6 『進むか』
「っ……無理に決まってるじゃん……」
頭痛がした。思わず呻くと、セレナが不思議そうな声をだした。
「なん、で、予備知識なしでここに挑んだんですか……。ギルドの依頼のランクは、Cから、B、です」
「ッ……」
それもシグレに任せていた。頭を抱えると、そこでふと、違和感が生まれた。
何の違和感だろうか? おかしい、絶対におかしい__。
でも、それを掴むことが出来ない。掴みかけたそれは宙を舞い、届かない所まで行ってしまった。
「…………頑張るしか、無いか……」
なんで私がこの魔物に襲われないのか、全く分からない。シグレが何がしたいのかも、分からない。
でも、まあ今は、やるしかないのだ。このままのこのこ帰る事は出来ない。借金が増える。
そして私は、シグレの言っていた目的を思い出す。
「そうだ、移動手段? の確保……」
私は何とはなしに前でじゃれついている『天狼』を撫でながら、移動しようと身動ぎをした。
魔物に下手に刺激はしたくなかったが、喋ってる間もずっと同じように動くもんだから、動いてみるしかない。
蛇が、やっとか、みたいな目付きでこちらを睨みながら、寄り添ってくる。あれ、これってもしかして、ついてくる系?
ただ、その瞳に映るものは友好的かと言われれば、そうでも無い。複雑に感情が入り交じり過ぎて、私には分からなかったが、少なくとも攻撃はしてこないのだけは分かる。
「あのさ、天狼? って、どんな魔物なの?」
「これで成体なのです。小さくて子供っぽいので、分かりにくいですが。あの、そっと忍び寄って一気に数匹で貪り食う、群れの生き物なのです」
「怖っ……」
可愛い見た目をして随分と残酷なものだ。
何をすればいいのかは分からないが、行けばわかると言っていた。とりあえず進もう。
ムカデも、狼も、蛇も、全部全部今はどうしようも無い。
更新も文量も忙しくて安定しない……。