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 第182話 『 暴走する闇 』



 ――轟ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ……!!!



 ……〝極・黒飛那十字衝〟と〝天照〟が衝突した。


 純粋な破壊と圧倒的な熱量が一進一退の鍔迫り合いを見せる。

 暴風が吹き荒れ、礫や砂塵を吹き飛ばし、草木をしならせる。

 〝天照〟の熱量が〝極・黒飛那十字〟との衝突により、周囲一帯に熱風を撒き散らす。


 「ミズヨシィィィィィィィィィィィィッッッ……!」


 「タツタァァァァァァァァァァァァッッッ……!」


 ……譲れない意地。

 ……負けられない勝負。


 ――ピシッ……! 亀裂が走る。


 ……そして、勝負の行方は?


 「 俺の勝ちだ……! 」



 ――〝天照〟が砕け散った。



 「 〝水由〟……! 」



 ――轟ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ……!!! 〝極・黒飛那十字衝〟が〝水由〟に炸裂した。



 「……勝った、のか?」


 俺は舞い上がる粉塵を見つめ、立ち尽くした。


 「……」


 正直、ギリギリの戦いであった。特に最後の〝天照〟、あれは桁違いの威力だった。


 「……クソっ、俺も限界だな」


 俺は黒い紋様の走る右手を見下ろして呟く。


 「ご無事ですか、タツタさんっ……!」

 「大丈夫かい、タツタくんっ!」

 「タツタ様……!」


 ドロシーも目を覚ましたのか、皆が俺に駆け寄ろうとする。



  ド       ン

            ッ

     ク



 「皆、来るなっ……!」


 ――咄嗟に俺は吼えた。


 (……忘れていた訳じゃない)


 〝極・闇黒染占〟は強力な力だ。だが、それにはある代償が伴っていた。


 (……そう、その代償は?)


 ――ズッ……! 黒い魔力の翼から黒い腕が伸びてきた。


 「タツタさん……!」

 「来るなッッッ……!」


 俺は駆け寄ろうとするギルドを制止した。


 「……来るな、ギルドっ」


 黒い腕は次々と翼から伸び、俺の身体に絡みついた。


 「タツタくん!」

 「タツタ様!」


 カノンやドロシーの悲痛な叫びがやけに遠くから聴こえた。


 (……それに、今来たところでもう遅い)


 そう、既に俺の身体はほとんど闇に呑まれていた。


 (……ちくしょう、死にたくねェな)


 まだやりたいことが沢山あったのに、まだやらなきゃいけないことも沢山残しているのに……。


 ……ごめん、ギルド。アークと仲直りさせてやるって約束したのに。


 ……ごめん、カノン。お前に死に急ぐなって言っておいて俺が先に死にそうだ。


 ……ドロシー、俺はお前の闇を振り払えたかな?


 ……さよなら、昔言われた言葉をお前に言うことになるとはな、フレイ。


 ……クリス、折角守ってくれたのに、すぐに死んじまったのは本当に申し訳ないと思う。


 ……夜凪、お前は生意気で憎たらしかったが、何だかんだいい弟分だったと思う。


 ……フゥ、結局最後まで何言ってるのかよくわかんなかったよ。


 ……ちくしょう、悔しいなぁ。また、皆で冒険がしたかったな。


 ……もっと一緒に話したかったし、もっと遊びたかったよ。


 ……ちくしょう。



 ……死にきれねェよ、馬鹿野郎。



 「タツタさん……!」


 ――ギルドが俺に手を差し伸ばす。


 「……悪い……皆」


 そして――俺の身体は完全に闇に呑まれた。





 俺 は こ こ ま で だ 。





 ……そこで、俺の意識は途絶えた。



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