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余所事の話 取り逃がす


 玉座に甲虫の秘者の頭が飛んでくる。サラは慌てて避けようとして椅子から転げ落ちた。


 甲虫の頭は背もたれに当たり、破裂して、玉座に脳みそと体液を撒き散らした。



「ギャーーーーーーーー!!」



 サラの悲鳴がほとばしる。


 飛び散った体液は、背もたれを汚すだけではなく、座面へとしたたり落ち、ブルブルと震えながら見守るサラの方へと血溜まりが広がり始める。


「ぎゃーーーーーーー!!!」


 再度、叫ぶとサラの姿がかき消えた。

 その瞬間、玉座の遥か上空にある雲に穴が開き、しばらくするとその穴は塞がった。


 セラとゼラは一連の騒ぎを一顧だにすることなく、無視し続けた。



      ◆


 セラとゼラが、ときどき世間話をしながら、掃除をし続ける事一時間。


 空からサラが垂直に降ってきた。


 上空へと飛んで逃げたサラが帰って来やすいように、玉座周りはすでに掃除済みだった。


「あれ? あいつはどこ行った!? 戦いたくなるほど強くなりそうもないし、眷属じゃないし、ゆう事聞かないし、アタシの居場所を汚したし! ……殺っとく?」


 甲虫の死骸砲弾を飛ばされたのがよほど許せなかったのか、サラは珍しく圧倒的格下に殺意を抱く。


「そんなの知りませんよ。もうとっくに飛び降りて、逃げてしまいましたし、私は掃除に集中したいんですから……」


 相変わらず死骸がたくさんの玉座の間はまた三人になった。


「そうよ、サラ。それにあいつはある意味、良い事教えてくれたじゃない。この死骸カブトムシ達は、ゴキブリ系まで連れて来ていたなんてねぇ……あれだけ殺してもまだいっぱいいるみたいね……」


「そういや、そうか。なら助けてやるか。忘れるかもだけど! あ゛あ゛! もう絶対に私はこの部屋以外には寄りつかないからな! 戻ってきて欲しかったら、私の眷属のみんなで力を合わせて城内のゴキブリ退治をしてくれなきゃダメなんだからな!!」


「いやですよ。城中の害虫駆除なんて、面倒くさいんです。特にゴキブリなんて、弱いのに逃げ足だけは速いから、居着いた部屋に奇襲をかけたって大半は散っていくのがわかっているんですから……」


「私もパス。別に殺虫は嫌いじゃないけど、弱すぎるのはイヤ」

 それを聞き、サラはわなわなと震えた。


「もう!! なんだって秘者の人間は、仲良くできないんだろ~な! 秘者の人間族は皆が、み~~~んな、勝手にする!」

 サラが口を尖らせてグチグチと文句をたれた。


「人間種が他の種族よりも大分は、劣っているんじゃないの? ウチが人間だった頃はどんな事を考えていたか忘れちゃったけど、セラは覚えてる?」


「そんな、蟻や蚊のようにどうでもいい事、私も覚えている訳ないじゃないですか」


「サラもそうだなぁ~~、断片的には「アレ? これって人間だった時の記憶?」って、時々思い出すけど、そんなゴミみたいなどうでもいい事、覚えてないな」


「「ゴミはどうでもよくない!」でしょう!」


 とセラとゼラが抗議の声を上げる。


「あたしにはどうでもいいの! あ~ぁ、せっかく呼び出したのに……。テンチョーの決闘相手に、丁度だったのになぁ。……二人は弱い奴を誰か知らないか?」


 戻ってきたサラは玉座ではなく、破壊された円柱の中で、最も座りやすそうに破壊された一つに腰を下ろした。


「魔界中にいっぱいいるじゃない。テンチョーを鍛えたいのならその辺の森とか谷に放り込んだら?」


「弱いっていっても、秘者で最下層っぽいってだけでだから、秘者じゃない魔族なら、あいつの方が強くて、鍛えられなさそうなんだよぅ」


「じゃぁ、一番弱い秘者を連れてくれば?」


「……そう言うゼラは弱すぎる秘者の区別つくのか?」


「無理。だから、殴ってみればいいんじゃない? 死んだら合格。死ななかったら不合格で、やっぱり殺す。これでいいじゃない」


 相変わらずセラもゼラも掃除の手を止めない。


「う~~~~ん。テンチョーは脆すぎるんだぞ? アタシ達から見て弱そうって思ってても、テンチョーからすると強くて、鍛えられないかもしれないしなぁ……。最弱が欲しいんだよう。……それに秘者の《蘇生(レスレクティオ)》は色々と面倒なんだよなぁ」


「……そもそも、なんでそんな世話のかかる、弱々しいのを、わざわざ眷属に引き入れたんです?」



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