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 第352話 『 全力全開 』




  闇   々   覇   手




 ……これがタツタくんの〝第3形態〟。


 「……まったく、君はすぐに強くなるね」


 僕はタツタくんの成長速度に感嘆せざるを得なかった。


 「で、それが〝第3形態〟という訳か」

 「ああ、これが俺の〝第3形態〟――〝アビス・覇手タクティオン〟」



 ――ズァッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ……! おびただしい程の黒い魔力がタツタくんの手に集まる。



 「闇の魔術の極地点だ……!」

 「――ッ!」


 ……何か来る。


 ……それはとてつもなく大きな何かだ。


 「一発目はサービスだ、そこを動くなよ」




  極  ・  黒  飛  那




 ――轟ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ……!!! 特大の〝黒飛那〟が僕の真横を突き抜けた。


 「――ッ!」


 凄まじい火力、先程までの〝超・黒飛那〟とは比べるべくもない。

 〝黒飛那〟が通った軌跡は抉れ、荒れ果て、まさに地形すらも変える一撃であった。


 「……〝極・闇黒染占〟。コイツは〝水由〟との戦いからずっと撃てなかったんだ」


 そう、確かにタツタくんは〝極・闇黒染占〟を使っていなかった。

 言われてみればおかしな話であった。

 〝極・闇黒染占〟のリスクは、タツタくんの中にある〝空龍〟の人格に精神・肉体を奪われることだ。

 しかし、〝空龍〟の人格は既に死んでいる。今まで使わなかった理由がなかった。

 それなのに、今までタツタくんは〝極・闇黒染占〟を使わなかった。


 「理由は俺の魔力保持量が出せる火力に対して少なかったからだ」


 確かに、タツタくんの技はどれも魔力保持量に比べて多くの魔力を消費するものが多かった。


 「魔力保持量は〝魔臓〟の性能で決まる――が、悲しいことに〝魔臓〟の性能はちょっとやそっとじゃ良くはならないんだよな」


 特にタツタくんのように一年間数ヶ月で急激に力をつけた場合、肉体や技の成長に〝魔臓〟の性能が追いつかないことは避けようのない事態であった。


 「だが、この〝闇々覇手〟があれば魔力不足の問題が全て解決するんだ」


 ――先程、タツタくんの手に集まった黒い魔力が脳裏を過った。


 「この〝闇々覇手〟は半径数キロ圏内の闇の魔素を支配することができる力だ――つまり、俺の下へ集めることも、〝魔臓〟を介さずに魔力へ変換することもノーリスクでできるのさ」

 「……なるほどね」


 ……これで、タツタくんの数少ない弱点だった魔力不足も解決したという訳である。


 「全部、わかったよ」


 ……そう、全部わかったのだ。



 ――今のタツタくんは遥か格上になってしまったことが。



 (……本当に強くなったね、少し嫉妬しちゃうくらいに)


 今のタツタくんは恐らく世界でも五本指に入るであろう強さであった。


 (初めて会ったのはいつだっけ、あの頃はまだそこら辺の魔物に苦戦するレベルだったね)


 それが今ではどうしたことか、〝白絵〟や〝むかで〟に手が届きそうな領域に到達していた。


 空上龍太は本当に強くなった。


 そんなタツタくんと出逢えたこと、一緒に戦えたこと、好敵手と認めてくれたことは僕の人生の誇りであった。


 「……タツタくん」


 だから、何度でも言うよ。



 「 僕は君を心から尊敬するよ 」



 ……僕は笑う――口元から血の筋が顎をなぞる。


 「次で決着をつけよう、タツタくん」

 「何だよ、そんなに急かさなくたっていいだろ」


 僕の提案にタツタくんは不満があるようだ。


 「……」

 「……」


 ……僕だってそうだ。もう少し、タツタくんと戦っていたかった。

 だけど、それは叶わない夢であった。


 「……おい、まさか」


 タツタくんの顔の血の気が退く。


 「もう、崩壊が」



 「 ごめん 」



 僕は静かに謝った。


 「……」


 タツタくんは少し俯き、再び僕の瞳を真っ直ぐに見つめた。


 「……わかった、次で最後だ」


 ……タツタくんは全てを察して、僕の気持ちに応えてくれた。


 「カノン、ありったけの全部を出し切れよ。俺も――……」



 ――タツタくんの周りおびただしい程の魔力が渦を巻いた。



 「 全力全開でやるから……! 」



 「そうでなくっちゃ」


 僕も全てを出し切るべく魔力を練り上げた。

 普通に戦えばタツタくんが恐らく圧勝であろう。

 しかし、今回はたった一撃の戦いである。それならば、僕とタツタくんは互角に戦えた。


 「 〝六幻龍〟 」


 ――最終攻撃形態。




 そう そう ・ レ ク イ エ ム




 〝破王〟の肉体強化・〝水獣〟の体表硬化・〝雷華〟の電気による筋肉強化・〝重呪〟の質量増加・〝光龍〟の光速化・〝黒龍〟の出力強化。

 それら全てを一撃でぶつける。

 そして、更に計六発の〝黒朧〟で強化した〝終焉の光〟を合わせてぶつける。


 ――まさに、死力を尽くした一撃であった。


 「行くよ、タツタくん!」


 「ああっ、いつでも来な……!」



 ――ジリッ……。僕は地面強く踏み締めた。



 「受け止めてくれよ、タツタくん! これが僕の今出せる全力全開の中の全力全開だ……!」



 ――そして、僕は地面蹴り上げた。







 「受け止めてくれよ、タツタくん! これが僕の今出せる全力全開の中の全力全開だ……!」


 ――カノンがそう言って地面を蹴り上げた。



   同    時    。



 ――俺も〝空門〟を振り抜いた。




 極 ・ 黒 飛 那 十 字 衝




 ――二つの〝極・黒飛那〟が交差して、カノンへと放たれた。


 (そっちこそ受け止めてくれよ、カノン……!)


 ……これが全力全開。


 ( これが俺の臨界突破極限境地だ……! )


 黒い六つの光線を纏い、己の全てを乗せた突進でカノンが迫る。


 〝極・黒飛那十字衝〟がカノンへと迫る。


 「カノォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンンッッッッッッ……!!!」


 「タツタァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッッッ……!!!」




   衝    突    。







 ――轟ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ……!!!!!



 それは暴力的なまでな光。


 それは全てを呑み込む嵐。



 ……それらは周囲一帯が吹き飛ばした。


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