そういえばまだしていない①
そういえばまだしていない。ジャンヌとキスをしていないことに。
レオンは思った。
酔ったジャンヌがキス魔になり、アキセを襲っているのは知っているが、ジャンヌは知らない方がいい。知ったらパニックに陥る。
キス魔になってまでジャンヌのキスを求めていない。こう、恋愛に近いキスというか。
「あら。レオンじゃないの」
噂をすればジャンヌが現れた。
「あ!いや!」
びっくりした。
「こんなところで何をしていたのよ」
なぜだ。キスのことを考えただけでジャンヌと目が合わない。
「気をつけろ。興奮しているリリムは何をしてかすか分からないからな」
しれっとアキセが現れた。
「てめえ!入ってくるな!」
アキセに怒鳴りつける。
急にアキセの顔が睨みついた。
あ。
「来い」
アキセに胸蔵を掴まれ、引っ張られる。
パジャ。
アキセに胸蔵を掴まれる。
「おまえ。何考えているんだ?」
「はあ?」
悟られていけない。
「おまえに話すことはない!」
「ほお」
アキセにじっと見つめられる。
「なんだよ・・・」
「まさかとは思うが、ジャンヌとセックスしたいのか」
「ちが!キスもしてないのに、急にセックスなんて・・・」
あ。
「おまえ。キス未経験じゃないだろ!」
「そんなキスと一緒にするな!」
思い出したくないほどに。
「あの女に遊ばれているからファーストキスも終わってるだろ。今更、そんなキスを・・・」
ガシ!
背後からアキセの頭が掴まれる。
「キスさせろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
酔ったジャンヌが、ゴキと音が鳴るほどに首の向きを変えたアキセとキスをする。
なぜ急にジャンヌが酔っている。それに服が濡れ、酒の匂いがする。
「あ・・・」とアキセは倒れる。
それはキスしながら、体内に『光』を注いでいるからだ。
さすがに直接体内に注がれば、いくら『光』の抗体を持っても浄化される。
おそらく想像以上の苦しみだろう。
「てめえ・・・このキスを耐えられるなら・・・やってみろ・・・だとしても邪魔してやる・・・」と苦しみながら倒れているアキセは言う。
「どんだけ執着あるんだ」
「ん?何?キスしたいのぉ・・・」とジャンヌが来る。
もう獲物を狙った目つきをしている。
見逃してくれない。
「ちょっと待って・・・落ちついて・・・」と後ろに下げる。
したいけど、さすがに『光』を注がれるのは。
「ほら。望んだキスできるよ」
別の女の声。
振り向くとかざなりの魔女ウィム・シルフだった。
「おま!確か・・・」
「そんな時よりもほらほら」と頭を掴まれ、「キスしたいんでしょ」と無理やり向けさせる。
「なあ!」
「キスしたいの・・・」
ジャンヌが酔いながら近づく。
「何が目的だ!」
「キスしたいって言うから、酒の力を借りたの」
「おまえの仕業が!」
「ほらほら!」
ジャンヌが近づいてくる。
確かにキスはしたいが。酒の力を借りなくても。
「されるが!」
アキセが腹にタックルしてきた。
「ぐわ!」と後ろに倒れる。
「絶対に阻止する・・・阻止する・・・」
体をよれよれながらも立ち上げるアキセ。
「てめえ・・・体を張ってやることか・・・」
「人のものを取るな・・・」
「絶対将来一生ジャンヌさんはなることない!」と指して言う。
「そこまでいうか!このヘタレが!」
「ねえ」
「何がヘタレだ!また了承してないだけだ!」
「それでもリリムか!積極的に相手を気持ちよく落とすのが礼儀だろうが!」
「同じ種族だからって一緒にするな!」
「ねえ」
「俺のやり方ってやるんだ!」
「了承得ても奥手に回って逃げるヘタレ流か!」
「そこまでヘタレじゃねえ!やる時やるわ!」
「ねえたら」
「「あ“あ”!」」としつこくいうウィムに一斉に向くレオンとアキセ。
「二人がさっさとしないから、どっか行っちゃったよ」とウィムが言う。
周りを見るとジャンヌの姿がない。
「まずい。ジャンヌさんがどっかに行っちゃった!」
「何、離れていくんだ!」




