高嗤の魔女⑦
「あははははは!は!」
エミは目が跳びだしそうなほどに開いて、笑い声を上げる。
少女の姿と違い、長い黒髪。袖なしの着物の上に大きい着物を半分に来て、長い紐で腰を留め、長い足を出した大人の女性へと変わった。
笑い声が響くと、アキセとユビワ、ジョーカーが耳を防ぐ。アキセとユビワはその場に倒れる。ジョーカーは膝をつく。
エミの笑い声には、相手の耳を攻撃するようだ。
だか、聖女であるジャンヌは訊かない。
すぐさまエミに跳び込む。
ロザリオに白い炎を纏い、エミの首に向かって振るうが、「だめええええええええええええ」とセムシの大きい手がせまってくる。
その時、セムシの手に背後から跳んできた短剣が刺される。
あの短剣は知っている。ジョーカーの短剣だということ。
ジョーカーは動けないはずだか、今はエミを殺すことが優先。
「いた~い」と叫び、手の動きが鈍くなった。
そのままセムシの手を切っていく。
さらに短剣が奥へと飛ぶ。エミに向かって。
ガチ!
短剣がエミに刺さったわけではない。
「あぶな~い!」
頭だけ浮いている魔女の手下が、短剣を噛みついていた。
――まだいたのか。
その時、エミがユビワを抱えて、屋敷の奥へと入っていく。
これは罠かもしれない。
だか、ケガしているユビワを無視できない。
すぐに追いかける。
行ったか。
アキセは手で防いだ耳を離す。
エミが笑えば、耳の中の鼓膜に直接、銃弾を打ったような音が何度も響く。何も考えられなくなるほどに頭が痛かった。
エミの笑いが聞こえなければ、収まるようだ。後気になったのが。
「わははは!」と笑い声。
「う!」
まだ耳の中に銃弾の音が響く。
耳を塞いでも聞こえる。
エミと同じ力を持っている。
この手下は魔女の一部である使い魔といったところか。
「あははは!だめよ~アキセちゃあん」
「私としましょ。ぐへへへ」
「やりましょう。うふふふ」
――ちょ。それは・・・
笑いながら獲物を狙う目つきをするフタネ。ヒマネ。アザネだった。
その時、大きい布が「「きゃあ!」」とヒマネとアザネをくるむ。
避けたフタネがにらみつける。
「あんたは平気なんだ」
それは、ジョーカーに向けてだった。
ジョーカーの背後にはセムシ、鼻黒親子、頭だけの使い魔に口に短剣が刺されていた。
口に刺していたクロオが短剣を抜く。
「どうして訊かないんだ?」
クロスケも短剣を抜く。
「聞いてるのに~」
頭だけの手下も短剣を噛み砕く。
「そうだ!そうだ!」
ジョーカーが使い魔の攻撃を訊いていない。
「同じ芸人ですが、そんなゲスな声を聞く耳ないからですよ」
ジョーカーがにらみつける。
「何よ。そっちだって、芸の失敗を笑うでしょ」
「人の不幸は蜜の味~」
「不幸を笑うじゃん!」
「じゃん!じゃん!」
セムシ、鼻黒親子、頭だけの使い魔が笑う。
「笑わせるために身をささげているんです。身を張って、失敗も含めて笑わせるのが、芸人ですよ。それをあなたたちが芸人ではない彼女の心を弄び、踏みにじみ、笑顔を奪ったあなたたちを芸人と認めるものか!」
セムシ、鼻黒親子、フタネが大きさに合わせた箱に包まれる。箱の周りに無数の剣が現れ、箱に突き刺す。
「芸ではないので」とにらみつけるジョーカー。




