糸巻の魔女③
最悪だ。
レオンはまた魔女に関わってしまったことに後悔している。
どこかの古い屋敷の中で壁に糸で張り付いている状態にいた。
口を糸で塞がれているため、精霊術が使えない。
魔女は、レオンを見ながらどのようにいじるのか考えを巡らしている。
「さ~て、どう可愛がって上げようかな」
魔女は頬に手を当てる。
レオンは、魔女ににらみつける。
「あら、せっかくのかわいい顔が台無しよ。そうね・・・まず、裸にしましょうか」
「ふが!」
「可愛い子を糸で絡めると興奮するのよね~」
魔女は想像しているのか、顔を赤らめている。
「いいね。拘束プレイ」
――そんなの嫌だ!なんで魔女はこんなのばっか。
その時だった。
とても騒がしくなった。
「あら、早いわね」
おそらくジャンヌが来たのだろう。タランチュラたちと戦闘しているところか。
「せっかく遊ぼうと思ったのに。あのアマ。じゃあ、大人しくしているのよ」
魔女は立ち去る。
レオンは、隠し持っていた刃物で糸を切る。
廃村のさらに奥に大きい屋敷のような建物が立っていた。
ここは、おそらく領主の屋敷だったんだろう。屋敷内が見えるほど表面から半壊していた。庭には汚れた池や崩れた柱があった。
入ってすぐ、タランチュラたちが襲撃されるが、ことごとく退治する。ジャンヌの周りにはタランチュラの死骸しかなかった。
「さて・・・」と死骸のタランチュラの足を掴み、「と!」と屋敷に向かって投げる。
投げたタランチュラは真っ二つに割れ、裂いた先に、見下した眼差しでクモの魔女が姿を見せる。
「聖女にしては、荒っぽくするのね」
「あんたたちは聖女をどうイメージにしているのよ」
「そうね。貴様のおかげで、野蛮で口汚い地味女だってとこかしら」
「あっそ。広める前に殺してやるわよ!」
ロザリオで光の刃を魔女に向かって飛ばす。
魔女は下に避け、庭に着地し、手から糸が伸ばしていく。
ジャンヌは白い炎を飛ばして消す。
その時背後からジャンヌの足に糸が絡められる。
糸の先を見れば、半壊の柱にタランチュラが隠れていた。
ジャンヌが足の糸を切ろうしたが、一瞬の隙を狙って目の前にタランチュラが覆いかぶり、抱いたまま跳ぶ。逃げようにも身動きが取れなくなった。
視界の端にため池があった。このタランチュラの思惑に気づいた。
ジャンヌと共に池に入ることに。