天才にはいくら努力をしてもかなわない
放課後。
俺は、清水を連れ部室に行った。
「言われた通り連れてきたぞ」 教室に言いながら入った。
「まさか、ホントに連れてくるとは… 思っていませんでした。」 と滝沢。
「な… 滝沢!お前… 」
「ホントだね~ 赤崎くんには無理だと思っていたよー」 と三ケ嶋先輩。
「そういう、お前らは連れてくることで来たのかよ?」
「いえ、すみません。 できませんでした。」
「僕もだよ…」
「はあ~ そんなとこだろうと思ったよ。」
「おい!お前ら!僕を無視して話をするんじゃない!」 そこで清水が口を開いた。
滝沢が俺にしか聞こえないぐらい小さな声で
「赤崎くん。彼って入試一位の清水 吉城ですか?」と聞いてきた。
「いや、よく知らないが、たぶんそうなんだろうな。俺もこんなに性格があれなやつとは知らなかったよ。」
「彼には、あまり人助けとか向かない気がするのですが…」
「何をこそこそ話しているんだよ。この僕を無視して。」
「まあ確かに向かなそうだな… しょうがない、ここは俺に任せてくれ。」
「なあ、清水。俺たちは、この学校で人助けみたいなことがしたいんだ。 まあ、俺はしたくないが…」
「だが誰が助けを求めているのかわからない。このまま活動ができなければ、この部活動がなくなってしまう。だから、お前の知恵を貸してくれないか?」
清水はちょっと考えた後
「名の知れた部活じゃないからな。この部活の存在を知っている人も少ないんだろう。まずこの部活の存在をみんなに知ってもらう必要がある。学校にはその学校のホームページがあるというのは知っているか?そのホームページには部活動紹介や委員会紹介なども載っている。たぶん、生徒会に言えばこの部活も載せてもらえると思うぞ。」
「そうか…それでこの部活のことをもっとみんなに知ってもらえれば。」
「ああ。部活動紹介のところに何か困っていることがある人、相談したいことがある人はこの部室までとか書いてもらえばいい。」
「さすがだな。それは気づかなかった。」
「まあな。僕は天才だからな。」 褒められるのにあんまり慣れていないのか、少し照れながら清水は聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声でぼそっと言った。
「なんだかやってみたら楽しそうだしな…」
こうして、俺達の困った人を助けるという、ちょっとおかしな部活は本格的に活動を開始したのである。