15 クスクスクス……
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魔法とは現実に存在します。
あなたも魔法を使っています。
え、使えないですって?
それはなぜか? 簡単ですよ。
それはあなたが、魔法を当たり前のことと思い込んでいるから。
ひとって、当たり前のことこそ考えが及ばないのですよ。
視点を変えてくださいね。
あなたはご自分の身体を、思った通りに動かせるでしょう?
え、そんなのあたりまえだって?
でしたらなぜひとや動物って、身体を動かせるのか説明できます?
これって植物がもし知性を持っているとしたら、とても不思議に思うとは考えられませんか?
あれれ? そもそもひとはなぜ知性を持つのでしょうね。
なぜ自由に考え、想いをはせることができるのでしょうね。
これも不思議なことではないですか?
いのちの奇跡ですよ。
いのちの神秘ですよ。
これこそが魔法の原点なのです。
まだ納得いただけない?
では、簡単な実践編の一例を挙げます。
なぜってね。たとえば。
あなたは幻覚や幻聴に襲われたことはないのですか?
え、ない? そんなの精神科患者だけですって?
それはおかしいですね。
あなたこそ精神科の門をくぐってください。
あなたはどうやら深刻なご病気のようですから。
幻覚、幻聴といったものは。誰しも体験しています。
眠っているときの夢がそれにあたります。
ほら、あなたは知っているのに、おそらくこれを見落としていた。
夢の世界って魔法みたいでしょ。というか魔法なのに。
え、こんなのバカらしい子供だましですって?
これが屁理屈な詭弁だと?
あなたは、夢の中で遊んだことを忘れているだけです。
あなただって毎朝起きたとき、いろいろと夢を覚えていて。でも、ほんのわずかのサラサラと流れる時間とともに、すぅっと急速に忘れてしまうでしょう?
繰り返しますが、空を飛ぶことだって、夢の中でできるひとは多いですよ。
さらに熟練すると、自分で自分の夢を操って、夢の中を自由自在に冒険できるようになるひとすらいるのですよ。
これは事実ですよ。科学的に証明されていますし。かりにそれは違う、との反証から証明式を照らすとやはり、正論の事実となります。
夢。
それが生物数億年のいとなみの命の連鎖で生じた、ひとに限らずいのちのだれしもが生きる上で必要だった、身体の防護機能のひとつなのです。
歴史を振り返ると。人の世はずっと法秩序が弱く。はるかに混沌と乱れていて。みんな生きるだけで必死だった。信じられない非道な苦痛を受けることがたくさんあった。
そんなつらい生にむくい、起きているときに受けたこころへのダメージを、解いて和らげてくれる幻、それが夢だったのです。
この幻は必然的に目覚めているときでも起こり、それが目的意識や理想へとつながり。ゆえに人、ないし動物たちはそこに知性の発達を託したのです。
この地球、いえ宇宙で何万年、何億年との連綿と続いてきた果てしない生き物の……いのちの神秘、それの営みの中でね。
だから人間には文化と文明があるのでしょう?
これが夢という魔法の力の結果ですよ。
お分かりいただけました? でしたら、あなたは。
ご自分の魔法の力を紐解いてください。
封印されていた、ご自身の力を。
ご自分の魔法の力を紐解いてください。
封印されていた、ご自身の力を。
これはほんの一例です。魔法の世界は、とても奥が深いですよ。
では、あなたはもっと深く、魔法の世界になじんでください。魔法の世界を知ってください。
あなたならできる。これを理解していただけているのですから。
【王立図書館蔵書 『魔法の起源』 冒頭の抜粋】
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