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異世界でチートでは無く物欲センサーが付属しました  作者: 狼絕
1章 『星々の願い』
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4 『にゃっ!?』

 「最初級武器は貴重だって言ってたけど……」


 「そ、そうなのです。あの、経験がほぼ無い武器は、成長の方向性も波長も、使い手とピッタリ合わせることが出来て、成長させるのが大変な分、初心者の冒険者さんが使うと、後々の伸び幅や出来ることが増えて__」


 経験の無い武器はほぼ無いと聞く。大抵の武器はある程度使い物になるように、ギルド側の者がある程度戦闘に慣れさせて置くことも多いからだ。


 初めて会った時にビクビクしていたのも、エナキアによって隠されて居たから人に慣れていなかったのだろう。契約後は全く喋らなくなって不安だったが、まあ喋るようになって良かった。

 でも、私はメリットや希少性を聞いてもイマイチ納得出来なかった。エナキアが、そんなずっと隠していたような新品の武器をほぼ初対面の私に貸すだろうか?


 「ま、まぁ……今は分からなくても、いつか分か__」


 その時だった。


 「ひゃあああああああ! 『防護』!」


 セレナの叫び声と共に、私の体に薄い膜のようなものが張られた。


 私はその様子に慌てて剣を抜きながら振り返る。衝撃も何も来なかったが、咄嗟の判断と言うやつだ。


 「セレ__ッ!?」


 後ろを振り向くと、真っ赤な熊のような生き物が居た。

 思わず固まる。全長3メートルはありそうなその巨体から放たれる存在感に、私が動けるわけがなかった。

 セレナもまたカタカタと震えていて、私の手の震えなのか分からない。


 こちらを見下ろす生物はしかし、物騒な顔をしながらも動かない。その瞳を思わず見る。


 「……?」


 その瞳には、とてつもない感情が交錯していた。私はそれがなんなのかが分からなかったが、何か葛藤しているかのような、何かと戦っているかのような闘志と、それを押さえつける冷たい理性の色が垣間見えて。


 先程セレナによって張られた魔法が、時間経過によって消える。


 それと同時に、その魔物は数度、瞬きをした。のっそりとした所為で動き始め、そして私に__背を向ける。


 そのまま去っていく熊。何が起きたのか、全く分からない。


 「赤熊(レッドベア)、です、まだ、小さい個体ですが…………………レッドベアが目を合わせた後に去るのは、敵意がない証なのです……」


 敵意が無い証? 友好的だということだろうか? いや、ここに来るまでに聞きかじった魔物情報では間違いなく友好とは程遠かったはずだ。


 「あ、あれ……?」


 そういえば、シグレはなんて言って__。


 「ひゃあああ!?」


 またもや聞こえるセレナの声に、反応し遅れた私。

 しかし、私を襲ったのは痛みではなく、ぬるりとした温かみだった。


 「にゃっ!?」


 悲鳴を上げて固まりながら、なんとか後ろを向く。すると、そこには灰色の狼が数匹集まっていた。

 私に身体を押し付け、首だとか足だとかを舐めている。


 「す、『天狼(スコル)』の子供ッ!?」

 「!?!????」


 悲鳴のようなセレナの言葉に、混乱しながら後ろに下がると、何かにぶつかった。

 もう何が何だか分からない程に混乱しながらまたもや振り向く。


 「蛇……?」


 巨大な蛇がそこに居た。紅い瞳に、ぬらぬらと光る鱗。それが、私の背に密着している。


 「_____!!」


 声にならない悲鳴が上がるも、動けはしない。蛇に睨まれた蛙、というのはこういうものなのだろうか。ただただ、その紅い瞳に恐怖するしか出来ない。


 「………………」


 でも、それでも、何もしてこない。

 強いて言うなら__。


 「ひゃんッ……ナナツキさ……」


 足に絡まって身体を這い上がってくる、数匹の蛇がいる事だろうか。

 私は息を吸うと、深く吐いた。


 __襲って、来ない。


 これから襲うかもしれない。一時的なものかもしれない。攻撃の予備動作かもしれない。他の意味があるのかもしれない。

 でも、今は、少なくとも襲われてはいない。


 そこでその判断を下した私は、視界に見えたムカデのような魔物__といっても全長は何メートルもあるが__にも、冷静を保つ事が出来た。


 前には身体を押し付けては舐めてくる狼。__セレナ曰く、『天狼(スコル)』というらしい。

 後ろには、クッションのように寄りかかってしまっている状態の巨大な蛇。身体に巻き付く複数の蛇は、この蛇の仲間だろうか? 一応、殆ど不自由は無い。ただ怖いだけだ。


 そして更にやって来た、巨大なムカデ。





 「……全部大きいなぁ」


リアルの方が少々忙しく、昨日は投稿出来ませんでした……。

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