寂屋の魔女③
大爆発が起きた。何事かと思い、ジャンヌが向かえば、まさかイルがいるとは思えなかった。しかも口輪に首回りに大きい襞襟をつけている。
「また、あいつにされた?」
またアキセに仕掛けられただろうか。
イルは大きく横に振る。
「違うの?」
大きく縦に振る。
決まっている相手なら楽なのに。
「とりあえず取ってあげるから」
襞襟をつかむ。
「じゃあ。引っ張るよ」
言いながらも襞襟が伸びる。
「え?」
さらに引っ張っても、襞襟が伸びる。
「え?どうなってるの・・・」
思わず手を離してしまう。
「あ」
襞襟は縮み、その反動で、バン!とイルは背後に弾かれる。
ドン!
「ごめん!大丈夫?」
木を倒すほどの威力があった。
くだびれている様子だか、イルは無事のようだ。
「じゃあ。その口輪から取ろうか。なんか簡単に取れそうもないからロザリオで削ってみるね」とロザリオに光の刃を作る。
イルがビビっている。
「怖いのは分かるけど、じっとして」
その時、イルが驚いた顔をする。肩を押され、横に倒れる。
水柱が伸びてきた。
「何!」
飛んできた先を見れば、管を持った黒と白の子猫がいた。
「「あ」」
イルが必死に指を差す。
「あの子たちが」
かわいいけど、惑わされない。この作品上、可愛い顔してクセが強い。
「これほしい?」
黒い子猫が指輪を見せる。
しかもとても見たことがある。
指輪がここにあるとしたら、アキセを襲った後だろう。
「「こっちだよ~」」
子猫たちは森の奥へと行く。
だか、追いかけない。
イルが不思議がってみている。
「あれは誘って油断したところ襲う作戦よ。そんな見え見えな罠に引っかからない」
今までは予想もつかないコルンの発明品に引っかかっていた。
こんな分かりやすい罠にはまってたまるか。
イルの精霊術を使えば、子猫たちの場所も分かるし、指輪を取り戻せる。
と思ったが、子猫たちが戻ってくる。
「戻ってきた」
なぜか涙目になっている。
「「なんで追いかけてこないの・・・」」
泣きそう。
「「恥ずかしいじゃん!うわ~ん!」」
泣いちゃった。
「泣き脅しは訊かないよ。指輪とイルのあれを取ってくれたらまだ許してあげるから」
子猫たちは泣き止み、お互いに目が合う。
「はい」
黒い子猫が指輪を出す。
警戒しながら指輪を取ろうとするが、指輪が爆発する。
「え?」
ぽよ~ん!
足元からなぜか、バネのついた板に飛ばされる。
あの子猫め。
ジャンヌが飛ばされる。
足に白い炎を噴射し、空中で勢いを止める。
かわいい顔しても許さないから。
「うわ!」
その時、足に何かに下へと引っ張られる。
下を向けば、足に紐が絡んでいた。
紐が引っ張っていく先は、湖だった。それに子猫たちがいた。




