表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/462

  第29話 『 冒険少女☆ギルド 』


 「 最近、わたしの出番少なすぎィーーーッ! 」


 ……いきなり叫んですみません。皆様お久し振りです。巨乳で可憐な魔法少女、ギルドです。

 そんなわたしは現在、大ピンチに陥っていっていた。

 「……出番少なすぎるんですけど、一応、わたしヒロイン何ですけど」

 このままではフレイちゃんにヒロインの座を奪われてしまう! それは大変遺憾なことなのだ。

 「取り敢えず、タツタさんと合流しないとヒロイン復帰できないんだよね」

 ……と、いうわけで。

 わたしは全速力で暗黒大陸を駆け抜けていた。


 『 ギギャーーーッ! 』


 ……わっ!? コウモリの魔物――デスバットが茂みから飛び出してきた。


 「はいはい、爆殺爆殺」


 ――ドォンッ、デスバット瞬殺!


 「早くタツタさんと合流しないと!?」


 わたしは更に走るペースを速めた。


 『 グラァァァァァ! 』


 ……うわっ!? 今度は狼の魔物――ブラッドウルフ……取り敢えず、爆殺爆殺。


 『 キャイーーーン! 』


 ……はいはい、瞬殺瞬殺。


 「あー忙しい、あー忙しい」


 わたしはどんどん茂みを越えていき、北の大陸――ノスタル大陸を目指していた。


 『 キュルルル――ドカーーーンッ!


 ……カマキリみたいな魔物が出てきたけど取り敢えず爆殺した。


 ……………………。

 …………。

 ……。


 「……ふぅ、魔物多すぎだよー」


 さすがに疲れたのでわたしは木陰で休憩することにした。

 ……ふわぁ……何だか、眠く。


 「……」


 ……あっ、これ駄目なやつだ。

 瞼が重い。

 頭がぼんやりとする。

 ……少し。

 少しだけ眠ろう。


 「……」


 ――おやすみなさい。


 ……そして、わたしは静かに眠りについた。










 「 お姉ちゃん 」



 ……ああ、懐かしいな。そういえば昔はわたしをそんな風に呼んでくれる人がいたなぁ。

 わたしはゆっくりと瞼を開いた。


 ――そこにはアークがいた。


 ……これで何回目だろう。

 アークを見捨ててから二年が経った。

 あの日からアークはわたしの夢に度々姿を見せるのだ。

 そして、アークはいつも泣いているのだ。


 「どうして、あたしを見捨てたの?」


 「ごめんなさい」


 「あたしのこと嫌いになっちゃったの?」


 「そんなことないわ」


 「裏切り者、死んじゃえ」


 「……ごめんなさい」


 「お姉ちゃん、死んで」


 「……ごめん……なさい」


 「 死んで 」


 「……ごめんなさいっ」


 「 死ねよ 」


 「……ごめんなさいっ!」


 「 死ね 」


 「 ……ごめんなさい 」


 ……夢の中のアークはいつもわたしを恨んでいた。


 そして、夢の中のわたしはいつも謝っていた。

 きっと、この夢はたった一人の妹を裏切った負い目から見ている夢なのだろう。


 「……ごめんなさい」


 夢でわたしはアークに何度も謝るけど、アークが許してくれたことは一度も無かったんだ。

 でも、夢の中のわたしは謝ることしかできなくて、アークに謝ることをやめなかった。


 ……許してはいけない。


 わたしはそう思っている。

 実の妹を見捨てて、今日という日までのうのうと生きている自分自身を、他の誰よりも許してはいけなかった。

 だから、わたしは戦う。

 もう一度、アークに会うために、

 ちゃんと、夢ではない本物のアークに謝るために、


 ……あの頃のような幸せな生活に戻るために。


 ……………………。

 …………。

 ……。


 「 キャーーーッ! 誰か助けてーーー! 」


 ……誰かの悲鳴が聴こえた。

 わたしはバッと瞼を開けて、身を起こして、周囲を見渡した。


 「……北の方角!」



 ……わたしは急いで声のする方へ駆け出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ