この戦いはアウェーである。 例えシャーロットが武器による回避をしたとしても私がレイピアで攻撃はおそらく不興をもらいかねない?


 体勢を立て直すために立ち上がるシャーロットに素早く追撃する。



 ブリザードーー下級の氷魔術だ。 ゲイザーにすらまともに効果がなかったが、今なら、十分使いこなせるはず?


床一面に広がる氷の絨毯に、シャーロットは片足を取られる。



「そこへ追撃の連撃ーーアイシレインーー! もはや説明が不要ーーシャーロットめがけて、氷の柱が次々とつき上がっていく。

 回避しなければ串刺しだ」


 シャーロットは、ライトニングの熱で凍りを溶かして、回避すると同時にライジングエッジを習得しているらしく雷の刃を放ってきた。


「ふう、流石です、お姉様。

 あぶなかったー、全く、お姉様の魔導は反則級ですね。


 アウェイで観戦してた観客達も、徐々にソフィアのすごさに気づいたのか徐々にエカテリーナコールも増え始めた。



 さて、どうやって決着をつけようか? お互い使える魔術の出力ならライトニングボルトーー! ーーが最も高いだろう。

 故に、長いため時間が居るため、初見でなければ当てるのは難しい。


 最初の烈士具合に対して、もう勝敗はほぼついている。


 ーーかといって、ルキア至宝に圧倒的に勝ってしまうのも気が引けた。

 

 私は後方で見守っている。 エレオノーレにアイコンタクトを行う。


 

 これまでの戦闘と私の立場を省みた彼女ならばーー?


 ソフィアが勝ちすぎるとルキアの至宝としてのシャーロット立場が危うくなる。

 だが、実力を見せなければ、王宮における影響力は弱まる。――さて、どうするのだろう?



「これ以上続ければ、互いの力が拮抗しているゆえに被害が広がる。エレオノーレは冷静に状況を見極め、ここで引き分けを宣言するのが最善だと判断した」



 そこまで両者引き分けーー流石、ルキアの秘宝シャーロット様。

 そして、ほぼその攻撃を防ぎ続けた、エカテリーナ様も十分すごい魔導公女エカテリーナの雷鳴がここに証明されました。



 民衆からシャーロットが負けなくて安堵する声や、怪我人が出なかったことを喜ぶ声。

 同時にソフィアを褒める一部の者達からのあのまま戦ってたら、

 魔導公女様の勝ちだったよな? と言った声も聞こえる。



 だが、調子に乗るわけには行かない。


「あーあ、今回はリベンジできると思ったのになー、実質私の負けじゃないこれ?

 まあ、そんなお姉様も素敵ですが。 もっと驚いてほしかったの。



「大丈夫です、第三王女シャーロット様、貴方は十分に強かった。

 その調子でいけば、いずれ私にも追いつくでしょう?」


 勝負がついたところでお互いをたたえ合うために、近寄る儀式の合間に短いささやきを返す。


「私、いつかお姉様をも超えて、そしてどんな敵からもお姉様を護ってみせるからね」

「頼もしいわね、シャル、期待しているわ」



 お互いがお互いをたたえ合い、披露宴はお開きとなったが

 まだパーティは続いている。

 勝負中にのどこかのタイミングで、ヴィクトル姿を消していた。



 その後を追うために闇の探知魔法で、ヴィクトルの生命力を創作する。

 闇の魔法は 生命力を吸収すると言った物が多い。


 そのため人捜しにも応用できるのだ。

 ヴィクトルが中庭結構距離があるところにいるのを探知したところで、

 後ろからシャーロットとアメリアからの声がかかる。


 咄嗟に闇魔法を消去する。

 二人一緒に現れるなんてこの二人も随分仲良くなった物だと思った。



 探したわよ、エカテリーナ。 全く一人でバルコニーに居るなんて、せめて私たちに声ぐらい掛けてほしかったのは同感ですね、お姉様。



「ごめんさい、今日は魔力も体力もたくさん使ったのでつかれてしまって。夜風に当たりたい気分だったの」




今週からサキュバスの娘も2勝分追加いたします。実はまだ確信シーンまで行けてませんが、今の私のペースなら行けますね。って事でそちらもよろしく。

 今週、刻印一章ラストまで書いてたら土曜の更新に遅れて日曜となりました。

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