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魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇  作者: 白崎詩葉


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そういえばまだしていない④

「う・・・」

 気持ち悪い。頭が痛い。体が重い。

 誰かが触っている。

 まさか!アキセか。

 ジャンヌが目を覚ますと上に乗り、服を脱がしているリリスが目の前にいる。

「な!」

 もう衝撃が大きかった。

 なんでこうなっているの。

 リリスが目の前にいることにも。いつの間に建物の中にいることにも。脱がされていることにも。

「起きたのね」とイタズラな笑みを見せるリリス。

「なんで・・・いるの・・・」

「聖女と久しぶりにしようかなって」

「したことあんの!」

「ええ」とリリスに胸を触る。

「う・・・」

 今すぐにでも逃げたいのに、体が動けない。

「なるほど。主人公だからモテているかと思っていたけど」

「何言っている!」

「それに淫魔と負けないくらいにいい体系ね」と体を指でさすっていく。

 リリスの手つきがいやらしい。

 逆らえない。気が抜くと、身をゆだねてしまう。呪力で惑わされているかと思ったが、使っている様子がない。存在が人を惹きつける。惑わされる。妙な圧も感じる。

「淫魔じゃない・・・」と切れ気味に返す。

 どうにか必死に抵抗する。

「大変ね。維持するのも」

 リリスが分かり切ったような目で見つめる。

「やっぱり初めてはまだしてないでしょ」

「・・・」

 思わず黙り込む。

 リリスは最強の魔女で最も古く、長く生きている魔女。知っていてもおかしくない。

「女の子同士なら問題ないでしょ」

 頬を手でさする。

「そういう問題じゃないから・・・」

「いいとこ教えてあげるって」

 顔を両手で抑えられる。

 リリスの顔が近づく。

 まさか、キスをする気。

 防ぎたいのにそれでも体が動けない。

 もう口が目の前だった。

「ジャンヌさん!無事か!」と息が上がっているレオンがきた。

「レオン?」

「あなたが寝ている時に投げ飛ばしたのよ」とリリスが空いた壁を指差す。

「え。そうなの・・・」

 寝ている間に何をしたの。私。

「コゼットが来るまでちょっと大人の遊びに付き合おうと思ったの」

「今すぐ離れろ!」

 レオンが怒鳴る。

「あなたがさっさとしないからでしょ。キスしたらやめるけど」

「なんでそうなるんだよ!」とレオンが顔を赤くして怒鳴る。

「何よ。ジャンヌとキスしたいから始まったんでしょ」

「え!?」

「言うな!」

「あとは二人でね」とリリスは消える。

 このタイミングで消える?

リリスが消えたから、少しはほっとしたが。

レオンを向くと、しゃがみ込んでいた。

 少し気まずいことに。

 この空間を抜けるためにレオンから話を訊く。



「そういうことなの」

 ジャンヌは服を着替え、レオンから事情を話した。

 ベッドの上で座るジャンヌとレオン。

「まさか・・・来るとは・・・思わなかったから・・・」

 レオンが視線を逸らして言う。

「そうね・・・」

 レオンはリリスのお気に入りにしては、毎回現れている様子がない。

 それほど自由気まぐれなのだろうか。何を考えているのか分からない。いや、リリスの頭の中は覗きたくない。

 レオンは申し訳ないような顔をしている。

 これ以上責めるつもりはないが、またリリスがイタズラにするかもしれない。

 レオンは助かっている。最近は見捨ててしまったこともあったから、申し訳ないこともある。

 だから今回は、レオンの頬に軽く口をつける。

「なあ!」

 レオンの顔が急に真っ赤になる。

「これで我慢してね」

「ああ・・・」とレオンが倒れる。

「あ!レオン!」



 一方。

「もうちょっと見てくれない」

 魔女のおしゃべりできたリリスから対応するウィム。

「はい・・・かしこまりました・・・」

 縛り付け、木に吊るしていたアキセをまだ見るウィムだった。





「全く。チャンスだったのに、キスをしないなんて」

 リリスは長椅子に座って言う。

「余計なことをするな!」

 あの後、レオンは無理やり連れてかれた。

「キス・・・したさ!」と強がって言う。

 ジャンヌから頬にキスしてもらった。

 その時、リリスの背後に、鳥籠に入ったヤキトリが鋭い目つきをする。

「ジャンヌからでしょ。しかも頬に」とリリスは頬に指を差す。

「いいだろ!」

 今度はヤキトリが暴れた。

「キスっていうのは、口と密着して・・・」

「分かったから!それ以上言うな!」

 そのままキスされる流れにもっていかれそうだったから止めた。

「ヘタレ」

「また言いやがって!」

「そうだ。鍛え直しに久しぶりに行くか」とリリスは立ち上がる。

 まさか。

 今までの記憶が思い浮かぶ。

 体以外に。いろいろと。

 死ぬ気で走る。が。いつの間にリリスに左足を掴まれ、引っ張られる。

「嫌だああああああああああああああああああああああああああああ。行きたくないぃいいいいいいいいいいいいいいい」

「何よ」

 リリスはヤキトリが入った鳥籠ごと取る。

「嫌に決まっているだろ!」

「ヘタレを直すのに」

「そこじゃないし!あんなことをして直すところが!普通なら虐待で訴えてもおかしくないからな!」

「訴えてもいいけど、そっちの方が疲れると思うけど」

 絶対に勝てない。逆にやり返すよと聞こえてしまうのは、なぜだろうか。

「久しぶりに入りたくなったし。そうだ。呼ばないと」

「もっと嫌だあああああああああああああああああああああああ」

 もう呼ぶ相手は分かっているから余計に行きたくない。

「そう。行かなかったら、後悔することにもなるけど」

 リリスは、にやっと笑う。

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