第411話 『 最強VS最凶 』
「 〝蟲龍〟――弐式 」
……〝むかで〟が右手を僕に突き出した。
雷
――風が吹く。
「――」
神速。
瞬きの間も無い。
――ガシッッッッッ……! しかし、僕はそれを容易く掴んだ。
「悪いけど、神速なら見切れるよ」
今の僕には神速を超えた超神速まで見切る〝眼〟がある。恐らく神速レベルの〝雷〟など止まって見えた。
「ほら、返すよ」
――僕の姿は消える。
「――」
「 ♪ 」
――僕は超神速で〝むかで〟の背後に回り込む。
「 〝白き鉄槌〟 」
〝白き閃光〟を拳に載せて、〝むかで〟の土手っ腹に叩き込
――スカッ……。僕の拳は空を切る。
(残像? それも絶妙過ぎるタイミングだね)
〝むかで〟の残像は消え、本物の〝むかで〟が僕に殴り掛かる。
僕はその拳を受け
(――拳じゃない?)
――ガシッッッ……! 〝むかで〟は拳を崩し、ガードする為に前に出していた僕の手を握った。
「僕にそっちの趣味は無いんだけど」
「同感だ。だが、これで貴様の足は封じた」
「封じた? これで?」
僕は繋がれた掌に魔力を集める。
「 〝蟲龍〟――参式 」
――僕と〝むかで〟を覆うように、巨大なムカデがとぐろを巻いた。
と ぐ ろ
「撃てば貴様も只ではいられないだろう」
「成る程♪」
この密閉空間で光線を放てば、そのエネルギーは逃げ場を失い、〝とぐろ〟の中で爆ぜるであろう。
「いいね♪ 我慢比べだ♪」
僕は構わず光線を放つ。
「受けて立とう」
〝むかで〟も〝とぐろ〟を解除する素振りを見せない。
白 轟
鎧
――震ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ……! 〝とぐろ〟の中で高密度の光線が爆ぜ、その衝撃に大地が揺らいだ。
……すぐに沈黙が訪れる。
……〝とぐろ〟に亀裂が走る。
次 の 瞬 間 。
――〝とぐろ〟は砕け、僕の身体は宙へ放られた。
「――っ」
僕は地面を転がり、跳ねる。しかし、すぐに体勢を立て直す。
「まさか、構わず殴り掛かってくるとはね」
「逃がさんぞ」
〝むかで〟が間髪容れずに猛追してくる。
「余程僕を殺したいとみた」
「ああ、死ね」
僕は〝光剣〟を手に構える。
〝むかで〟はナイフを振り抜く。
僕も〝光剣〟で応戦す
――ガシッッッ……! 僕の腕に一匹のムカデが絡み付く。
「邪魔だよ」
僕は絡み付くムカデを力づくで引き千切り、そのまま〝光剣〟を〝むかで〟に斬りつける。
「――あれ?」
〝むかで〟の姿が何処にも見当たらなかった。
(ムカデに気を取られたあの一瞬で?)
瞬 間
――斬ッッッッッッッッッッッッ……! 背中に斬撃が走る。
「まずは一撃」
その一撃は容易く、僕の魔力の膜を切り裂く。
「――」
僕は体勢を立て直す。しかし、臨戦体勢に入るよりも速く。
「これで二撃目だ」
――ドッッッッッ……! 神速のムカデが、魔力の膜の切れ目を通り、僕の心臓を貫いた。




