第60話 『 ギルドVS〝真白〟 』
「 ファイッ……♪ 」
――クルツェの開戦宣言と同時に、ギルドと〝真白〟が動き出した。
――ギルドが雪原に〝太陽の杖〟を突き刺す。
――〝真白〟が祈るように手を組む。
「 点火 」
「 召喚 」
その速度は――互角!
地 龍 爆 衝
雪 男
――地面が爆発した。
――何かが〝真白〟の頭上に打ち上げられた。
爆発により大量の雪が宙に打ち上げられる。
雪に隠れてギルドの姿が消える。
〝真白〟がギルドの姿を捜す。
「 隙有り☆ 」
――ギルドは〝真白〟の背後にいた。
「 知ってましたよ♪ 」
――〝真白〟の身体が崩れた。
「――!?」
「雪分身……!?」
まずい! これは罠だ!
――ギルドの足下に影が差す。
ギルドが上空を見上げる。
そこには――……。
「……雪……だるま?」
……巨大な雪だるまがあった。
「逃げろっ、ギルド……!?」
「 間に合いませんよ♪ 」
そして、一秒後。
――ズンッッッッッ……! ギルドが巨大な雪だるまに押し潰された。
「ギルドさんーーーッ!」
外野のフレイが叫ぶ。
……沈黙は一瞬――激しい閃光が走る。
切 り 裂 く 閃 光
――閃光一閃。巨大な雪だるまが一刀両断された。
「ふふっ」
そこから無傷のギルドが姿を見せる。
「危なかった☆」
……何て激しい攻防戦なんだ。目で追うのがやっとだぞ。
互角――いや、火炎魔法を操るギルドと火炎魔法に強い水魔法を操る〝真白〟……僅かに〝真白〟の方が優位か。
「やりますね♪」
「そちらこそ☆」
ギルドと〝真白〟が笑う。
「クスクス」
「ふふっ」
……笑う。
――同時、両者の姿が消える。
次 の 瞬 間 。
――ガキンッッッ……! ギルドの光の剣と〝真白〟の氷の剣が交差した。
……力は互角。両者、鍔競り合いの中、睨み合う。
「よく受け止めましたね♪」
「そちら」
ギルドが地面が力強く地面を踏んだ――次の瞬間。
「こそ……!」
――地面が爆発し、その爆風が〝真白〟を呑み込んだ。
「 温い 」
――煙幕から〝真白〟の白い手が伸びる。
「 ですよ♪ 」
「……!?」
ギルドが咄嗟に〝太陽の杖〟でガードする。
「 止めたと思いましたか? 」
〝真白〟が笑うと同時に――〝太陽の杖〟が氷結する。
「――!?」
しかし、ギルドの対応も速い。
零 距 離 爆 破
――両者の間に小爆発が炸裂し、ギルドと〝真白〟は各々反対方向へ弾かれる。
ギルドと〝真白〟は空中で体勢を整え、雪原を滑るように着地した。
「「……」」
……両者、無言で睨み合う。
「くすっ♪」
「ふふっ☆」
と、思ったらすぐに笑い出した。
「一つ提案しても宜しいでしょうか?」
ギルドが穏やかな笑みで提案する。
「どうぞ」
〝真白〟がそれを許可する。
「これ以上ちまちまと闘っても埒があかない、そう思いませんか?」
「……」
ギルドの提案を〝真白〟が静聴する。
「なので、わたしは一つ提案します」
ギルドが〝太陽の杖〟の先端を〝真白〟に向ける。
「わたしの最大最強とあなたの最大最強をぶつけ合う、それで勝ったものがこの勝負の勝者とする……というのはどうですか?」
「……」
沈黙する〝真白〟。しかし、その決断は早かった。
「 喜んで♪ 」
……〝真白〟が祈るように手を組んだ。
「……」
……ギルドの魔力が上がる。
「……」
……〝真白〟の魔力が上がる。
「「……」」
――上がる……!
ぶつかり合うは殺意と殺意。
始まるのは真剣勝負。
「 白き閃光 」
「 真白の蹂躙 」
「 金色の黄昏 」
「 波と為り、壁と為り 」
「 一条殲刃 」
「 凡てを呑み込め 」
「 万里貫通 」
……先に仕掛けたのは〝真白〟であった。
純 白 世 界
――高く、広い巨大な雪崩がギルドに襲い掛かった。
「……!?」
……でかい! ニアの〝蹂躙する水壁〟には劣るも、その密度は強大なものであった。
そんな〝純白世界〟にギルドはどう出る?
「 さあ、亡ぼそうか 」
……ギルドの詠唱が終わった。
終 焉 の 光
……あの技は、過去にMr.サニーが俺たちに見せた!
「 水は火に勝つ? 」
……ギルドが笑う。
「 関係ないよ 」
――〝純白世界〟に〝終焉の光〟が炸裂する。
そ し て ?
――〝終焉の光〟は〝純白世界〟を貫いた。
「 !? 」
――そして、その閃光は〝真白〟目掛けて直進する。
「 捩じ伏せるから☆ 」
「 !? 」
……その手前に。
「……えっ?」
〝真白〟の数歩前に巨大な風穴が空く。
〝真白〟が思わず腰を抜かして、ぺたりと座り込む。
「 次は当てるけど 」
ギルドがそんな〝真白〟を見下ろす。
「 どうする? 」
……その笑顔は酷く冷たいものであった。
「……ギッ」
〝真白〟が口角を引き吊らせながら声を漏らす。
「 ギルドさん、入族試験合格です 」
――ワッ……! ギャラリーから歓声が上がる。
そんな歓声を尻目に、ギルドが何事も無かったかのように俺達の下へと戻る。
――何だか、恐いな。
……俺は時折見せるギルドのもう一つの顔に、仲間でありながらも肝を冷やした。