表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/34

第7話「初めての冒険」

「マルテ、まずいんじゃないかな……僕たちだけで、西の森に入るなんて……」

「大丈夫だよ。ここら辺の領地には、魔物なんていないって、おとうさま……お父さんも言ってるし。ちょっと様子を見るだけだから」


 私は渋るルゥの手を引き、西に向かっている。

 後ろには、いじめっ子三人も一緒だ。


「ありがとう、ありがとう……!! あの、ルゥ……この前のこと、ごめん……」


「え? いや、いいよ。もう……」


「あと、魔法使いの……お前、なんて名前なんだ?」


「私? マルテ! マルテ・サイトウ・タナカよ!」


「……変な名前だな。でもありがとう、マルテ」


「俺、ラズ!」


「俺はティビー!」


 いじめっ子はリーダー格がゼドで、一番ちっこいのがラズ、ちょっと太ってるのがティビーか。一気に友達が増えて、なんだかうれしい。

 近所の子供5人のパーティかぁ。ゲームみたいで楽しいな。


 私は、”ミイス魔導物語”に書かれている冒険譚を思い出さずにはいられなかった。彼女も子供のころは、近所の友達を連れて、冒険に出かけたのだ。


 さながら私はパーティのリーダーの魔法使い。そしてお供の賢者のルゥ。あとは見習い戦士が三人。……ちょっとバランス悪いかな?


 私はうきうき、ルゥはびくびくしながら進んだ。

 そしてついに、私たちはうっそうと茂る森にたどり着いた。


「ここが……西の森……」


 ものすごく木が高い。森の中は、木々が日を遮り、薄暗かった。


「……本当に行くの?」


「行くよ! だって私たちは魔法使いなんだから!」


 それに、私は本当は大人だしね。

 そんなに不安がるなルゥ君。お姉さんに任せなさい。


「”光の精霊よ、顕現せよ”」


 手の中にまばゆい光を放つ球が現れる。

 それも、一度に6体呼び出した。これくらいは楽勝だ。

 周囲を光の精霊が漂うと、ゼドたちがうわぁ、と歓声を上げた。


 私たちは森に足を踏み入れた。

 一気に緑の匂いが濃くなる。

 全員で手をつないで、はぐれることのないように森を進んだ。


「……”風の精霊よ、顕現せよ”」


 ある程度進んだところで、ルゥがなぜか風の精霊を呼び出した。

 緑色の発光体が、複数周囲に散っていった。


「あれ? なんで風の精霊?」


「うん。この森は思ったよりも深そうだし、魔物はいなくても、危ない動物はいるかもしれないからね……」


「え、でも、風の精霊なんかじゃ……」


 動物を追い払うなら、炎の精霊とかのほうがいいんじゃないだろうか。いや、火事になっちゃうかもしれないけど。


「マルテ、気付いてない? 風の精霊に意識を集中すると、周りの気配がすごくよくわかるんだ。風の精霊は音や匂いにとても敏感みたいだ」


 え? そ、そうなの?

 全然気づいてなかった……


「ルゥ、すげえ!」


「お前も魔法使えたんだな!」


 はやし立てるゼドたち。ちょっと悔しい。


「え、えへへ……ゼドたちも、練習すれば使えるようになると思うよ」


 むううう。

 わ、私も風の精霊を呼び出そうかな……と、悶々としていたとき。


「マルテ、左のほう!」


 ルゥが何かに気付いたように言った。

 私はあわてて彼の示す方を見た。


「え、なに? 何も見えないけど?」


 普通の茂みだ。怪しい物も動物もいない。


「一見して何もないけど、おかしな空気の流れがある……」


 ルゥは私の手を離し、前に立って歩きだした。

 彼の後を私とゼドたちが追う。


「……ここだ! ”炎の精霊よ、顕現せよ!”」


 彼はうっそうと茂る蔦を、炎の精霊で焼き切った。


「こ、これは……」


 私たちは息をのんだ。

 そこには、地下へと延びる怪しげな洞穴があったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ