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第六話  友人(中編)

   2時間ほど前


「さぁ!アミル。何して遊ぼうか?」


 家の前でアミルとレイデルトは、何をするか相談していた。


「そうだなぁ。友達とできる遊びしたことないから分かんないや。」


 アミルは、この世界の子供が何をして遊ぶのか知らない。なので、レイデルトに頼るしかなかった。


「う~ん。そう言われても、僕もあまり遊んだことないからな~。」


 アミルは、今までスキルの会得に、レイデルトは帝国剣術の会得で忙しかったため、二人共、友達と何をしていいのか分らなかった。


「そっかーー。」


 二人で考えていると不意にレイデルトが声を上げる。


「あっ!あれで遊ぼうよ。」


 レイデルトが指を指した場所には、アミルがワイアットに剣術を教えてもらっていた時に使っていた木剣があった。


「いいけど。レイは、剣使えるの?」


 レイデルトは、木剣を持つ。


「僕、結構強いよ!」


 アミルも木剣を持つ。


「そうなんだ。実は、僕も結構自身あるよ。」


 二人は、少し距離をとり向き合う。


「じゃあ。アミルと僕、どっちが強いか確かめてみようか?」


 レイデルトは、指の間で木剣をクルクル回すと逆手で持ち、構える。


「分かった。いっちょ、やってみるか。」

(とりあえず、数回打ち合ってレイの強さに合わせるか。)


 レイデルトの目が鋭くなる。


「じゃ、いくよ。帝国剣術・玄武!」


 レイデルトは、アミルとの距離を一気に詰めた。腰を低く落とし、全体重を木剣に乗せて、タックルをする。


「ふん!」


 アミルは、木剣で受けるが、3mほど後ろに飛ばされる。


「なっ!」


 態勢を立て直し、再び構える。


(力強っ!これは、合わせるなんて余裕ないかも)


 アミルが構え直した直後、再びレイデルトが距離を詰め、木剣を切り上げる。


「はっ!」


 アミルは、なんとか防御する。


「くっ。」


 しかし、防御したのも束の間レイデルトは、連続で攻撃する。


「ほらほら、さっきまでの自信は、どうしたの?」


 アミルは、分かりやすく煽られる。そして、この煽りに乗ってしまう。


(7歳に煽られてる。大人気ないのは、分かってるけど、ちょ~っとイラっときたから本気でいかせてもらおうかな。)


 アミルは、レイデルトの剣を受け、鍔競り合う。レイデルトを押し返し、距離をとる。


(よしっ、これでいい。次に、レイが詰めてくるまでに、気持ちを落ち着かせろ。)

「は~ふ~。」


 アミルは、大きく深呼吸をする。


「おっ、やっと反撃してくれるのか。でも、次の連撃で終わりにしてあげるよ。」


 離されたレイデルトは、再び距離を詰める。がアミルは、居合の構えをとっている。


「極東剣術、地閃・岩断」


 レイデルトがアミルの目の前にまで迫った瞬間。アミルが腰から木剣を抜く。木剣は、弧を描いて切り下ろされた。


「玄武・亀盾!」


 レイデルトの木剣の刀身に亀の甲羅のような盾が出現する。しかし、アミルが切り下した木剣は、レイデルトの盾と木剣を断ち切った。


「嘘!玄武の盾が切られた・・・」


 レイデルトは、驚きで硬直している。亀盾は、剣の硬度を3倍にし、面積を拡げる玄武のスキルだ。


「今まで、どんな攻撃も防いできたのに」


 レイデルトは、膝をついてしまう。レイデルトは、今まで訓練でどんな攻撃も防いできた。訓練の相手は、決して弱い人ではなく、中には、ハイランクの冒険者もいた。そのため、ショックだったのだ。


(やべ~。傷つけたかな?どうしよ~~。)


 アミルは、レイデルトにゆっくりと近寄る。するとレイデルトは、ガバっと顔をあげる。


「凄いよ!アミル。僕の亀盾を切ったのは、君が初めてだよ!ねえねえ、さっきの何?ズバーって切るやつ。」


 レイデルトは、追い込むどころか目をキラキラさせながら、アミルを見る。


「岩断のこと?」

(良かった。向きになってたとはいえ、子供を泣かしたらどうしようかと思った。)

「そうそれ!」


 アミルは、さっき使った技をレイデルトに説明する。


「岩断は・・・」

〈地閃・岩断〉地属性の力を刀身に纏わせた剣を居合の構えから引き抜き、上から下の切り下す。岩を断ち切るほどの威力を持つ居合。極東剣術の一つ。


「えっ。それだけ?」


 アミルがレイデルトに岩断の説明をする。その単純で何の変哲もない技にレイデルトは、目が点になる。


「うん、たったそれだけの技だよ。」


 腕組みをしてレイデルトは、少し考え事をする。


「アミル!君は、どうやってそんなに強くなったの?」


 レイデルトは、表情こそ明るく笑っているがやはり、悔しかったのだろう。レイデルトの拳は力強く握られていた。


「いいよ。僕がいつも使ってる場所に行こうか。少し歩くけどいい?」

(そんな、一生懸命な顔されたらお兄ちゃん、力を貸したくなっちゃうわ~。)

「全然いいよ。強くなるためならなんでもするよ!」


 レイデルトは、何か目標があるのだろう。強い思いを感じたためアミルも承諾する。


「よし!行こうか。」


 レイデルトは、アミルと一緒に訓練場に向かう。


「よし。着いたよ。」

〈探索〉(うん。周りに危険な存在ないないな。)


 アミルとレイデルトが来た場所は西の森だ。アミルは、探索を使い半径150m内に危険がないか調べる。


「えっ、ここでいつも訓練してるの?」


 到着した場所には、20本程の切り株があった。レイデルトは、周りの切り株を見渡しながらアミルに聞く。


「うん。そうだよ。ここには、色んな太さの木があるからね。斬れる木の太さによって自分が今どれくらいの強さか確かめてるんだ。」


 アミルは、周りを見渡しながらレイデルトにここで訓練する理由を話す。レイデルトは、驚きながらアミルに聞く。


「もしかして、この切り株って全部、アミルが斬った後なの?」


 アミルは、一本の木を撫で振り向く。


「そうだよ。素振りとか対人訓練じゃ剣撃の威力には、限界があったからね。ここの木は、ちょうどいいんだ。」


 レイデルトがアミルに近づき、木を手のひらや拳で叩く。


「確かに、こんな大木を斬ることができれば、」


 レイデルトが話していると、アミルが途中で遮る。


「できれば、じゃなくてできるようにするんだよ。じゃあ、この木に全力で攻撃してみてくれ。」


 アミルが指差した木は、高さ10m、直径2mほどの木であった。レイデルトは、一瞬驚いていたがすぐに真剣な表情に変わる。


「分かった。やってみるよ。」


 レイデルトは、アミルが指差した木の側に寄り、木剣を逆手で持ち、構える。


「玄武・曲蛇!」


 レイデルトが体を捻り逆手で剣を後方に振ると、剣の刀身部分がうねり、伸びる。そして、木に向かって木剣を振る。木剣の刀身は、木を巻き込むように斬りつけた。斬りつけた木剣は、木の半分まで斬ったが途中で止まった。


「あっ!く~。腕がジ~~ンってする。」


 レイデルトは、手をさすっている。木の途中で急に木剣が急に止まったため、レイデルトの手は痺れてしまった。


「大丈夫か~。それ、僕もなったよ~。」

(ま、俺の場合は、椅子だけど。どうして、椅子の背もたれってあんなピンポイントで肘のジ~ンってする場所に当るんだろうな?特に学校のは、命中率が高過ぎる。)


 くだらないことを思い出しながら、レイデルトに近づき心配をする。そして、レイデルトが斬った木を見る。


「お~、さすがレイだね。初めてで半分まで斬れるって、凄いよ!」


 レイデルトが斬った木は、半分まで切れ込みが入っており、そこにレイデルトが持っていた木剣が挟まっていた。


「でも、斬れなかった。」


 自分の剣に自身があったためレイデルトは少し落ち込んでしまう。


「そんなことは、ないよ。俺が初めて斬った木はこれより細かったから。」


 アミルは、木から木剣を引き抜くとレイデルトの近くに寄り、慰める。


「そっか。でも、この木を斬れるくらいに強くならないとな。」


 レイデルトは、アミルから剣を受け取るともう一度、木に近寄る。


「ふ~~。よし」


 深く深呼吸をし、レイデルトは、構える。


「玄武・曲蛇!」


レイデルトが逆手に持った木剣を後方へ振る。刀身が曲がりくねり、さっきより大きく伸びる。そして、木を斬りつける。レイデルトの剣は、残った木のもう半分を斬った。木は、大きな音を立てながら倒れた。


「ふぅ。アミルも斬って見せてよ。」


 溜息をついたレイデルトが、アミルの方を見る。


「う~ん。分かった。じゃあ、あの木を斬ってみようかな。」


 アミルが一本の木に近づく。その木は今、二人がいる場所で一番太い木だった。高さ15m、直径5mほどの大木だった。


「これって。斬れるの?」


 信じられないといった様子でレイデルトは、少し離れた場所からアミルのことを見る。アミルは居合の構えをとっている。


「極東剣術、火閃・火廻!」


 腰の位置にある木剣に火が纏わりつく。アミルが剣を抜くと火が放たれた。放たれた火は、円盤状に形を変え、大木を斬った。斬られた木は、レイデルトが斬った木より大きな音を立てながら倒れた。


「あの、大木を一発で斬っちゃうのか。アミル、君は凄過ぎるよ。」


 レイデルトは、アミルに近づき、アミルを称賛する。しかし、その称賛には、悔しさがこもっていた。


「ありがとう。レイ。でも、レイも強いからちゃんと訓練すればできるようになるよ。」


 アミルは、さっき倒した大木の切り株を触りながら、レイデルトに話す。


「そうかな。でも、家の近くに森はないし、こんな大木もないから。どうやって、訓練したらいいのか?」


 レイデルトは、アミルが斬った大木の切り株に腰掛ける。今後の訓練、技の威力をどう強化するか思案する。


「う~ん。レイの家に広い空き地だったり、庭とかあったりする?」


 アミルが一つの方法を思いつく。


「ああ。いつも、訓練の時に使ってた訓練場ならあるよ。」


 レイデルトは、貴族なのでそれなりの土地はある。それ故に訓練していた場所は、学校の体育館ほどの大きさである。


「なら、大丈夫だな。ここにある木を大中小の三本をその、訓練場まで運ぼう。」


 アミルは、一本の木に近づく。そして、三本目の木をアミルが斬る。


「まぁ、木三本くらいなら置けるけど。どうやって運ぶの?家の使用人たち全員で運ぶにしても、結構時間かかるよ。」


 アミルは、ニヤっと笑い、さっき斬った木の近くまで歩く。


「い~やっ。今日中に運べるよ。」


〈ストレージ〉


 アミルは、ストレージを開くと木を入れる。


「えっ!アミル。ストレージが使えるの!?」


 ストレージに吸い込まれていく木を見ながら、レイデルトは驚いている。アミルは、三本目の木をストレージの中に入れている。


「うん。使えるよ。覚えるのになかなか苦労したけどね。」


 アミルは、三本目の木も入れ、レイデルトの方を見ながら苦笑する。


「アミルは、凄いなぁ。強いし難しいスキルも使えるなんて。」


 またも、キラキラした目でアミルを見る。


「じゃ、じゃあ。このスキルも教えようか?」


 頬をポリポリと搔きながら、レイデルトに提案をする。


「ありがとう。でも今日は、もう戻ろう?だいぶ時間も経ったし。」


 二人が森に入ってから、そろそろ1時間が経過していた。日も少し傾いている。


「そうだね。そろそろ。ん?」


 アミルの表情が少し険しくなり、森の奥に目を向ける。


「どうしたの?アミル?」


 レイデルトは、アミルの表情が変わったのに気づき理由を聞く。


「なんか、引っかかった。」

「引っかかったって何が?」

「こっちに、大きい生き物と小さい生き物が向かって来てる。」


 アミルは、森に入ってから常に展開していた探索のスキルに二つの生物の反応が引っかかったのに気づく。アミルの探索範囲は、現在、半径150mほど、さっきまでこの二つの反応は無かったが、この二つの生物は、物凄いスピードでアミルたちに近づいている。


「これは、逃げれないな。レイ、一人で帰れるか?」


 アミルは、この生物に走っても追いつかれると考えレイを先に逃がすことにした。


「帰れるけど、アミルは?」

「二人で走っても絶対に追いつかれる。だから、俺が囮になるよ。」


 木剣を握るとアミルは、居合の構えをとる。


「いや、でも・・・」


 レイデルトは、アミルのことが心配でなかなか戻ろうとしない。そんなレイデルトを見てアミル、大声を上げる。


「いいから!早く行ってくれ!そして、父さんたちを呼んできてくれ!」


 レイデルトは、アミルが上げた大声に少し、怯えたが決心する。


「わ、分かったよ、アミル!直ぐ戻って来るから!」


 レイデルトは、アミルの家に向けて急ぎ走った。



「よし、行ったな。レイには、悪いが多分足手まといになるからな。」


 一つ息を吐き、探索のスキルに集中する。


「もう少しで見えるな。」


 二匹の生き物は、アミル目掛けて走ってきている。そして、木の陰に一匹の小さな犬が見える。


「あっ、可愛い。ワンちゃんだ~~。」


 現れたのは、白い毛の犬だった。突然の可愛いが出現し、少し気持ちが緩む。気持ちが緩んだのも束の間、その後ろから大きな影が姿を現す。


「デカいやつは、こいつか!」


 犬を追いかけていたのは、口がワニのような熊だった。涎をまき散らしながら、犬を追いかけている。


  グオォォーーーー!!!


 熊は、大きな雄叫びを上げると大きく腕を振り、木を薙ぎ倒した。薙ぎ倒された木は、二つに割れ木の一部は、熊の一撃に耐えられず吹き飛ぶ。


  キャウゥゥ!!


 吹き飛んだ木は、走っている犬に当り犬を飛ばした。


「マズイ!!」


 アミルは、飛ばされた犬が地面に打ち付けられる前に受け止めるため、走る。


「よしっ!大丈夫か!!」


 地面に打ち付けられる間一髪のところで犬を受け止める。しかし、熊もすぐ近くまで迫っていた。


(ヤッベー!距離、置かねぇと)


 アミルは、急いで熊から距離をとった。


「ここで、じっとしてろ。」


 犬を切り株の上に置き、アミルは、熊の方に振り向く。アミルは、木剣を握り居合の構えをとる。


  グアァァァ!!


 熊が涎をまき散らしながら、叫ぶ。


「うっせーなー。デカい声だすなよ。」

〈解析〉

 解析は、名前や特徴など対象の情報を大まかに知ることのできるスキルである。


(名前は、アリゲイトベア。特徴は、あの長い口。それに、えっ!あいつ、鱗あるの。鱗の間から毛が生えてるのか。普通に考えれば斬撃は、効かないな。)


 調べている間に、アリゲイトベアは、アミルに近づいて腕を振り上げている。


(ちっ!避けれない。なら)

「能力特化・守り。」

〈能力特化〉これは、自分の能力を下げて他の能力に上乗せするスキルだ。例えば、力が10、速さが10あるとする。力を上げたい場合、速さを1下げて9にする。そして、下げた1を力に上乗せし11にする。一つの能力を下げて、複数の能力に上乗せもできるし、複数の能力を一つに上乗せすることもできる。対象の能力は、生命、精神、攻撃、防御、速さ。


「くぅぅ。ギリか!」


 アミルは、自分の速さを半分下げ、防御に上乗せした。しかし、アリゲイトベアの一撃は重く、受け止めたがアミルは膝を付いてしまう。


  グオォォォォォォォ!


 アリゲイトベアは、腕を横に払いアミルを吹き飛ばした。


「っあっく!」


 吹き飛ばされたアミルは、木に打ち付けられたが防御を上げていたため、大したダメージにはならなかった。


「さぁ、運よく距離とれたけど。どうしたもんかな?」


 アミルは、運よく距離が取れたためアリゲイトベアを倒すための対策を考える。


(・・・・・あっ、もしかしたら。試してみるか。)


 アリゲイトベアは、再びアミルに近づき、腕を振り下ろす。


「くっ!!こいつの攻撃、おっもいな!」


 またも攻撃を受け止めたが次は、膝を付かなかった。そして、反撃をする。


   カンッ


 アミルが振った木剣は、アリゲイトベアの体に当たったが解析で見た通り、体毛の中に硬い鱗があり、木剣を弾いた。


「っかってーー!」


  グゥウアァァァァ!!


 アリゲイトベアは、すかさず二撃目を繰り出す。


「っぶねぇ。」


 アミルは、二撃目を躱すともう一度攻撃をする。しかし、その攻撃も弾かれる。その後も三撃、四撃とアリゲイトベアの攻撃を躱しては、反撃をしたが全て弾かれた。


  グゥギャァァァァァァァ!!


 アリゲイトベアは、攻撃が当たらないことにイラついてるようだ。今までで一番大きな雄叫びを上げる。そのイラつきは、アミルにも伝わった。


「なんだ?イラついてるのか?まぁ、そのイラつきも直ぐに鎮めてやるよ。」

(やっと見つけたからな。鱗の隙間!)


 アミルは、一つの考察を立てていた。アリゲイトベアは、鱗と体毛を持ち合わせている。皮膚に直接、鱗が付いているのであれば、体毛は、どこから生えているのか?考えられたのは、鱗と鱗の隙間だった。確証のない賭けだがアミルは、そこを狙う。


「極東剣術、雷閃・迅雷一突」


 木剣を腰から勢いよく引き抜くと腰を低くし、突きの態勢をとる。引き抜いた木剣は、雷を纏っていた。


  ガァァアアッァァァ!


 アリゲイトベアが大きく腕を振り上げる。そしてアミルは、その瞬間を狙いアリゲイトベアの心臓部分に突きを放った。


  ギャァァっァアァアグッォォオォ!


 アミルの突きは、鱗に弾かれることなくアリゲイトベアの皮膚を貫いた。雷を纏った木剣は、電気を流し、アリゲイトベアは、叫びながら倒れた。


「はぁぁあぁぁぁ!やっと、倒せた。」


 アミルは、大きな安堵の溜息を吐く。


「あっ!あの犬は!!」


 アリゲイトベアとの戦いに神経を使い過ぎたせいで、追われていた犬のことを忘れていた。アミルは、急いで犬を置いた切り株に向かう。


「おい!大丈夫か。」


 子犬の体を観察するが幸いにもケガは無かった。


「良かった~。」


 再び安堵すると、アミルは、切り株に寝転ぶ。


  ン~アウ~~ハッハッハッ


 アミルが寝転んでいると、さっき助けた犬が胸の上に乗って来る。犬は、アミルの顔に頬ずりをし、さらに顔を舐めて甘えてくる。


「ん~~!舐め過ぎだよ。」


 犬の頭を撫でる。犬は、アミルの上で伏せて顔を舐め続けている。


「そういえば、君はいったい何なんだ?」

〈解析〉アダマンタイトウルフ、爪や牙、骨が伝説の鉱物アダマンタイト並みに強固であることから名付けられた。


「あれ?アダマンタイトウルフって、そんなだっけ?アダマンタイトを守っているからこの名前が付けられたんじゃなかったっけ?」


 アミルは、犬に〈解析〉のスキルを使った。しかし、アミルが知っていたアダマンタイトウルフとは、情報が違った。そもそも犬ではなく狼だった。アミルが読んだ本には、地下深くでアダマンタイトを守っている狼のことを指していた。だが、〈解析〉のスキルによれば、爪や牙、骨がアダマンタイト並みに強固な狼のことだった。そして、共通していたのは、数が恐ろしく少ないということ。


「まいっか。こんなに可愛いんだから。」


 楽観的に考え、狼の頭を撫で回す。


「なぁ、お前行き場がなかったら家に来ないか?」


  ウォン!


 通じているのか分からないが狼は、一つ吠えてまた、アミルの顔を舐め始める。


「おお。OKってことか?親には・・・必死で説得しよう。」


 アミルは、戦いの疲れで眠ってしまった。それに、つられて狼もアミルの胸の上で眠につく。



《種族》人間《個体名》アミル・ヘイズ《・・・・》不明《Lv》20《HP》122《MP》100《攻撃力》125《防御力》80《知力》80《抵抗力》50《素早さ》103《スキル》極東剣術・極、探索、能力特化、感覚特化、解析、マーキング、ストレージ、偽装、ステータス



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