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 第445話 『 神を衝く 』



 「……成る程な」


 ……ブラドールが静かに呟いた。


 「お前がここまで来れた理由がわかった気がするよ」


 ブラドールは一瞬だけ表情を和らげたかと思えば、すぐに笑みを消す。


 「だが、勝負は勝負だ容赦はしない」


 「誰も頼んでねェよ、そんな情け」


 「……」


 「……」


 ……戦場に静寂が訪れる。


 空気が張り詰め、風の音がやけによく聞こえる。


 「……なあ、タツタ」

 「何だよ」


 先に沈黙を破ったのはブラドールであった。


 「俺の力は大きく分けて二つあるんだ」

 「……」


 突然語り出すブラドールの話を、俺は静聴する。


 「一つは〝創造〟、無から有を生み出す力だ」


 ブラドールは人差し指を立て、続いて中指を立てる。


 「もう一つは〝顕現〟、生み出したものを自在に操る力だ」


 ……〝創造〟と〝顕現〟、二つ合わせて初めて〝全知全能オール・トゥ・オール〟であった。


 「お前ら全員存在ごと消し去る魔法を〝創造〟しようにも、〝white‐canvas〟で相殺されちまう」


 だからこそ、ブラドールは龍二を先に潰そうとしたのだ。


 「つまり、〝創造〟の力は〝white‐canvas〟に、〝white‐canvas〟は〝創造〟の力によって互いが互いに相殺し合っている訳だ」


 ブラドールの話はつまり、


 ……この場に置いて〝創造〟と〝white‐canvas〟は無いのと同じ。


 ……ということであった。


 「だから、俺は〝顕現〟の力だけでお前らを倒さなくちゃならないんだが」


 「何だよ、ハンデが欲しいのか」


 ――違うな、とブラドールは首を横に振る。


 「これは問題だ」

 「……問題だと?」


 ブラドールの人差し指が天を指す。


 「この世界の現象で最も強大な破壊現象はなんだと思う?」


 「……核爆発とかか?」


 ――違うな、と再びブラドールは首を横に振る。



 「 答えは超新星爆発――所謂、ビッグバンと言われるものだ 」



 ――ブラドールの人差し指に強大なエネルギーが集まる。


 「先に言おう、これが炸裂すればこの惑星ごと消し飛ぶぞ」


 「――っ!」


 この凄み、この瞳。


 ……ブラフではない。


 ……ブラドールはやる、この星ごと消し飛ばすつもりだ。


 「させねェよ!」


 俺は闇の魔力を纏い、抜刀の構えをした。


 「無駄だ、その程度の数を揃えた所で何も変わりはしない」

 「やってみなきゃわかんねェだろっ……!」


 ……が、実際かなり危うかった。


 (……星を滅ぼす一撃だぞ、そんなのどうにか出来るのか!)


 やるしかない! やるしかないが!



 ――絶望。



 ……その壁は分厚くて、あまりにも高かった。


 (俺に懸かってるんだぞ、コイツらの命もこの星にいる全ての命も、この両手に……!)


 出来るのか?


 本当に俺に出来るのか?


 俺に……!



 ――バシッッッ……! 背中を思いっきり叩かれた。



 「しっかりしろ! 俺達がいるだろうがっ……!」


 「ギガルドッ」


 ……ギガルドだ。ギガルドが俺を鼓舞してくれたのだ。


 「……貴様が始めた喧嘩だ、ケジメは貴様がつけろ」


 「……〝むかで〟」


 〝むかで〟の瞳に迷いはなかった。


 「私はタツタくんを信じてますっ」


 ドロシーが俺を信じてくれた。


 「タツタさん!」


 「……ギルド」


 ギルドは俺の胸に拳を当てる。



 「 格好いい所、見せてくださいね 」



 「――」



 ――とっても格好いいですよ、タツタさん



 ……懐かしいな。


 ……ギルドのあの言葉があったから、今の俺があるんだ。



 「 任せろ 」



 俺は皆の方を振り返る。


 「――皆っ!」


 そして、告げる。


 「今からやって欲しいことがあるんだっ!」


 最後の作戦を……。



 「行くぞ、ブラドール……!」


 「ああ」


 ブラドールの天を指す人差し指の先には、巨大なエネルギーが球状に渦巻いていた。



 「 〝極・闇黒染占〟ッッッ……! 」



 俺は刃を真上に突き上げる。


 「さあ、見せてみろ――お前らの可能性とやらをなっ……!」


 「ああっ! 見せてやろうじゃねェか――お前らァッッッ……!」



   同   時   。



     カル     



 ――轟ッッッッッッッッッ……! ギルドから俺目掛けて、灼熱の炎が撃ち込まれる。


 「何をっ」


 そして、〝終焔〟は黒く染まり、〝空門〟へと吸収される。


 「いっきに来いっ!」


 「受け取れ! タツタくん!」



     くろ     おぼろ



     ブラック     ノア



  スコー      コー   


   

  ダイア   モンド   デイ   ジー



     ゴッド     ブレス



 ――次々と大技が放たれ、全て黒く染まり、〝空門〟に吸収されていく。


 「バラバラな力を〝闇黒染占〟で全て闇に換え、〝闇々覇手〟で刃に集束させているだとっ」


 「ああ! そうだ!」



   げき    りゅう    そう



      こく     



     しゃっ     こう



   とう    げん    きょう



     かん     なぎ



     こく     りん



     アマ     テラス



        ファ   イア



 力の強大さに腕が引き千切れそうになる。


 (死んでも離さねェよ! 絶対になァ!)


 これは皆の希望だ!


 だから、絶対に手離さない!


 「勝て、空上龍太」



          りん



 「勝てよ、兄さん」



     はく     げい



 「ああっ……!」


 ……強大なエネルギーが一本の刃に集束する。


 その膨大なエネルギーは空間を歪め、大地を割り、空気が悲鳴をあげる。


 「来いッ! ブラドールッッッ……!」


 「……っ」


 「これが俺の! 俺達の! 今までの全てだッッッ……!」


 「いいだろうッッッ……!」




     スーパー     ノヴァ




 ――天を覆い尽くす程の破壊エネルギーが放たれる。


 「ならばその全て! 俺の全力をもって、完膚なきまでに叩き潰すまでだッッッ……!」


 俺は真っ正面から破壊エネルギーに突っ込む。


 破壊エネルギーは全てを呑み込まんと迫り来る。


 「オオォォォオオォォォォオォォォォォォォォォッッッ……!」




     かみ     つき




 ――轟ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ……!!!!!



 ……力と刃。全てを呑み込む力と全てを斬り裂く刃が衝突した。


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