最高チームワーク?
冴月と繊月が家にあがり、鍵もしっかりと閉める。
織音は繊月を説得しなければいけないのかと思うと気が遠くなる。
身構えていると繊月から意外な言葉が飛んできた。
「私もつれて行きなさい」
意外過ぎて織音と日葉は目を点にする。
「私が全部説明しておいた。連れて行くかは織音が決めると良い」
冴月から全部を押し付けられたような言葉を聞かされる。
予想していた事が飛ばしに飛ばされ置いてけぼりになっていたが、すぐに追いつく。
「人が多いいに越したことはない。ただ、安全を一番に考えてくれ」
「当たり前でしょ、私的には雪君が心配なの」
――御もっとも。
「よし、ちょっと待っとけ」
冴月が急に車の方へも戻っていった。
二分ほどして帰ってくる。
「は?」「え?」「お?」
口それぞれに驚きの一文字だけ口に出る。
それ以上も以下もなく、ただその一文字だけ。
それも仕方がない、冴月の手には異様なものがあった。
たくさん穴があるタイプのベルトの穴一つ一つに真っ白な単語帳が付いていた。しかも二本も。
意味が分からない。否、分からないわけでは無い。繊月のために作ったのだろうとい予想はついていた。
「えっと……」
繊月も困惑していた。
「これを腰につけておけば、簡単に魔術を使えるだろ?」
「いや、そうですけど……」
確かに単語帳という発想はいいと思った。なのに何故こういう発想になったのだろう。
「ささ、付けた付けた」
繊月は無理やりに冴月に二本の単語帳ベルトを付けられる。
繊月も不便ではないと思い外さずにいた。
「そろそろ行こうか、私は弟たちには会いたくないからね」
卑怯だとか思う人もいるかもしれないが、ここにはいなかった。
一人ひとりそれぞれの事情を知っている。
だからこそ支え合えることもある。
「分かりました、では行きましょう」
「今日で終わる――いや、終わらせる!」
自信満々に声を張る。
「……」
「……」
「……」
「誰か何か言ってよ!恥ずかしいだろ!」
織音が耳を赤くしながら声をさらに大きくする。
「じゃあ、いこっか」
「そうですね、夏秧さんは体調大丈夫ですか?」
「私は大丈夫。何があっても助けてあげるから」
「はい、私も背中はお守りします」
「二人とも頑張るんだよ。私は送る事しかできないからね」
「先生は気にしないでください」
女性三人組は織音を置いて外に出た。
「どんなスルースキルだよ。レベル高すぎるだろ。まぁ、俺を抜いてチームワークが取れてるって考えたらいいのか。……いや、駄目だろ」
織音は一人ぶつぶつと言いながら外に出た。




