表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/462

  第32話 『 東の大賢者VS〝KOSMOS〟 』



 「 さぁてと、遊んでやりますか♪ 」


 ……ニアさんが肩を回しながら、不敵に笑った。


 「 いいね、そうでなければ殺り甲斐が無い♪ 」


 ……〝しゃち〟が不敵に笑う。

 ぶつかり合う殺意と殺意。

 交差する視線。

 どちらも負ける気は――0。


 「……」

 「……」


 ――一瞬、互いに真剣な顔をした。


 「 俺が行く 」


 ……先に動き出したのは〝おにぐも〟であった。その手には巨大な戦斧が握られていた。


 「……お前はサポートに回れ」

 「りょーかい♪ ほんとにおにさんは血の気が荒いなぁ」


 〝しゃち〟が一歩後ろに下がり、〝おにぐも〟が前に出る。


 「行くぞ」

 「いつでもどうぞ」


 ……睨み合うニアさんと〝おにぐも〟。


 「……」

 「……」


 ……………………。

 …………。

 ……。



 ――ドッッッ! 〝おにぐも〟の足下が陥没し、その姿が消えた。



 「 先手必勝 」


 ――〝おにぐも〟は既にニアさんの背後にいた。


 ……速いっ! あの巨体で何て速度だ!

 〝おにぐも〟が巨大な戦斧を振り下ろす。

 ニアさんは一歩も動かない。


 ――斬ッッッッッッ……! 〝ニア〟さんが一刀両断された。


 「 うん、やっぱり偽者か 」


 〝しゃち〟が笑う……その言葉通り一刀両断された〝ニア〟さんは水になって、地面に溶けていった。

 ……じゃあ、本物のニアさんはどこへ?


 「 おにさん 」


 〝しゃち〟が人差し指を上に差した。


 「 上♪ 」


 ――トンッ……。本物のニアさんが〝おにぐも〟の背中に乗った。


 「 やるな 」


 「 何もさせんよ 」


 ――〝おにぐも〟が何かするよりも速く、ニアさんが魔術を発動した。



   クリスタル   ガーデン      ゼロ



 ――パキンッ……!  一瞬で〝おにぐも〟が氷結した。


 「 水龍召喚 」


 ……仲間が氷結されたにも拘わらず、〝しゃち〟は構わず魔術を発動する。


 「コイツ、まさか仲間ごと!?」


 ――巨大な魔方陣が〝おにぐも〟とニアさんの足下に展開された。


 「嫌だなぁ、予想外みたいな顔しないでくださいよ」


 〝しゃち〟が至って平静に笑った。


 「 僕らは盗賊 」


 ――魔方陣が青く発光する。


 ――ニアさんが魔方陣から逃れようと駆け出す。



 「 非道なのは今に始まったことではないでしょう 」



        ・


        ラ     水  ナ 



 ――濁流が魔方陣から天高く噴き出した。


 ……その水流は凄まじく。魔方陣の中にある全てを呑み込んだ。


 「ニアさんッ……!」


 ……わたしの叫びは濁流に掻き消されてニアさんには届かなかった。

 それにしても、〝水龍陣・魔狂水衝〟……凄まじい威力の技だ。盆地であるということもあるが、あまりの水量に地面への浸水が追いつかず、一瞬にして周囲一帯が巨大な水溜まりになってしまった。

 しかし、ニアさんはどうなってしまったのだろう。

 まさか、やられて――……。


 「 〝凍界〟 」


 ――パキィィィン! 〝水龍陣・魔狂水衝〟が全て氷結した。


 ……そして、間髪容れず。


 「 〝ブレイク〟 」


 ――パリイィィィィィィィィィィン……! 〝水龍陣・魔狂水衝〟は崩壊した。


 「 殺ったと思った? 」


 ニアさんは生きていた。そして、〝しゃち〟に笑みを向けた。


 「 身の程を知れ、盗賊風情が 」


 ……笑う。

 やっぱり、ニアさんは凄い。あの大技を受けて無傷なんて〝四大賢者〟の名は伊達では無い。


 「……ギルドさん、ちょっといい?」


 ……ニアさんがこっそりわたしに耳打ちをした。


 「これから――……いい?」


 「……えっ?」

 「わかった?」

 「はいっ!」

 「じゃっ、お願いね」


 それだけ言ってニアさんは再び〝しゃち〟と向き合った。


 「……無傷?」


 ……いや、無傷じゃない。だって――ニアさんの腕は酷く霜焼けしていた。

 あれだけの超規模の技を至近距離でやったんだ。本人にダメージが無い筈が無かった。


 「お待たせ」

 「相談事は終わったかい?」


 ニアさんと〝しゃち〟が睨み合う。ちなみに、〝おにぐも〟は未だに氷結したままであった……流石に生きてはいないだろう。

 となると、ニアさんと〝しゃち〟の一騎討ち。ニアさんの方が怪我をしているから〝しゃち〟の方が一歩有利か。


 ……だからこそ、わたしがいる。


 ニアさんに指示された作戦を完遂する。それにかかっていた。


 「じゃあ」


 ……〝しゃち〟が笑う。


 「第2ラウンド」


 ……ニアさんも笑う。



 「「 始めようか 」」



 ……そして、死闘は再開された。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ