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生命魔術と想い出  作者: 紗厘
第一章 ~力と代償~
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新しい認識

 放課後、織音の家に鷹中と繊月が来るという話になっていた。


「繊月はまだしも、鷹中の家は反対だろ」


「大丈夫だって」


 何が大丈夫なのか分からないが確信の笑みを浮かべているようだった。


 そもそもなぜ家に来るのか、何か用事でもあるのかただの遊びなのか分からなかった。


「そんじゃ、行こうぜ!」


 一人だけ、とても盛り上がっている。


 鷹中のテンションは置いておいて、織音の家へと三人は向かった。

 校門を出て小さな公園を通り過ぎて川沿いの道をまっすぐ進んでいると家に着く。

 道中に事故などもなく、無事に家に着くことができた。


「五十分も毎日この距離を自転車で来てんのか」


 ただ一人だけ、息を切らしている人がいた。

 鷹中だけが徒歩で、織音と繊月は自転車だったからだ。


「お前ら二人せこいぞ」


 鷹中は織音たちを指差す。

 実際自転車で五十分の距離を徒歩は相当きついとは思うが、織音と繊月は褒めることも励ますことも無かった。


「何を言っているのさ、体育をサボった人がさ」


「そうよ、その罰と思ったら良いんじゃない」


 体育をサボった繊月の言葉には耳を疑うが、鷹中が文句を言う前に家の玄関が開く。

 先に、日葉が学校から帰っていたみたいだ。


「お帰りなさいお兄ちゃん、二人も入っていいですよ」


 日葉は先に鷹中と繊月が来ることを知っているような口調だった。


「んじゃ、遠慮なく入らせてもらうぜ」


 鷹中は今にも座って休みたそうにしていた。

 日葉も了承したようで、二人を入れる事にした。


 鷹中は家に入るや否や、「風呂を借りる」と一言言い残し許可なく入っていった。

 織音と日葉、繊月は日葉の入れたお茶を飲みながらゆっくりしていた。


「あいつはなんで風呂の場所を知ってんだよ」


 確か鷹中が織音家の家に来ることは初めてのはず。


「鷹中さんは何度か(うち)に来たことあるんです」


 口に含んでいたお茶を吹いてしまった。


「いつの間に」


「これから話す事と関係があるので、あとでまとめて話しますね」


 これから何かを話すのだろうか。

 ただ、鷹中と繊月が気まぐれで遊びに来ただけだと織音は思っていた。

 織音が眉間にしわを寄せている姿を見て、日葉は繊月に話を聞いた。


「夏秧さん、お兄ちゃんに何をするのか離さずに来たんですか?」


「いやー、忙しくてね」


 愛想笑いを浮かべながら言い訳をしている。

 その姿を見て日葉は一度溜息を吐いた。


「シャワーごちそうさま」


 と、陽気に鷹中が入ってくる。


「鷹中さん、次からはちゃんと事情を話してからにしてください」


「ん?もちろんよ」


 なぜか親指を立てて笑っていた。

 日葉は二度目の溜息を吐いた。


「今から話し合いを始めます。鷹中さんお願いできますか」


「まかせとけ」


 そう言って、ズボンのポケットから一つの袋を取り出した。

 その中には砂が入っていて、床にばらまく。


「お前なにして――」


「お兄ちゃん、大丈夫です」


「大丈夫って……」


 織音が鷹中を止めようと手を伸ばすと日葉に止められた。


 それから静かに見ていると、砂が跡形もなくどこかへ消えた。


「防音、人避けで良いんだよな」


「はい、ありがとうございます」


 織音は須永跡形もなく消えて、目の前で妹や友人が意味の分からない話をする訳の分からない状況に立たされていた。


「お兄ちゃん、今日夢を何か見なかったですか?」


 夢と言えば、お姉さんっぽい人に話しかけられる夢ぐらいだ。


「夢なら見たぞ」


「どんな夢ですか?」


 織音は不思議に思いながら覚えている範囲で日葉に説明をした。


「やっぱりか」


 繊月が何か勝手に確信していた。


 やっぱり、てなんだ。


「織音雪君、あんたは私たちと同じ魔術師になったんだ」


――魔術師?


 やっぱりここは、アニメの世界か何かだっただろうか。否、そんなもの実在するはずがない。


「信じられないかな?今君の目の前で魔術を使っている人がいたじゃないか」


 聞きなれない声がする。

 声の方を向くと、白髪ショートヘアーの少女が立っていた。

 先程までこんな少女はいなかったはずだ。


「こいつは俺が説明しよう。俺らが魔術師の中でブリガンテと呼んでいる。こいつの名前は(たか)だ」


「どうも、こいつのブリガンテの鷹だ」


 鷹中の紹介の後に本人も挨拶をする。


 だが織音は全く理解できづにいた。

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