ウィッカーマン⑦
カトリナはホウキに乗って、塔に向かっていた。
背後にはホムンクルスたちが追いかけている。ホムンクルスたちの体に記号や文字が虫のように動く。ホムンクルスから風、光線、刃を飛ばしていく。
袖から水晶玉を飛ばす。水晶玉の中にある陣から光の壁を生み出し、攻撃を防ぐ。
人じゃないにしても人の姿をしているからやりづらい。けど、魔術を使っているなら、この術は使える。
ホウキをスカイアクションライフルに変更する。
ハンドルや足場をつき、人が乗れるほどの大きいライフル。ハンドルを握り、高速を増し、大きく左に変える。
術式弾を装填する。
ホムンクルスたちに向けた瞬間に、ハンドルに着いた引き金を握る。
撃ち出す。
スカイアクションライフルは周辺から『呪い』を集め、装填した術式弾の『呪い』を倍に増す。撃った衝撃もスカイアクションライフルに刻んだ術式が働くから、抑えられる。
弾は銀色に輝き、まっすぐに飛ぶ。ホムンクルスの手前で、キーンと金属音がなり、キラキラ光る雪のように散っていく。
雪に触れたホムンクルスたちは、体中に動く文字や記号が点滅し、鈍くなる。動きが悪くなった。
魔術混乱術式が効いた。
この術式に触れた陣は、陣の流れを乱す。
ホムンクルスの動きが鈍くなった内に塔へ向かう。
あの塔の中にユビワがいる。急いで駆け付けなければ。
その時、塔が崩れ、燃えるような巨人が現れた。
記号や文字を刻んだ鉄が光り、内部から燃えている。体の隙間から燃えたものが垂れ落ちている。特徴的な火の巨人。
本で見たことがある。
「うそ・・・ウィッカーマン・・・」
ウィッカーマン。上級魔術の一種。
人工の巨人を作る計画だったが、消耗が激しく、生贄である人間が死ぬ限りで持続がない。操作もできず、魔術師が耐えきれなかったことにより開発計画は中止された。
ウィッカーマンが町の方へ歩いていく。
このままだと街に襲い掛かる。
魔術なら魔法陣の一部を破壊すれば、魔術は波動できなくなる。だか、上級魔術だから、下手に陣を壊せば、何起こるか分からない。被害も測り知れない。持続がないにしてもいつまでかも分からない。
まずは、上級魔術だとしても魔法陣がある。魔術師がいる。どこかに魔法陣があるはず。
右目を人差し指で通し、片眼鏡型スコープを武器庫から召喚する。
このスコープは、スカイアクションライフルと連動している。これで、魔法陣や魔力や『呪い』の量を測れる。
「え・・・」
まさか、ウィッカーマンの中に魔法陣が見える。
それに崩れた塔の中に人影が見える。
「あれは・・・」




