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私みたいなオバサンでも、貴方は私を愛してくれますか?

作者: 七瀬







“私みたいなオバサンでも、貴方は私を愛してくれますか?”





俺は20歳以上も年上の女性ひとにそう言われる。

彼女と知り合ったのは? 彼女が俺の働いているお店に来た事から始まる!

“俺はホストだ!” 彼女はお客さんとして俺の働く店に来た。

初めて彼女を見た時、“物凄く疲れ切った顔をしているな”と彼女の

顔を見て思っていた俺。

その時の事を、彼女に直接俺は話していた。

彼女もまさか? 俺みたいな若いホストにそんな事を言われると思っても

みなかったのだろう。






・・・でも、それがキッカケで彼女は俺に会いにお店に来るようになった。

“きっと自分の事を心配してくれる人が彼女の周りに居なかったのか?”

彼女はそれが凄く嬉しかったんだと思う!

俺と彼女は、どんどん仲良くなっていった。

たまにアフターで二人で食事や飲みに行く事もあった。

完全に彼女は俺と二人で居る時の顔は、“女の顔になっていた。”






俺は彼女を、“どこまでいっても俺の客の一人”だと思っていた。

彼女が俺に落とすお金は、俺の給料に直接関係があったからだ!

彼女が俺の為に店に来て、お金を使いまくってくれれば俺は店での

順位も上がる。

彼女はお金を随分と貯め込んでいたらしい。

俺にとっては彼女は、“いいカモ”だった。



・・・でも? 彼女は俺をそんな風に見ていなかったんだと思う。

俺の事を“彼氏”のように扱う彼女。

完全に俺に恋をしていたはずだ!

だから毎日のように俺の働くホストクラブに彼女は足を運んだ。




『今日も凄く可愛いね。』

『そんな事を言ってくれるのは、誓也クンしかいないわ!』

『なんか飲む? 俺作るよ。』

『ありがとう、じゃあーウィスキーで!』

『俺はシャンパンで!』

『乾杯する?』

『うん!』





俺の前で見せる彼女はまるで、“少女のような顔で”俺を見ていた。

無邪気に笑う彼女。

俺はそんな彼女を、“金ずる”としてしか見ていなかった。

そのうち、お金がなくなったのか、、、?

彼女は店にピタッと来なくなった。

俺は彼女に何度も連絡しても電話にも出ない!

俺は仕方なく、彼女に会いに行った。

住所は彼女から随分前に訊いていたからだ。




・・・でも、そこに居たのは?

幸せそうな家族と一緒に居る彼女だった。

彼女が何故? あんなにお金を持っていたのか今はよくわかる!

彼女の旦那が某有名な会社の社長だったからだ。

子供も二人いて、男の子と女の子のふたり。

愛犬に柴犬がいた。

大きな庭ではしゃいでいる子供達を優しい眼差しで見つめる母親の彼女。

旦那が彼女の横に座り楽し気に会話を楽しんでいた。

俺はそれを見て、その場から離れた。





俺は、彼女は既に幸せなんだと知った。

ただ、こういう俺みたいな奴が働くお店に彼女も一度でいいから行って

みたかったのかもしれない!

あんな彼女を見るのは初めてで、俺は少しショックを受けていた。

彼女を勝手に寂しくて可愛そうな女性ひとなんだと俺は思い込んでいた。




でも? 【現実】は?

彼女は幸せを手に入れていて、ただ少し満たされていなかったから

違う世界を少しだけ覗いてみたかっただけ。




それに、本気で好きだったのは俺の方だった。

彼女が幸せなんだと分かったのと同時に俺は彼女に相応しくない

男なんだと気づいてしまった。




“私みたいなオバサンでも、貴方は私を愛してくれますか?”



今、彼女に俺がこう言われればこう答えるだろう。


【俺は貴女を心から愛しています】と......。



最後までお読みいただきありがとうございます。

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