優美の魔女③
「あら、まだ『タタリ』にかかっていないエルフいたのね」
魔女は、鋭い目つきでカナエを見つめる。
「それに聖女もいるのね」
ジャンヌはロザリオを構える。
「でも、聖女も大したことないわね。こんなブサイクとわね」
その一言でプチとジャンヌは切れる。
「やっぱりこの優美の魔女クレオパトラに勝る美しさじゃないわ。ブサイク。いやもう口に出しただけで美しさが欠けてしまう」
咄嗟に白い炎をぶつけるが、砂の壁で防がれる。
「野蛮な聖女。失礼じゃないの」
「失礼?侮辱しないと美貌を保てない魔女に言われたくないわね」
ジャンヌはクレオパトラを見下ろす。
「何言ってるの。私の美しさはあなたたちに貶さ(けなさ)れて落ちるほど脆くない。下等な種族が私の魅力を増すだけよ」
ブチ。ブチブチ。
――やっぱりこの魔女の顔をブスに落としてやる。
入口を防がれている。逃げ場がない。
さて、どう戦おうかと考えた時だった。
クレオパトラの背後から水が襲い、ジャンヌを超え、奥の壁にまで押し出す。
視線を向けば、指飾りで構えていたアキセだった。
水の正体は、アキセの魔術によるモノだった。
よく見れば、アキセの顔のあちこちに口づけの跡があり、服も微妙に破かれている。
あれ、絶対にやられている。
「てか。よくもやってくれたな。あのまま見捨ててもよかったんだぞ!」
さすがにアキセも怒っている。
「え?見捨てる?逃げ切れるの。『タタリ』にかかったあのエルフから。戻ってくるとは思ったのよ。助けてもらうために」
イタズラな目でアキセを見つめる。
「一応俺も作戦の要なんだから、丁重に扱え」
「丁重に?だったら、魔女を倒せるにも私だけなのよ。最重要は私になるはずなんだけど」
「あの~口喧嘩はそこまでにしてくれませんか」
カナエが横から入る。
確かにカナエが入らなければ、口喧嘩が止まらない。
奥にいるクレオパトラに視線を向く。
周りが水浸しだった。
クレオパトラの様子がおかしかった。
細かった体が豚のように丸く太り、手足も短くなっている。
「その声・・・あの時のガキが!」
クレオパトラが声を上げる。
「あんた。本当に何したのよ?」
アキセに訊く。
「覚えていないって。『タタリ』にかかって、魔女と夜這いしただけだって」
「あんた。『タタリ』にかかってても本能は残っているのね・・・」
いつものごとだか、アキセに呆れてものが言えなくなる。
「クソガキ!殺してやる!」
顔を上げてみれば、顔が丸くなり、目が小さく、でかっ鼻。
先ほどまでに見た体型の面影がどこにいったのだろうか。
「う!これはキツイ!」
顔を防ぐアキセ。それはそれで失礼な奴がと心の中でとどまるジャンヌだった。
「へ~、圧化粧していたわけだ」
その時、操られたエルフがかけつける。
「女王様!」
エルフたちがクレオパトラを見たとたん、ショックしたのか次々に倒れる。
「そうか、これが原因で解いたのか」
不細工な顔を見てショックし、『タタリ』が解いた。アキセも魔女の正体を見て『タタリ』が解けたのだろう。
「この姿を見た者。全て殺してやるうううううううううう」
「整形する前に殺してやるよ!魔女め!」




