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  第26話 『 赤と黒 』



 「 あー、死ぬかと思った 」


   憑   依   抜   刀


 ……間一髪、どうにか間に合った。



  火  龍  装  填


        紅  蓮  斬  華



 ……ここからが本番だ。


 「……驚いたな、あれを受けきるなんてね」

 「当然だ」


 カノンの放った〝破王砲〟は俺には届かなかった。


 「俺の〝火龍装填・紅蓮斬華〟は摂氏13000℃の剣だ」


 何故なら、


 「お前の自慢の最大火力を切り裂くなんてわけないさ」


 ……俺の〝火龍装填・紅蓮斬華〟に斬れないものは無いからだ。


 「 OK 」


 自慢の最大火力を打ち負けたにもかかわらず、カノンは至って平然としていた。


 「遊びはここまで」


 カノンは〝火音〟をホルダーに仕舞い、今度は金色に輝く拳銃を取り出した。


 「ここからが全力だよ」


 銃口が俺に向けられた。


 「君はこの〝ライバネ〟をかわすことができるかな」

 「かわさねェよ」


 俺は〝SOC〟を握り直した。


 「全部叩き斬る!」


 カノンの人差し指が引き金に触れた。


 「ふぅん、やってみれば?」


 ……カノンが引き金を引い――


 「……えっ?」


 そして、俺は戸惑いの声を溢した。


 「斬りたきゃ斬ればいいよ。ただし――……」


 血渋きが舞った。

 俺の血だった。

 右肩に激痛が走った。

 現実だった。


 「 見えれば、ね♪ 」


 ……見えなかった。


 (……撃たれたのか?)


 ……あまりに速すぎたその弾丸は俺の知覚で感知できないほどの速さで飛来し、俺の右肩を貫いたのだ。


 「見えなかっただろう? これが最速の弾丸――〝らいめいせん〟、雷の速さで走る弾丸だ」


 ……雷の弾丸だと、ふざけんな。まるで見えなかったぞ。


 「さあ、踊ろうか」

 「――ッ!?」


 ――チカッ、一瞬銃口が光った。


 次 の 瞬 間 。


 「……くぁっ!」


 ……ドッッッ、俺の横腹を弾丸が貫いていた。


 「 無駄だよ 」


 チカッ――左腕を貫かれた。


 「 僕の〝雷鳴閃〟は君の知覚の遥か上の領域にある 」


 チカッ――右大腿部を貫かれた。


 「 チェックメイトだ 」


 ――チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ! ……閃光が煌めいた。


 「――っ」


 ――俺は咄嗟に地面に火炎を走らせた。


 「 雷式銃撃六連奏 」


 「 紅蓮業炎流魔剣術 」


 ――カノンが引き金を引いた。


 ――俺は駆け出した。




  りっ    かん  つう  せん



  かげ  ろう  せん  しゃ




 「 残念 」


 ――六つの弾丸が〝俺〟を貫いた。


 「何を企んでいたからは知らないけど僕の勝


 カノンは目を見開いて、言葉を切った。


 「 なあ、お前 」


 何故なら、本物の俺はカノンの目の前にいて、既に〝SOC〟を構えていたからだ。


 「 〝陽炎〟って、知ってるか 」


 ――ガッッッッッ! 〝SOC〟がカノンに炸裂した。


 「――っう!」


 ……いや、正確には銃身でガードして吹っ飛ばされていた。


 「……丈夫だな、その拳銃」


 俺の〝火龍装填・紅蓮斬華〟に耐えきれるということは何らかの魔力的加護あってのものだろう。

 カノンは地面を二転三転転がり、静止した。

 ……しかし、俺は一息吐かせる気は無かった。


 「 空龍心剣流魔剣術 」


 ――俺は既にカノンの目の前にいた。


 「――!?」


 折角、接近したんだ。このチャンス見逃せるかよ!


 ――俺は〝SOC〟を振り下ろした。

 ――カノンは今度は二丁の銃身でガードの構えをした。



  地  獄  落  と  し



 ――衝突。俺の〝地獄落とし〟をカノンが受け止めた。


 「 かーらーのー! 」


 小さい爆発を起こし、その反動で俺の身体を宙に押し上げた。


 「 紅蓮業炎流魔剣術 」


 そして、足の裏を爆発して、一挙にカノン目掛けて落下した。


 「 !? 」

 「 喰らえ 」


 ――そして、勢いそのまま〝SOC〟をカノン目掛けて振り下ろした。



 深 域 突 破 ・ 紅 蓮 地――……



 ――同時。



 「 ショートレンジで攻め続ければ勝てると思った? 」



 ――既にカノンの右腕が俺の頬に添えられていた。


 ……えっ


 「 〝バースト〟 」



 ――ゴッッッッッッッッッ! 俺の顔面に衝撃が走り、俺は遥か数メートルまで吹っ飛ばされ、地面を転がり、一本木に叩きつけられた。



 「――かはっ!」


 ――一瞬、意識が飛んだ。


 ……なんつぅ威力だ。ただの拳激じゃない!?


 「これが僕の近接戦闘スタイル――〝アクセスバレッド〟。銃弾を僕自身にチャージし、その威力を僕の身体から撃ち出す技だ」


 ……つまり、


 「僕の拳は銃弾と同等のものだと思ってくれればいい」


 ……奴自身が銃そのものってことだ。


 「……ふう」


 ……立ち上がり、まずは一息。

 俺は空を見上げた。もう見飽きた曇り空が広がっていた。

 カノンは強敵だ。

 遠距離戦ではまるで歯が立たない。

 近距離戦では互角。

 てか、今まで攻撃を受け過ぎたので俺の方がヤバい。

 総合力は7:3か8:2で向こうに歩がある。

 なら、勝負するなら一つだ。


 ――一瞬の火力。


 ……これしかない。


 「 〝灼煌〟だ 」


 ……俺は〝SOC〟の刃先をカノンに向けた。


 「……プレッシャーが跳ね上がった!」


 そりゃそうさ、俺はこの一撃に全てを懸けているんだからな。


 「カノン、銃を抜け」


 俺は魔力を爆発させた。


 「これが俺の全力全快だ」


 ……まだ、上がる!


 「心して受けろ」


 まだ、上がる……!


 「 火傷するぜ 」


 ――上がれ……!



 ――ズァッッッッッッッッッッッッッ……!



 「……確かに」


 カノンが漆黒の拳銃をホルダーから抜き出した。


 「これは僕も本気を出さないといけないみたいだ」


 ――ズァッッッッッッッッッ……! カノンの魔力も跳ね上がった。


 「ならば僕も奥の手を出させてもらうよ」


 カノンが漆黒の拳銃を構えた。


 「この拳銃は僕の取って置き――〝くろおぼろ〟」


 〝黒朧〟が形を変える。


 「持ち主の全魔力を引き換えに目の前の全てを消し飛ばすのさ」


 〝黒朧〟が形を変える。

 より巨大に、

 より荘厳に、


 ――変わる……!


 「……行くよ、タツタくん」

 「……ああ、いつでも来い」


 「 光焔万丈 」


 「 黒き王 」


 「 焼き尽くせ

        燃やし尽くせ 」


 「 暗き洪水

       混沌なる闇 」


 「 灰は灰に 」


 「 闇は闇に 」


 「 天上天下骨肉灰塵 」


 「 闇黒大殲 」


 ――俺は〝SOC〟を振り下ろした。


 ――カノンは〝黒朧〟の引き金を引いた。





     灼     煌





     黒     朧






 ……世界は赤と黒に包まれた。


挿絵(By みてみん)

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