傷抉の魔女③
「ああああああああああああ!」
アキセが叫びながら起き上がる。
もう何日目だ。もう何回目だ。
窓が一斉ない部屋に閉じ込められ、一つだけの明かりで薄暗く、右手首に鎖を繋いでいる。ベッドの上にいた。
何度もあの想いを奪っても蘇る。
徐々に体力も減り、魔力も阻害していく。息が乱れる。冷や汗が止まらない。体が重い。頭も痛い。気を失っても、何度もあの時を夢になって現れる。
何度も繰り返す日々が続いていた。
「すご~い。3日も経っているのに、まだ意識がある~」
ベッドに手をつけるフィア。
3日も閉じ込めているのか。
「不思議~こんなに食べてもおかしくならないし。死なないなんて~やっぱりリリスの血が流れてるだけあるね~」
呑気に言う。
「殺す・・・つもりが・・・」
「ん~運が良ければ、トラウマがなくなって元気になる子もいたな」
それって痛みを耐えないといけないってことか。
「でもこれだけ食べても生きているから死なないよ。もっと頂戴!」
「ふざけるな!」
フィアの頭に直接エンジェライトを召喚した。
効いたのか、フィアは背後に倒れ、動かなくなった。
けど、おかしい。ウィムは叫びながら苦しんでいた。叫ぶこともなく倒れただけ。
「もう~何をするの」
何事もなかったようにフィラが起き上がる。
ぞっとした。ウィムでもかなりの効果だったのに。
「もう~お仕置き!」
フィアが言った途端に、またあの時の想いが思い出す。
「あ・・・」
頭を抱える。
頭の中に細い虫が入ってくる感覚がする。
手の感覚もなくなっていく。動くこともできずにぶらつくだけ。手首に何度も切る感覚が襲われる。
息が乱れる。
目の前があの時の映像が浮かび上がってくる。
あの時の。思い出したくない自身の顔が。
ドーン。
破壊した音がした。
「ウィムのやろ~」
訊いたことのある声。壁が壊れ、外からの日差しで明るくなった。白の聖女ジャンヌ・ダルクがいた。




