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  第72話 『 鴉外伝 ~〝KOSMOS〟VS〝魔将十絵〟~ 』



 「 遊びはここまでだよ♪ 」


 ……俺は青龍の肉片を踏み潰して不敵に笑んだ。


 『……』


 残りの三名は無言で睨み付ける。

 さてと、まずは一人目。

 次は――……。


 「 お前だ♪ 」


 ――俺は朱雀目掛けて飛び出した。


 「いいだろう! 返り討ちにしてやる!」


 朱雀も俺を迎え討たんと炎の拳を振り上げた。


 ……両者の距離――五メートル。


 「喰らえ!」


 ……両者の距離――一メートル。


 「 これが摂氏3000℃の炎の拳撃! 」



    レッド    イン    パクト



 ――直撃! しかし、俺に朱雀の拳は届いていなかった。


 「 はい、捕まえた♪ 」


 ……俺の左手が朱雀の拳を受け止めていたからだ。


 「馬鹿な!? 我の拳は摂氏3000℃の灼熱の拳! 受け止められる筈がな――……がっ!?」


 ――朱雀が言い終わるよりも速く、俺は朱雀の顔面に拳を叩き込み、地面に叩きつけた。


 「悪いけど生半可な炎じゃ効かないんだよね、俺は」


 俺は〝幻影六花〟の刃先を地面に横たわる朱雀に向けた。


 「なっ、何をする!?」


 「 殺す♪ 」


 ――ドスッ……。振り下ろされた刃が朱雀の脳天を貫いた。


 「……が……ぁ……………………」


 朱雀が何か呟き、静かに絶命した。

 うむ、即死した場合は再生しないみたいだな。


 「これで二人目」


 つ ぎ は ?


 「よくも我が同士をッッッ……!」


 ――玄武が鬼のような形相で飛び掛かった。


 「決めた、三人目はお前だ」


 ――俺は〝幻影六花〟を投擲の要領で、玄武目掛けて投げつけた。


 「……!? 馬鹿が……!」


 玄武が俺の行動に目を見張った。


 「唯一の武器を投げるとは愚かなり! 我の盾は何者にも破ることはできない!」


 玄武が飛来する〝幻影六花〟に真っ正面から突っ込んだ。


 「 行くよ、参の型 」


 ――〝幻影六花〟は直進する。


 ――玄武も盾を展開して直進する。



        朧



 〝幻影六花〟と玄武の盾が衝突する。そして――……。


 「その刃、透けるよ」

 「――!?」


 ――〝幻影六花〟が玄武の盾をすり抜けた。


 〝幻影六花〟参の型――〝朧〟。それは万物を貫通する不触の刃だ。

 〝幻影六花〟は盾をすり抜け、玄武の目の前まで迫った。

 そして、その〝朧〟を解除すれば?


 「 解除 」


 ――ザクッ……! 再び実体化した〝幻影六花〟が玄武の額を貫き、彼を絶命させた。


 「 あと一人 」


 俺は冷たい眼差しで白虎を睨み付けた。


 「死ぬのは貴様だ!」


 ――白虎が屋敷を縦横無尽に駆け回った。


 「武器を手離し! 我のスピードよりも遅い貴様に何ができる!」


 白虎の脚力は凄まじく、壁を走り、天井を走り、上下左右360°から俺を狙っていた。


 「武器ならあるよ」


 俺はローブの中からもう一本の〝幻影六花〟を抜き出した。


 「じゃーん♪」

 「なんだと!」


 これが〝幻影六花〟肆の型――〝裂〟。一本の〝幻影六花〟から無限に〝幻影六花〟を分裂させる型。


 「だが、貴様に我のスピードが捉えられはしない!」


 「 必要ないよ 」


 俺は〝幻影六花〟を構えた。


 「わざわざ、お前を捉える必要はないんだよん」

 「はったりだっ!」

 「どうかな?」


   幻   影   六   花


 ――弐の型。



        伸



 〝幻影六花〟の刀身が通常の何倍にも伸びた。


 「……行くよ」


 ――必殺。


 俺は〝幻影六花〟を辺り構わずに振り回した。



  闇  黒  刃  ・  環



 ――そのリーチは凄まじく、部屋にあるもの全てを切り刻んだ。


 壁も、床も、絵画も、石像も、階段も、シャンデリアも全部切り刻む。


 「!?」

 「逃げられないよ」


 ……斬る。


 「あんたは檻の中の虎」


 ……斬る!


 「どこにも逃げられはしないよ」


 ――斬り刻む……!


 ……………………。

 …………。

 ……。


 「 よし、殲滅完了♪ 」


 ……俺は廃墟と化した正面玄関で一人笑った。

 青龍・朱雀・玄武・白虎……悪くはなかったけど少しもの足りなかったかな。

 俺は四人の亡骸を横目にグルムワール邸を走り出した。

 とはいえ、正直時間を使いすぎた。〝むかで〟に怒られちゃうな。

 俺は速足で長い廊下を駆け抜ける。


 ――コツッ


 「……ん?」


 ……何か聴こえた。


 ――コツッ


 ……うん、聞き間違いじゃない。

 何者かの足音、しかも近づいてきている。


 ――コツッ


 足音は暗い廊下の奥から聴こえてきた。


 「誰だい?」


 俺は足を止めて、来訪者に問い質す。


 「ふふっ」


 ……笑い声が暗闇から聴こえた。


 「初めまして♪」


 そして、暗闇の中から小さな人影が姿を見せた。


 「……女……の子?」


 ……そう、まるでよくできた人形のような端整な顔立ちの女の子がそこにはいた。


 「初めまして、〝からす〟さん」


 女の子は親しげに微笑んだ。無邪気に笑う彼女は何だか可愛いらしかった。


 「何で俺のこと知ってるの?」


 俺と彼女は初対面の筈だ。なのに彼女は俺のことを知っていた。

 ……何故?


 「申し訳ございません、挨拶が遅れましたね」


 女の子は先程と変わらない無邪気な笑顔のまま、ひらひらしたスカートの端を摘まんで会釈をした。


 「 わたしは〝しょうじゅっかい〟の一人――〝げんえい〟の〝くろつち〟 」


 ……魔将……十絵?


 「 あなたをぶっ殺しに参りましたわ♪ 」


 〝黒土〟が無邪気に笑う。


 そして、その後ろには――……。



 『 oウ? 』



 ……黒くて、巨大で、醜悪な怪物が俺を見下ろしていた。


挿絵(By みてみん)


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