表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
270/462

 第259話 『 タツタVSカノン.Ⅲ 』



 「……雷速を完全に見切ったのか?」


 ……僕はタツタくんの成長速度に度肝を抜かれた。


 (……完全に見切っていたぞ。しかも、〝空門の呼吸〟を使わずに)


 〝白絵〟に〝white‐canvas〟を使わせたその実力は、僕の知っているタツタくんを遥かに上回っていた。


 「……本当に強くなっていたんだね」

 「言っただろ。お前は俺に絶対に勝てねェってなっ」


 タツタくんはまるで羽虫を払うように、僕の脚を弾いた。

 僕は空中を一回転して着地した。


 「……雷が通じないか。だったら!」


 装填――……。


 「 力で捩じ伏せる! 」



   破    王    砲



     水     旋



 ――僕の身体に二種類の弾丸が装填される。


 「 んで! 」


 ――解放。



  炎  魔  水  龍  弾



 ――ボッッッッッッッッッ……! 圧縮された高エネルギー弾が、タツタくん目掛けて放たれる。


 「……〝白絵〟戦で見せた〝破王砲〟と〝水旋〟の複合技か」


 タツタくんは逃げも隠れもせずに拳を構えた。


 「その性質は縦横無尽に曲がる!」


 タツタくんが右手に黒い魔力を集中させ、真正面から立ち向かう。


 「だったら、曲がる前に壊す……!」


 「 ハズレ 」


 ――形状変化。


 「 〝炎魔水千弾〟 」



 ――巨大な熱弾は無数の小さな熱弾に分裂した。



 「……っ! 軌道じゃなくて形を変えた、だと!?」


 ――無数の熱弾がタツタくんに襲い掛かり、タツタくんは堪らず防御の体勢を取らされる。


 「 〝再装填リロード〟 」


 ――その一瞬の隙に僕は〝雷鳴閃〟を装填し、タツタくんの間合いに侵入する。


 「 & 」


 ――僕は右手に〝破王砲〟と〝重王弾〟を装填した。


 「 〝解放バースト〟 」


 「――ッ!」


 ……タツタくんが後ろへ跳ぶ、が遅い。



  炎  魔  重  王  拳



 ――ゴッッッッッッッッッッッッッッッ……! 超エネルギーと超重量を秘めた拳撃がタツタくんの土手っ腹に炸裂した。


 「――ッッッッッッッッッ……!」


 タツタくんは勢いよく吹っ飛び、地面を二度バウンドし、石壁に叩きつけられた。


 石壁に亀裂が走る。


 ――トンッ……。僕はタツタくんが立て直すよりも早く、タツタくんの額に人差し指を添えていた。


 「……悪いけど」


 人差し指が赤く光る。


 「 手加減はできないから 」



  零  式 ・ 破  王  砲



 ――轟ッッッッッッッッッッッッッッッッッッ……! 大火力の熱線がタツタくんを呑み込んだ。


 ……吹き抜ける爆風。


 ……崩れ落ちる石壁。


 「 ……わかったよ 」


 ――舞い上がる粉塵の中から声が聴こえた。


 「 手加減無しでやってやる 」



 ――視界が真っ黒になった。



 「――」


 「 〝超〟 」


 ……次の瞬間。



   黒    飛    那



 ――轟ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ……!!!


 「――がッッッッッッ……!」


 ……破壊の奔流が僕を呑み込み、吹っ飛ばした。


 (……馬鹿な!)


 ……有り得なかった。


 「……素手で〝黒飛那〟を撃てるなんて、聞いてないよっ」


 僕は地面を転がり、そのままコロシアムの石壁を突き破った。


 「おかしなことはないぜ」


 ……舞い上がる粉塵から出てきたタツタくんが答えた。


 「〝黒飛那〟の正体は〝闇黒染占〟で強化された〝風刃〟だ。柄物が無ければ撃てない代物じゃない」


 〝炎魔重王拳〟・〝零式・破王砲〟を食らってなお、タツタくんは平然としていた。呆れた頑丈さである。


 「まっ、媒介が無い分、かなり威力は落ちるがな」

 「……」


 ……威力が落ちていてこれ程の破壊力か。


 「……認めざるを得ないみたいだね」


 僕は軋む身体を無理矢理起こして、立ち上がった。


 「 君は強い 」


 身体にのし掛かるダメージがタツタくんとの実力差を物語っていた。


 「 僕よりもずっと強い 」


 ……悔しいけどそれが現実であった。


 「……だけど、それも今夜までだ」


 装填――〝破王砲〟。


 「僕は君を超える」


 装填――〝雷鳴閃〟。


 「僕が君の仲間だってことを認めさせてやる」


 装填――〝水旋〟。


 「この――………」


 装填――〝重王弾〟。


 ……地面に亀裂が走る。


 ……空気が震動する。


 装填――〝黒朧〟。



 「 〝五頭龍ごずりゅう〟で……! 」



 ……僕は異形の怪物になっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ