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  第59話 『 入族試験 』



 「 これから入族試験の説明をするッス 」


 ……〝灰色狼〟のアジトへ案内された俺たちにクルツェが入族試験の内容の説明を始める。


 「今からオイラの部下である〝しろ〟・〝つらら〟・〝じん〟・〝かざ〟・〝えん〟の五名と一対一で闘ってもらうッス」


 ……んで、とクルツェが挟んだ。


 「勝った奴だけが〝灰色狼〟に入族できるッスね。闘いにおいては第三者の乱入は無し、一対一のガチンコバトルッス♪」


 ……一対一、か。


 「悪い、クルツェ」

 「何すか?」


 俺は試験の内容に物申す。


 「これはこっち側の我が儘になるんが、一対一というのは何とかならないか?」

 「その心は?」

 「例えば三勝勝ち逃げとかにできないのか? うちには戦闘員が三名しかいないんだ」


 「 駄目ッスよ 」


 ――即答された。


 「この寒い土地にある食糧は限られているんで、態々戦えない雑魚にやる飯は無いッス」


 クルツェがいつもの笑みを崩さずに厳しいことを吐き捨てる。


 「……ただし、それを決めるのはオイラじゃなくて試験官の五名が判断するんすけどね」


 クルツェが俺達の対戦相手である先程名前の上がった五名を見て不敵な笑みを浮かべた。

 ……試験官五名の判断、か。妙な物言いだな。


 「……わかったよ。ただし、戦う順番は俺達で決めていいか?」

 「いいッスよ。それはこちらが関与することじゃないッスから」


 許可は得た。俺はギルドたちで囲んでミーティングを始めた。


 「どうするの、タツタくん」


 カノンが小声で俺に話し掛ける。


 「フレイちゃんやドロシーさんは戦闘要員じゃない。でも、この勝負は一対一、闘いは避けられないよ」

 「……そうだな」


 カノンの問題提示に俺は考える。


 ……闘いは一対一。


 ……勝ち逃げが有効ではない。


 ……団体戦みたいに勝ち抜き戦でもない。


 ……フレイやドロシーは戦力として難有り。


 ……しかし、最終的な判断は五名の試験官に委ねられている。


 「……一応、作戦が無い訳ではない」

 「ホントかい、タツタくん」


 俺の返事にカノンが期待の眼差しを向ける。


 「だが、これは作戦と言うのも躊躇われるようなお粗末なものだ」


 ……だから、


 「上手くいかなければ、俺達は試験を辞退して、後日、奴らの目を盗んで〝氷の花園〟を目指す。これでいいか」


 俺の確認に全員が頷いた。


 「じゃあ、これから俺の考えを言うぞ」


 ……そして、俺は皆に作戦をうち明かした。


 ……………………。

 …………。

 ……。


 「 それじゃあ、試験を始めるッスよ 」


 ……クルツェを含めた〝灰色狼〟の一同に囲われる中、入族試験が始まった。

 見物人の視線は、開けた雪原に並び立つ俺達と試験官に集まる。

 俺陣営は、俺、ギルド、カノン、フレイ、ドロシーが並び、試験官は、〝真白〟、〝つらら〟、〝刃〟、〝風摩〟、〝焔〟が揃っていた。


 「それじゃあ、対戦順は決まったッスか?」

 「おう」

 「はい」


 俺と〝刃〟が同時に頷いた。

 そして、これが対戦カードである。


【 1回戦 】

 ギルド=ペトロギヌスVS〝真白〟


【 2回戦 】

 カノン=スカーレットVS〝風摩〟


【 3回戦 】

 カラアゲタツタVS〝刃〟


【 4回戦 】

 ドロシー=ローレンスVS〝つらら〟


【 5回戦 】

 フレイチェルVS〝焔〟


 ……以上が対戦カードである。


 「それじゃあ、長話もあれだしパパーと試合を始めるッスよ」


 クルツェの言葉にギルドと〝真白〟が前に出てきた。


 「初めまして、ギルドさん、ですよね」

 「こちらこそ☆」


 ギルドと〝真白〟が対峙し、互いに穏やかな笑みを浮かべる。


 「ではでは、入族試験」


 静寂の中に緊張感が走る。


 「第1回戦」


 ギルドと〝真白〟の穏やかな殺意と殺意が交差する。


 「 ファイッ……♪ 」



 ――ギルドと〝真白〟が同時に動き出した。


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