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39話 ゲームで遊ぼう・2

「うーっ……うーうーうーーー!!!」


 涙目の色羽が、ぽかぽかと俺を叩く。


「落ち着け」

「うー!!!」

「言葉をしゃべってくれ、言葉を」

「むうううううーーーっ!!!」

「やれやれ」


 ゲームの対戦で負けたことが、そんなに悔しいのだろうか?

 さっきから、ずっとこんな調子だ。


 ……まあ、今の試合を合わせて、30連敗だからな。

 悔しくなって、膨れて当然か。


 対人戦は久しぶりだから、ついつい熱中してしまい、手加減を忘れてしまった。

 これは俺のミスでもあるな。


「悪かった。次は、ちゃんと手加減するから」

「それはそれでムカつく!」

「どうしろと?」

「正々堂々、ちゃんと戦って、その上であたしに負けて!」

「そんな無茶な……」


 色羽はゲームを初めてしたという、初心者中の初心者だ。

 そして、ゲームの才能があるわけでもない。


 そんな相手に本気で挑んで、負けるほど俺はゲーム下手ではない。


「……」

「なにさ?」

「いや……色羽は、負けず嫌いなんだな、と思ってな」


 試しに付き合うようになって、しばらく経ったけれど……

 一緒に過ごす度に、こうして、新しい一面を知ることができる。


 それは、うれしいことに思えた。


「対戦はやめて、今度は協力プレイをしないか?」


 いつまで経っても勝負が終わりそうにないので、妥協案を出した。


「きょーりょくぷれい?」

「名前の通り、二人で一緒に協力してゲームを進めるんだ」

「それ、楽しいの?」

「対戦とはまた違う楽しさがあると思うな。二人で協力してゲームを進めないといけないから、相性なんかも試されるだろうし、それに、一緒に遊ぶことで仲も良くなると思う」

「やるっ! 協力プレイするっ!」


 現金な子だった。


「なら、そうだな……アクションにするか」


 レトロな雰囲気が漂い、どこか懐かしい横スクロールアクションゲームをチョイスした。

 これなら格闘ゲームと操作が似ているため、わりとすんなりとプレイできるだろう。


「これはどんなゲーム?」

「簡単に言うと、二人で協力して悪を退治するゲームだ。操作方法は……」


 さきほどと同じように、操作方法を教える。


「近距離タイプ、遠距離タイプと二つあるから、別れた方がいいな。色羽は、どっちがいい?」

「んー……この格闘家みたいなキャラかな」

「なら、俺は魔法使いタイプで」


 それぞれキャラクターを選択して、ゲームスタート。


「えいっ、えいっ。ていや!」


 出だしは快調で、色羽はすぐに操作のコツを掴んだようだ。

 敵を次々と撃破しつつ、うまいタイミングで攻撃を避ける。


 ……こっそりと、難易度をイージーにしたおかげかな。


「色羽、あまり前に出るなよ」

「大丈夫、大丈夫! こいつらぜんぜん弱いしっ」

「ぜんぜん弱い、って、日本語が少しおかしいからな」

「そういう先生みたいなこと言わないで」

「教師なのだが」

「今日は休日で、千歳はあたしの彼氏! そーいう、口うるさいのは禁止だからねっ」


 言ってるそばから、色羽が突出する。

 そのせいで敵に集中砲火を浴びて、どんどん体力ゲージが削られる。


「言わんこっちゃない」


 慌てて、支援魔法を発動。

 さらに回復魔法を使い、色羽のキャラクターを癒やした。


「ふふんっ、テメーらの力はその程度か! 甘いんだよ、オラっ!」


 ゲームに感化されて、色羽が不良モードに切り替わる。

 それに合わせて、キャラクターの操作がうまくなるから不思議なものだ。


「いくぜっ、千歳! あたしに着いてこいっ」

「だから、突出するなと……」

「いいんだよ。こういう風に遊ぶのが楽しいんだから」


 ある意味、色羽らしい言葉だ。

 ついつい苦笑してしまう。


 ずんずんと突撃する色羽を、俺は後ろからサポートする。


「おーっ、良い感じだな! あたしたち、無敵にコンビじゃねっ?」

「相性は良いかもしれないな」

「へへっ、やっぱり、愛の力か?」

「くだらないことを言っていると、被弾するぞ」

「あっ、テメー、コソコソとつまらねー攻撃をしやがって……ぶっ殺す!」


 敵の攻撃がヒットして、色羽が怒る。

 怒ってはいるのだが……ゲームで遊んでいるものだから、迫力というものは皆無だ。

 それどころか、どこかかわいらしい。


 また一つ、色羽の新しい一面を知ったような気がした。


「千歳っ、千歳っ。ヘルプ! これ、あたしだけじゃきびしーって!」

「突撃したせいだろう」

「そこをサポートするのが、夫ってもんだろ」

「色々と過程を飛ばしすぎだ」


 あれこれと騒ぎながら、俺と色羽はゲームに夢中になるのだった。

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