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生命魔術と想い出  作者: 紗厘
第一章 ~力と代償~
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残念な学生生活

 学校に着くと一時間目はすでに始まっていた。


「珍しいね織音君が遅刻って、じゃあ席座って」


「は、はい、すいません」


 先生との話を終え、窓際のいつもの席に座る。

 すると後ろの席の鷹中(たかなか)(ひろ)が茶化してくる。


「うんうん、思春期男子は大変だな」


「鷹中、お前がどんな事を想像し勘違いするかは勝手だが、それは無いから安心しろ」


 と、鷹中の勝手な妄想を否定する。しかし周りの女子は勘違いしているようだった。

 織音は、その女子たちの視線に気づき大きくため息を吐いた。


 隣の席に座っている幼馴染の繊月夏秧は誤解するはずがない。

 幼稚園から高校までずっと同じだったのだから。

 そう信じて繊月の方を期待の眼で見ていた。

 繊月は織音の視線に気づく。


「サイテーね」


 あっれー、おかしいなー。


 織音は笑顔のまま固まって、笑顔のまま涙が出そうだった。


「はいはい、授業中だから授業に集中して」


 先生の合図で、何とかこの状況を乗り切った。


 チャイムが鳴り、一時間目の授業が終わった。


「お疲れさま、次の授業に遅れないように」


 先生が教室を出ようとした時、放送が流れた。


『冴月先生、職員室までお越しください』


 と、一時間目が担当だった先生が呼ばれていた。

 速足で、冴月は職員室へと戻っていった。


 四時間目まで問題もなく授業が終わり、お昼休憩の時間になった。


「よし、じゃあ屋上行くか」


 鷹中に声をかけられる。

 学校での昼食は毎回屋上で食べているのだ。

 鞄を持って二人肩を並べ教室を出た。


 屋上に着き鞄からレジャーシートを取り出しひいてすぐに横になった。


「飯はどうした」


「寝坊してコンビニに寄れなかったんだ」


 鷹中はフェンスに寄りかかり、コンビニ弁当を食べる。


 突然目の間が真っ暗になった。

 繊月が、織音の目の上にコンビニのサンドイッチ置いたからだ。


「はいこれ、買い過ぎたからあげる」


「じゃあ遠慮なく」


 と、織音は繊月からサンドイッチをもらった。


「ここって景色が良いのになんで誰も来ないんだろうね」


 その理由は決まってただ一つ。

 屋上の使用を禁止されているからだ。


「鍵も壊れてんだから入ったらいいのにな」


 鍵を壊した張本人が何を言うか。


 それは、織音だけでなく繊月も思ったらしく、じぃーっと鷹中を見つめた。


「何だよ、その目は」


「「何でもない」」


 おりんと繊月は声を揃えて鷹中を見続ける。


「仲がいいな、漢字も似てるし本当にただの幼馴染かお前ら」


「漢字は関係ないだろ、それにただの幼馴染だよ」


「織音そうかもしれないが、繊月はそうじゃないかもしれないな」



 そうやって繊月をおちょこくろうとしてくるけど


「残念ながら、私もただの幼馴染と思っているから」


 繊月にまで否定されて、鷹中は不貞腐れていた。


「面白くねぇな」


「まず、面白さを求める事が間違ってんだよ」


「だろうな」


 鷹中はコンビニ弁当の残りを口へ運ぶ。


 ふと腕時計を見ると、五時間目が始まる十分前になっていた。


「もうそろそろ行くか」


 レジャーシートを鞄にしまう。


「そうだな」


 鷹中が勝手に屋上に設置したゴミ箱にコンビニ弁当のごみを入れて、屋上から降りようとするが繊月は動こうとしない。


「繊月、遅れるぞ」


「次体育でしょ。サボるわ」


 繊月は体育の授業にほとんど出ない。


「単位落とすぞ」


「体育だけなんだから大丈夫よ、最悪補修にさえ出れば良いんだから」


 体育前にはおなじみの会話になっていた。

 そんな繊月は置いておいて織音と鷹中は更衣室に向かう。


 すると突然、鷹中が止まる。


「すまん、屋上に忘れもんした。先行っててくれ」


「分かった、また後で」


「おう!」


 と、走って屋上へと階段を駆け上がっていった。


――結局鷹中も体育をサボった。

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