第125話 『 炸裂! 決別の黒羽!! 』
―― 1 0 0 0 !
「 うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッッ……! 」
俺は〝千獄〟に向かって真っ直ぐに飛び出した。
〝幻影六花〟に〝魔焔〟を纏わせ、襲い掛かる〝千獄〟を片っ端から切り刻む。
―― 0 7 9 0 !
「 まだまだァァァァァァァァァァァァ……! 」
焼く!
斬る!
焼き斬る……!
―― 0 3 1 0 !
「 弐の型ァッ……! 」
伸
「 かァらァのー! 」
暗 黒 刃 ・ 環
――俺は半径三メートル以内にあるもの全てを切り刻んだ。
―― 0 0 0 1 !
「 うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッッ……! 」
――斬ッッッッッ……! 俺は最後一本の〝ムカデ〟を切り刻んだ
―― 0 0 0 0 !
「やったっ」
「 いや、まだだ 」
―― 0 0 0 1 !
「 えっ! 」
……それは一筋の光。
……全てを貫く一筋の槍だ。
――ドッッッッッッッ……! 〝雷〟が俺の右肩を貫いた
「……っ!」
「集中しろ、だからフェイクに騙されるのだよ」
――ニヤリ……! 〝俺〟は笑った。
同 時 。
――〝俺〟が砕け散った。
「 集中しなよ、だからフェイクに騙されるんだよ! 」
「……〝鏡〟、だと」
――俺は〝むかで〟の真上にいた。
そう、さっき貫かれたのは肆の型――〝鏡〟で造った俺の分身だったのだ。
「喰らえ……!」
「 〝蟲龍〟、参式 」
暗 黒 大 炎 弾
と ぐ ろ
――特大の黒い炎弾が〝むかで〟を呑み込んだ。
「……」
しかし、俺は燃え上がる火の海を無言で見つめた。
わかっているよ。このくらいじゃ〝むかで〟は倒せないってことぐらいね。
「……へへっ、驚いたな」
目の前の〝とぐろ〟はひび一つ入ってはいなかったのだ。
「 悪くない攻めだ 」
――声は〝とぐろ〟の中から聴こえた。
「だが、圧倒的に足りぬな」
ピシッ、〝とぐろ〟に亀裂が走り、すぐに崩れ落ちた。
勿論、中には〝むかで〟が悠然と立っていた。
「力が……!」
「……」
確かに、俺の火力じゃ〝むかで〟に決定打を打ち込むことはできない。
だからと言って長期戦に持ち込めば、経験値の差でじり貧になるだけだ。
「 火力が足りないって言うのなら 」
俺は〝幻影六花〟にありったけの魔焔を集中させた。
「 全部出すよ 」
集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中。
「 この一振りに全部乗せて……! 」
――集中ッッッッッ……!
――たった一振りの〝幻影六花〟に極限まで研ぎ澄まされた〝魔焔〟が凝縮された。
「……いいだろう、ならばその一振り、完膚無きまでに叩き潰してやろう」
――〝蟲龍〟 、 陸式 。
百 足 王
……それはひたすらに強大で、
……凶悪な牙と脚を持つ、
……百足だった。
「 さあ、答えを出せ――〝からす〟! 」
――〝百足王〟が俺に襲い掛かる。
「 貴様の信念を貫き通せ……! 」
――〝むかで〟が吼えた。
「 うん、わかった 」
――俺は〝幻影六花〟を構える。
「 これが俺の答えだよ 」
――そして、一息で刃を開放した。
「 〝むかで〟を倒す! そして、フレイを助ける! 」
黒 羽
――極限まで圧縮された〝魔焔〟は巨大な炎の鴉となって放たれた。
「貫けェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェッッッ……!」
「……壊せ、〝百足王〟」
――ゴッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ……!
――超破壊と超破壊、二つの破壊の奔流が衝突した。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
――届け!
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
――届け……!
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ……!」
――届けェェェェェ……!
――ピシッ……、〝黒羽〟に亀裂が走った。
「――」
次 の 瞬 間 。
――〝黒羽〟が粉々に砕け散った。
「……俺の……負けか」
――しかし、〝百足王〟はまだ壊れていなかった。
……負けた。
……完敗だ。
……俺、死ぬんだ。
……嫌だなぁ。
……死にたくないなぁ。
……フレイ。
……ごめん、フレイ。
……約束守れなかったね。
――〝百足王〟が迫る。
全てを出し尽くした俺はもう動けなかった。
だから、死ぬ。もう助からないんだ。
「……フレイ、さよなら」
「 ユウさんは絶対に死なせません! 」
「――」
……嘘だろ?
――フレイが俺と〝百足王〟の間に割り込んでいた。
……何で、フレイが俺の前にいるんだよ!
「やめろよっ、フレイ! 逃げろよ!」
「嫌です!」
――即答された。
「ユウさんはわたしのたった一人のお兄さんなんです! 欠け代えのない大切な人なんです!」
「――」
「だから、わたしはユウさんを守ります! 絶対に死なせはしません!」
……フレイの意志は固かった。
……でも、駄目なんだ。
フレイ、お前が死んだら俺は――……。
――〝百足王〟が目の前まで迫る。
――フレイが人差し指を構える。
灼 こ――……
「 悪い、待たせたな 」
超 ・ 黒 飛 那
――斬ッッッッッッッッッッッッッッッ……!
……〝百足王〟が一刀両断された。
「……えっ?」
――トンッ、一人の男が俺とフレイの前に着地した。
「あんたはっ……!」
「……えっ、うそ」
俺もフレイも目の前の光景に目を疑った。
そいつは半年前、俺に手も足も出ないまま負けた奴だ。
そいつはフレイにとって一番大切な人だ。
そいつは――……。
「 よく頑張ったな 」
――男が俺とフレイの頭を撫でた。
……何でだろう。涙が出そうになった。
「 後は俺達に任せろ……! 」
……空上龍太が俺達の窮地に現れのだ。




