豪火の魔女①
このところ曇りが続いていた。
「そういえば、最近見てないな。ジャンヌ」
アキセは呟きながら、森の川を沿って歩いていた。
「ん?」
川と岩の間に何かが光っていた。
「これって・・・」
川から取り上げた物は、赤い宝石エンジェライトに込めた金色の十字架、聖剣ロザリオでジャンヌの持ち物だった。
「まさかな・・・」
あのジャンヌがやられた。
暴力暴言で、女っ気のない男勝りで顔と体だけの女が。
アキセは、川沿いに走り出し、ジャンヌを探し続けたが。
1時間であきらめた。
結局、ジャンヌを見つからなかったため、あきらめて、近くの町の中を歩いていた。
「まさか・・・あのジャンヌがな・・・」
絶対死なないような聖女でも死ぬときは死ぬものだと思った。これで楽しみが減った。
「まあ、とりあえず女を探すか・・・」
気分転換に女とやろうと探そうとした時、目の前の少女とすれ違ったが、アキセは少女の手首を掴む。
「やっぱり・・・」
薄汚れた長いドレス。どこにでもあるような町娘の服。金髪で青い瞳。ジャンヌだった。
「え・・・と・・・・」
ジャンヌは目が丸くなっている。
「何やっているんだ?その格好してさ」
黙り込むジャンヌ。
「おい・・・」
「あの・・・どなたですか?」
「はい?」
思わず言ってしまった。様子があきらかにおかしかった。
「人違いをしていませんか?」
ジャンヌは、首をかしげる。
「何?知らないですって顔するなよ。ジャンヌ」
「なんで私の名前を」
ジャンヌはますます警戒をしている。
「何、ぼけているんだ?」
「あの・・・手を離してくれませんか」
ジャンヌが手を離そうと引っ張ってくる。
「まだ、話が!」
アキセも負けずに手を離さないように抵抗する。
「離して下さい!」
「ちょっと、暴れるなって!」
「きゃあアああああああああああああああ!」
ジャンヌが突如悲鳴を上げる。
周囲の町人は、彼女の悲鳴に気づき、ざわざわと騒ぎだす。
「助けてください!不審者です!」
「ちょ!おまえ!」
「おい!」
男が目の前に現れる。
20代くらいの若さで、普通の町にいそうな青年だった。
「彼女が嫌がっているんじゃないか!」
青年はアキセからジャンヌを離し、ジャンヌをかばう。
「誰だ?おまえ」
ジャンヌは、青年の後ろで怯えたウサギのように小さくなって黙り込む。その様子から、いつものジャンヌと違っている。
「ジャンヌさん。知り合い?」
「分かりません。でも・・・なぜかこの人から変質者の感じがしています」
「待て!そんな犯罪者な言い方するなって!」
すると。
「どうした。トール?」
そこで中年男が横から現れる。
「ジョンさん。この人、犯罪者みたいです。ジャンヌさんを追われているみたいです」
あれ、犯罪者に格上がってないか。
「何!?」
ジョンと呼ばれる中年男はアキセを睨みつける。
「分かった。トール。ここは俺たちに任せな」
「ありがとう。ジョンさん。行くよ。」
トールと呼ばれる青年は、ジャンヌを引っ張って走り出す。
「話はまだ終わってないって・・・」
追いかけようとしたが、いつの間に町人に囲まれており、行く道を拒まれる。
ジョンが、アキセをさらに睨みつける。
「って、あんたはジャンヌの何なんだ?」
「え~と・・・」
アキセは、相手に手をひらひらさせる。
「何もしてませんよ~」
急いでその場を走り出す。
「あ!待て!犯罪者!」
アキセは、街角に入り、足を大きく蹴り、屋根の上に上る。屋根から町人達が逃げ去ったところを確認とり、安堵の息を吐き、座り込む。
「どうしたんだ。あいつ」
男勝りで女っけがなかったジャンヌが、あんな大人しくて可愛らしい女になってしまった。
「あれなら、イケる」と呟く。




