宇宙大地 ※挿絵付
長い話を始めると言ったばかりなのだが、その前に自己紹介だけはさせてもらおうか。
俺の名前は宇宙大地、生まれも育ちも――ん? 人が話しているときは、最後までしっかりと聞いてから――えっ? 苗字のところが妙に小声で聞き間違えたかもしれない?
ヤレヤレ仕方ないな……もう一度だけ名乗るから、今度はちゃんと聞いててくれよな? そう、俺の名前は……
「うちゅう だいち」ではないんだ。
「こすも だいち」だ!!!
……。
あぁ、なんだ……言いたい事は分かる。
俺も昔から常々そう感じている。
そう、なんてふざけた読みの苗字だと、な!
最近の世には驚くべきキラキラネームが数々存在するが、さりとて苗字がキラキラしてる人には会った事がないし、聞いた事すらない。宇宙初だよ、やったね! なんの自慢にもなりゃしないが……。
さらにだ、よりによって宇宙からの大地である。直接親に聞いたわけではないが、恐らくこの苗字に相応しい雄大さを持つ名前にしなければと慮って下さったのであろうよ、きっと。何ともアリガタイことで涙がちょちょぎれるぜ。まだ読みを宇宙大地にされなかっただけましではあるが、何にせよ氏名が壮大過ぎて、俺程度の器じゃ名前負けどころの話ではなく……そう、名が体を押し潰しかねない。ちなみにこのヘンテコ諺は、その子が――うん、これはすぐに語ることになるな。
――おっと、こんな苗字なばっかりに自己紹介が長くなってしまったな。
それでは今度こそ、俺とその子の長い長い旅を語るとしようか。
どうか、とくとお聞きいただきたい。
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宇宙大地の立ち絵
序幕をお読みいただき、誠にありがとうございます。
少々暑苦しい大地君ですが、もし少しでも面白いヤツだなと思われましたら、【ブックマークと★評価】をいただけますと幸いです。
次話より時が現代に戻り本編がスタートしますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。