番外編 『 祝1周年だよ! 海だよ! 水着だよ! (前編) 』
……これは夜凪が仲間になってから五日が過ぎた、ある晴れた日の話である。
「 海だーーーっ! 」
……俺は目の前に広がる広大な海と砂浜を前に吼えた。
……見上げれば青い空と白い雲、
……見渡せば青い海と白い砂浜、
……そして
「 ひゃー、日射し眩しー! 」
「 へえ、意外に広いのですね 」
「 海ーーー! 」
「 ……日射し、暑いかも 」
……姿を見せる水着美女たち。
「……」
思わず見惚れる俺。
「あのー、タツタさん?」
――目の前にギルドの顔があった。
「――うおっ、どうした!」
俺は思わずキョドってしまう。
「いや、どうという訳では無いんですが、そのー、似合いますか?」
ギルドが上目遣いでそう訊ねてくる。
ちなみに、ギルドの水着は白のビキニ(三角生地)であり、シンプルなデザインが故にギルドのエロチックなボディーラインを100パーセント魅せつけていた。
うん、何というかエロかった。
「ああ、可愛いよ」
「かっ、可愛い!」
俺は爽やかな笑みを浮かべて、静かに茂みの方へ歩いていった。
「……」
そして、一人になった俺。
「 何あれかわわわわわわわわわわわわわわわわわわわっ……! 」
……ギルドのエロ可愛さに見悶えた。
危なかった。危うく鼻血を噴き出すところだったぜ。
すーはーすーはー、俺は深呼吸し、精神が落ち着いたところで再び皆のところへ戻った。
「急にいなくなってどうしたんですか?」
「いや、ちょっとトイレに」
戻ってきた俺にギルドがとてとてと歩み寄る……やめろ! 不用意に近づくんじゃねェ! 鼻血出ちゃうだろ!
「 あのー、タツタさん 」
「 わたし達の水着もどうかな? 」
――フレイとクリスが俺を呼んだ。
俺は極自然に声のする方向を向いてしまう。
「……どう……ですか」
「……えっと、変じゃないかな」
二人はモジモジしながら、恥ずかしそうに頬を紅く染め、水着姿を見せてくる。
フレイは所々にフリルをあしらった可愛らしいデザインの水着、クリスはホルターネックでスカートタイプの水着をそれぞれ着ていた。
「うん、二人とも可愛いよ」
「わーい! やったー!」
「……えへへ、恥ずかしい、かも」
俺は爽やかな笑みを浮かべて、静かに茂みの方へ歩いていった。
「……」
そして、一人になった俺。
「 ぶっ! ブヒイィィィィィィィィィィィ……! 」
……二人の可愛さに見悶えた。
フレイの年相応の健全ボディーはサイコーだぜ!
クリスの見た目と幼さと発育のいい巨乳が織り成すアンバランス感もサイコーだぜ!
つまり幼女はサイコーだぜ!
「……」
すーはーすーはー、俺は深呼吸し、精神が落ち着いたところで再び皆のところへ戻った。
「急にいなくなってどうしたんですか?」
「いや、ちょっとトイレに」
「また! おじいちゃんなの!」
一分間に二回トイレに行く俺に、ギルドが突っ込んだ。
ふぅ、ギルドにフレイにクリス、なかなかの破壊力だったが何とか乗り切れたぜ。
「……」
……あれ? 誰か忘れているような。
「 タツタ様~~~! 」
――ドロシーだ。最後の爆弾、ドロシーが砂浜を駆けてやってきた。
「おう、ドロシー。遅かったな――……」
……目の前にとんでもない光景があった。
青い空と白い砂浜。そして――……。
「 マイクロビキニやん!!! 」
……マイクロビキニ。それは文字通り布面積がマイクロなビキニである。
「……貸し出していたのがこれしか残っていなかったんです、仕方なかったんですっ」
ドロシーが羞恥で顔を真っ赤にしながらぶつぶつ言い訳を連ねていた。
「……あの、タツタ様。その、変では無いでしょうか」
そう、上目遣いで訊ねるドロシー。
整った顔立ちに魅惑のプロモーション、留目にマイクロビキニ。
「 ―― 」
「きゃー、タツタ様が白眼を剥きながら、鼻血を垂らして、倒れましたー!?」
……許容外のエロスに堪えきれず、俺は失神した。
……………………。
…………。
……。
「 あれ、起きたのかな 」
……目を覚ますとそこにはクリスの顔かすぐ近くにあった。
「……あれ? 俺、寝てた?」
「うん、白眼剥いて鼻血垂らしながら」
……何それ、格好悪っ!
「……そっか。クリスは泳がないのか?」
「ううん、ちょっとは泳いだよ。でも、わたし、泳ぐのも暑いのも苦手だから」
「へえ」
確かに、ずっと極寒のノスタル大陸に住んでいたクリスにとってはこの日射しでもキツいのかもしれない。
……ん? ちょっと待てよ。
今、俺は木陰で仰向けに倒れていて、すぐ近くにクリスの顔があって、頭の下には柔らかくて温かい感触が広がっていた。
……これ、あれやん!
( 膝枕やん!? )
……視界にクリスの豊満な巨乳がチラついとるやん!
見た目十二~十三歳のロリ巨乳に膝枕してもらえるなんて俺は幸せものだなぁ。
「……タツタさん、鼻の下伸びてる」
「うえっ!」
「……えっち」
「……」
そう言って頬を紅潮させ、唇を尖らせるクリス。やめてくれ、その表情は股間に響くから。
「じゃっ、俺も泳ぎに行くか」
膝枕もいいが、折角海に来たのに泳がないのもナンセンスなので、多少の名残惜しさを胸に俺は立ち上がった。
「クリスも行くか」
「……うん、行く」
俺はクリスの手を引いて、遊泳している皆の輪に向かって駆け出した。
「あっ、タツタ起きたの?」
「おはよ、タツタくん♪」
潜水対決をしていた夜凪とカノンが、海面から顔を出した。
「そういえば、今から皆で〝ビラッグ〟をやろうって言ってたんだけどタツタくんもやらない?」
「〝ビラッグ〟って何?」
「えぇー、タツタ〝ビラッグ〟知らないの!」
……何それ、有名なの?
「えーと、〝ビラッグ〟っていうのはね、砂浜に旗を立てて、二人同時に走って、先に旗を取った方が勝ちっという競技だよ」
……ビーチフラッグじゃね、それ。
「まあ、いいや。皆でやろうか」
「さんせー」
「やるからには負けないよ」
「わたしは応援するよ」
……そんな訳で、ギルド達と合流した俺達は〝ビラッグ〟対決をすることになった。
ちなみに、チーム分けは以下の通りである。
∥ T.タツタ ∥
・先鋒:フレイ
・中堅:ヤナギ
・大将:タツタ
∥ T.ギルド ∥
・先鋒:ドロシー
・中堅:カノン
・大将:ギルド
∥ 応援 ∥
・クリス
……遥か100メートル先にそびえ立つ赤いフラッグが風に煽られる。
……他の遊泳者も何故か息を呑み、沈黙する。
……砂上で睨み合う両雄。
「今日は勝つぜ……!」
「いえ、勝つのはわたし達です☆」
「ドロシーさん負けませんよ!」
「こちらこそ、正々堂々戦いましょう」
「手加減なしだよ、カノン兄ちゃん」
「よろしくね、ヤナギくん」
「……皆、頑張って」
「それでは一回戦! フレイ選手とドロシー選手、前へ!」
……知らない間に審判がいた。いや、コイツ誰だよ。
「よろしくお願いします、ドロシーさん」
「ええ、こちらこそ」
横並びになるフレイとドロシー。
「オン・ユア・マークス」
審判がスタートの合図を出す……だから、お前誰だよ。
「 GO!!! 」
――フレイが飛び出した。
――ドロシーも飛び出した。
……そして、決戦の火蓋は切って落とされた。




