猫との会話 第2話
声劇の台本で、二人用です。
猫と飼い主の日常会話となります。
男女比は特に気にしていただかなくても大丈夫かと。
かなり短い作品ですが。
遠慮なく使っていただけると嬉しいです。
ポリス……ちょっぴりわがままな猫らしい猫。食いしん坊の暑がり。
いおり……アパートで一人暮らしの独身女性。ポリスと会話できる能力をもつ。
夕飯時、いおりとポリスは、いつも仲良く一緒に食事をとる。
丸テーブルの上には、白身魚の西京焼き、ご飯、きんぴらごぼう、納豆など。
ポリスには、いおり特性のねこまんまが用意されている。
いおり 「いっただっきまーす!」
いおりが挨拶すると、ポリスが、丸テーブルの上にひょっこりと顔を出す。
いおり 「ポリス、どうしたの? ご飯食べないの?」
ポリス 「いおり、納豆ってうまいのか?」
いおり 「おいしいよ。健康にもいいしね」
ポリス 「そっか。なんかここ最近、毎日食べてるよな」
いおり 「ふふふ。たしかにそうだね。ポリスもほしいの?」
ポリス 「うむ。ちょっと食べてみたいかも」
いおり 「はい、じゃあ、食べさせたげるね。お口、あーんってしてみて」
いおりが納豆を、ポリスに口元まで運んでいく。
ポリス 「ふごぇーーっ!」
納豆の臭いを嗅いだ瞬間、飛び跳ねるように部屋の隅まで避難するポリス。
ポリス 「な、なんじゃ、その臭いはっ! 鼻がもげるかと思ったぞ」
いおり 「ふふふ。ポリスには10年早かったかな」
ポリス 「うーん、それはどうだろう」
いおり 「どうだろうって?」
ポリス 「だって猫は、寿命的に10年先も生きられるとはかぎらないぞ」
いおり 「ポリス……そんな言わないでよ。なんだか悲しくなるじゃんか」
ポリス 「ああ……すまん。失言……だったのじゃ」
いおり 「長生きしてよね……ほんとに……お願いだから。ね? ほんと頼んだよ、ポリス」
ポリス 「うむう。頼まれたー」
いおり 「ほんとだよー?」
ポリス 「しかし、10年たったら僕もすっかり老猫だなあ」
いおり 「ふふふ。ずっと一緒に長生きしようね」
ポリス 「いおりも10年たったら、おばあさんになってるかもしれないぞ」
いおり 「何言ってんの。私は10年後もまだまだお姉さんのままでい続けるよ。是が非でも踏みとどまるから、そこは」
ポリス 「たしかに、いおりは年をとっても、ずっと今のまんまって感じがするかも」
いおり 「ふふふ。そうかな? だといいけどなあ。そのへんはちょっと願望込みだけどね」
ポリス 「毎日納豆食べたら、僕もうんと長生きできるのかな」
いおり 「ああ……うん。でも、無理しなくていいよ。納豆は人間でもほんと好き嫌いの激しいものだしね」
ポリス 「僕も少しでも、いおりと長く一緒にいられたら嬉しいからな。ちょっとくらい頑張らせておくれ」
いおり 「ポリス……」
ポリス 「(納豆に顔を寄せて)ふごぇーーっ! やっぱり無理だ。すまん、いおり」
いおり 「ふふふ。いいよ、大丈夫。今は気持ちだけもらっとくね。ありがとうね、ポリス」
ポリス 「うー」