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生命魔術と想い出  作者: 紗厘
第二章 ~真実と決断~
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ドタバタ生活

 日葉の用意してくれた朝食を食べる。

 ふとカレンダーに目がいく。


「父さんと母さんっていつ帰ってくるんだっけ?」


 日葉が口の中にある物を飲み込み答える。


「確か五日後だったと思いますけど」


「そっか、あと少しだな」


 そう言ってコップの中に入っていたお茶を飲み干し、隣に置いていた鞄を手に取る。


「もう行くんですか?」


「昨日遅刻したからな、それじゃ行ってきます」


「……いってらっしゃい」


 日葉は何か躊躇いながら見送ったが織音は気にすることなく家から出て行った。


 教室に入り席に座る。

 すぐにポケットからスマホを取り出し、イヤホンを付けて音楽を聴く。

 目を瞑れば、目の前に穏やかな海があり、背には広くひろがる森がある風景が浮かんでくる。

 そんなときに水を差してくる男がいた。――鷹中だ。


「よう、昨日は寝れたか?」


「あぁ」


 癒されていた時に水を差され少し機嫌が悪くなり返事が短くなる。


「これで、朝音楽を聴いている時に話をかけるなと二十回言っているのに、なんで話かけてくるんだよ。みたいな反応はなんだ」


「分かっているならやめろよ」


 あと何ちゃっかり数えてんだよ。


 織音は怒りを通り越し呆れていた。


 ため息交じりに今日家に来ることは可能か聞いた。


「もう日葉ちゃんから聞いてる。ついでに言うと繊月もだ」


 いつの間に連絡先を交換していたのだろうか。

 思い返せば、昨日も日葉は先に鷹中達が来ることを知っていた様子だった事を思い出す。

 昔から魔術師同士で繋がっていたのなら、連絡先を交換していても不思議ではない。


 チャイムが鳴る。しかし、隣の席の繊月がいなかった。

 チャイムの鳴り終わりと同時に担任でもある冴月が入ってくる。


「今日は、織音はちゃんといるね」


 そのまま繊月は視線を横にずらす。


「でも、繊月は休みか」


 名簿に出席者の印をつける。

 出席者の確認が終わり、名簿を閉じる。


「よし、じゃあホームルーム始めるよ」


 特に繊月がいないこと以外変わったとこも無く、ホームルームが終わり休憩時間になる。


「今日繊月はどうしたんだ」


 織音が鷹中なら何か知っていると思って聞く。


「さあな」


 何か知っている風だったが織音はその違和感に気づくことは無かった。

 何か用事があったのか、体調を崩したのか、それとも魔術師の事情なのか。それは分からない。

 ただ、魔術師同士で殺し合いという事を聞いていたからか織音は心配していた。


 すると突然、雪音の声がする。


「雪、今すぐ帰った方がいい」


 まだ一時限目も受けていないのに何を言っているんだ。


「本気で言っているのか?」


 口には出さずに雪音に伝えた。


「本気だ」


 その声に曇りは無かった。


 仕方ない、仮病で休むとしよう。


「鷹中悪い、もう帰るわ」


 鷹中は一つ溜息を吐いて「やっぱりか」と小声で呟いた。


「やっぱりってなんだ」


「いや、今はいい。だったら職員室で冴月に言えば帰らせてくれるさ」


 そんなに軽くないと思うが、その言葉を信じで冴月に頭痛がひどいと言ったら、帰っていいとの事だった。


 残念ながら冴月先生は軽かった。


 そうして、校門を出ようとした時に後ろから鷹中に止められる。


「こっち来い」


 急いでいるが鷹中なら何かあるのだろうと思い、ついて行く。

 実際について行くと男子トイレに入れと言われた。


「何でそうなるんだよ」


「いいから入れって」


 押されながら入ると、二人同じ個室に入れられる。


「お前は何考えてるんだ」


 少し小声になる。鷹中はニヤリと笑みを浮かべポケットから砂の入った袋を二つ取り出した。

 床にばらまき始める。


「まさかテレポートか」


「ご名答。二人分の砂を使えばいいだけだからな」


 説明されている間に須永舞い上がり織音と鷹中を囲む。

 目の前は真っ暗で音も無くなった。

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