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余所事の話 暮れの国


 暮れの国。


 そこは現在、死霊族の住処である幽界の中心地であると大陸全土人間達が認識している地域であった。



 そしてかつては全土を支配したペール大王国の旧都ルイザリアがあった場所。

 広さは現在のペール王都ルイネの実に十倍強を誇った。

 建築水準も高く、高層の建物が多く立ち並ぶと人々は聞いていた。


 ペール大王国の旧都ルイザリアは、かつて繁栄を極め――そして死霊によって占領され、そこに暮らした人間、ペール王都民の貴賎の区別無く、ことごとく住処を追われた。


 以来、数百年、死霊王が収めているとも言われているルイザリアの地に、公式に足を踏み入れた人数は百に満たない。


 ルイザリアが人間の支配地であった頃、その王都は暮れの国とは呼ばれていない。


 暮れの国という名前の由来は、その地が幽界となってから発生し続けている霧に由来する。


幽界の全ての地は一年中、風や気温の影響を受けない晴れない霧に覆われている。

 それが単なる霧であるわけがないが、人体に影響はないとされている。

 不明の霧の正体求めを、好き好んで死地に乗り込み実験をする人々もいない。



 幽界は魔界と違い、どうしようもないほどに、死が近い。


 その死に法則性はない。

 一人の自殺志願者が幽界の東西横断を果たし、一度も死霊に襲われないかとおもえば、人界から霧の中へと一歩足を踏み入れたとたんに死霊の群れになぶり殺しにあう。という事もある。



 幽界の東にあるルイナス共和国、あるいは西のカプール国境から幽界へと入り、ルイザリアへと辿り着くと、それまでの水墨画の世界に入り込んだような光景が一変する。


 かつてルイザリアであったその土地は、今や日中の間ずっと、夕暮れのようなオレンジ色の霧に包まれている。



 それが『暮れの国』という名がついた由来である。



 人類や生命体にとって、魔界以上の死地である幽界の調査は極めて困難な為、調査はなされていないが、学者の予想は他の色は空を覆う霧が吸収し、赤色だけを通すからだという。

 その為、暮れの国で流す血の色は、人界・魔界のそれよりも紅いという。



 幽界行での濃淡ある灰色が支配する風景から、薄明るい暮れの国へとたどり着くと、旅人一様に一種の望郷感が生まれるという。



 そこはかつての栄華を極めたペール王国旧王都ルイザリアがあった土地。



 そして今は生命体のいなくなった死の都と化している。





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