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 第189話 『 決着! 最後の〝極・黒飛那〟!! 』



 ……声が聴こえた。


 「――まッ!」


 ……知っている声であった。


 「タツタ様ッ!」


 ……ドロシーの声であった。


 (……俺、確か〝極・闇黒染占〟を使って闇に呑まれて……どうなったんだっけ?)


 ……その後の記憶は残っていなかった。

 しかし、呼ばれているからには起きた方がいいだろう。そう思った俺は重い瞼を無理矢理開けた。


 「……」


 ……夕暮れ。目の前に広がるのは橙色の空であった。


 「……ここは? ――って、どわぁっ!?」


 ――状況把握するよりも早くドロシーが胸に飛び込み、俺はすっとんきょうな声を溢した。


 「タツタ様、生きてる! 良かったっ、良かったぁっ……!」

 「……ドロシー」


 ドロシーが号泣しながら抱きつく……少し傷に響いたが俺は何も言わなかった。


 「タツタ、目を覚ましたの!」

 「タツタさん! 本当にタツタさんですか!」


 皆がぞろぞろと集まり、T.タツタは全員集合した。


 「……悪い、何か心配掛けちまったな」


 〝水由〟を倒す為とはいえ無茶をし過ぎたので俺は素直に謝った。


 「いいんです! 今は帰ってくださっただけで、それだけでいいんです!」


 号泣しながら抱きつくドロシー……うん、涙とか鼻水とか色々な液体が服に着いているが黙っておこう。


 「また無茶をして……と叱りたいところですが、今回はわたし達の力不足が原因でしたので不問にします」


 ギルドがムスッとした顔をそっぽに向けた。


 「お疲れさまでした、タツタさん」

 「おう!」


 俺はギルドと拳を合わせて勝利を分かち合った。



 「……もう勝ったつもりか?」



 『――』


 ……その声に一同の笑顔が凍りついた。


 「……まだ生きていたのか」

 「当然だ。貴様の一撃程度では俺は殺せんよ」


 ……そう、〝水由〟だった。〝水由〟が満身創痍な姿で俺達の前に姿を見せたのだ。


 「さあ、決着の刻だ」

 「……皆、少し下がってくれ」


 俺は重い身体を無理矢理起こした。


 「……タツタ様」

 「心配すんな、ドロシー」


 心配そうに見つめるドロシーの頭にぽんと手を置く。


 「一撃で終わらせるよ」


 俺はそれだけ言って、ドロシーの頭から手を降ろし、〝SOC〟を拾い上げた。


 「待たせたな」

 「辞世の句は充分か?」


 俺と〝水由〟が睨み合う。


 「悪いが一撃で終わらせるぜ」

 「構わん、俺もお前もそれが限界だ」


 〝水由〟が構えた。


 「だが」


 高 機 動 爆 弾 × 1299


 「 一撃で終わるのは貴様の方だ……! 」


 ――圧縮ッッッッッ……!





     天     照





 ――無数の〝高機動爆弾〟が一ヶ所に集まり、巨大な熱球となり、放たれる。


 「悪ィな」


 俺も〝SOC〟を構えた。


 「この勝負、俺が勝つよ」


 〝SOC〟には〝極・黒飛那〟一発分の〝闇〟が残っていた。



  全       全

      力       開


 「行くぜ――……」





  極  ・  黒  飛  那





 ――特大の黒い衝撃波が放たれる。


 〝天照〟が目の前にある物全てを灰にして突き進む。


 〝極・黒飛那〟が目の前にある物全てを薙ぎ倒し突き進む。







 ――轟ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ……!!!!!



 ……〝極・黒飛那〟と〝天照〟が衝突した。


 「…………悪ィな、やっぱり俺が勝つよ」


 ――ピシッッッ……! 〝天照〟が亀裂が走る。


 「俺には傷つけちゃならねェ仲間がいる」


 ……亀裂が加速する。


 「俺には命懸けで俺を守ってくれた仲間がいる」



 ――パンッッッッッ……! 〝天照〟が破裂した。



 「……馬鹿……なっ」



 ――炸裂! 〝極・黒飛那〟が〝水由〟を呑み込んだ。



 「独りで戦っているお前とは背負うものが違うんだよ……!」



 ……勝った。


 ――全てを出し尽くした俺は膝を着いた。


 「タツタさんっ!」


 ギルド達も駆け寄



 「 カラアゲタツタァァァァァァァァァァァッッッ……! 」



 ――〝水由〟の咆哮が舞い上がる土煙から響き渡った。


 『――ッ!』


 〝水由〟の尋常ならざる生命力に俺達は絶句する。


 「俺はァッ! マショウジュッカイィィ! 絶対に敗北は許されないィ……!」

 「……っ!」


 俺は目の前の光景に衝撃を受ける。


 「殺すコロスコロコロコロ殺す殺す殺すゥゥゥゥゥゥゥゥ……!」


 全身血を流し、皮膚は抉れ、骨や筋肉が僅かに覗かせながら立つ〝水由〟がいた。


 「……お前、これ以上やれば死ぬぞ」

 「死ぬのはお前らだァァァ!」

 「……何?」


 ……〝水由〟が狂笑した。


 「今から俺の体内にある全魔力で造った爆弾で四周一里を吹き飛ばすゥゥゥゥ……!」

 「――ッ!」


 ……四周一里を吹き飛ばす爆弾だと!


 「名は〝絶暴ディスペア〟! お前らは全員死ぬんだよォォォォォ……!」

 「……やめろ」

 「くっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ……!」

 「やめろォ……!」


 俺は飛び出すも――身体が地面に落ちた。


 (……クソ! 身体が動かねェ!)


 〝水由〟が大空を仰ぎ見て高らかに笑った。


 「 万歳! 〝白絵〟様、万歳! 」


 「やめろォォォォォォォォォォッッッ……!」










 ――カッッッッッッ……! 世界が真っ白に染まった。



 ……終わる。


 ……死ぬ。


 ……俺達、皆死ぬんだ。


 ……ちくしょう。


 ……ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう……!


 「……ちく……しょうっ」



 「 どうやら、最期の仕事のようだな 」



 ……真っ白な世界に、〝LOKI〟が立っていた。


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