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私は漫画か画集のほうが好き。

文字ばかりで絵のない本なんて全然読まない。

なのに図書委員にされてしまった。


放課後になり仕事を済ませて帰ろうとしたところ。

なんだかざわざわと話し声が聞こえてきた。

辺りを調べたけど誰もいない。


しかし本がカタカタ動いている。


「誰かそこにいるの?」


「やあ特八(とくは)代美(よみ)!ボクはジュイル=ジドー、君を明るく楽しい世界につれてってあげる!」

「待ちたまえ…」

別の棚の本がカタカタゆれた。

人が入る奥行きはないのになんで!?。


「テリス=サミス!」

「世界に散らばる謎を解き明かすことこそ彼女がすべきことだ」


「謎、といえば恋だよね」

「ラヴァ=ソルは黙っててよ年齢制限上がっちゃうから」

「相変わらずお子様だな…貴様等」

「カルト=ラー!」

次からつぎへ、本がカタカタしている!?


「はは…私は夢を見ているのかな~なんて…?」


「俺はブッカー」

「僕はマッカー!」


「…本の栞とヒモがしゃべってる!?」

ブックカバーが一人でに歩きだしてしまい。

とうとう私は気絶した。


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

なんか目をさましたらドッと増えていた。

しかも本が人間になっている。

まだ夢を見ているのか。

もう一度気絶しよう。


「…あの?もう大丈夫ですかね?」

「うん、まあ説明してよこれドッキリなんでしょ?」

ドッキリ大成功のパネルを持った人がカメラと一緒に入ってくるあれでしょ?


タイトルは“本が喋ったらどんな反応をするのか”に決まっている。


「どうしても僕たちが本の精だって認めてくれませんか?」

「証拠は?」

精霊だか本人間だか知らないけど、証拠がなければ家族でもない人を信頼なんて出来ない。


皆にいきなり手を差し出される。


一人一人の手をとろうとした。

すかっ、確かに触れていた筈なのに、当たらない。


「…触れないでしょう?」

「貴方達が精霊っていうのは本当みたい。一応精霊だってことだけは把握した」


「自己紹介といきましょうか、私は文聞学(ぶんぎまなぶ)

いかにも頭が固そうな眼鏡。


「…エスファだ」

宇宙服の変なやつ。


「私はセヨだよ~」

女の子みたいな男


「ベブルだ」

キノコみたいな髪の男


「ボクはカンノアだよ…仲良くしなくてもいいから…いじめないでね」

おどおど手を組んでいる美少年。


「ほらほら笑って笑って~」

ピエロ?


「オレってワニ倒せるんだぜ?」

といいながらパチリと片目を閉じたこれといって特徴がないやつ。


「ゼテンだ別によろしくしなくていいぞ頭の悪そうな女」

ズレたモノクルの変なやつ。

「…」

ちょっと無意識で睨み付けたらびびって黙った。


「え?あー。ガシーラ。絵の邪魔しないでね」

もくもくと本が、人型精霊とはいえ本が絵を描いている。

超うまい。さすが本だ。


「おれはディアン。得意技は工作だ」

「あ、それ!毎号買ってるミニチュア!」

買ってもうまくできないから組み立てずに放置だけど。


「わたくしはジードですわからないことがあればなんなりとお聞きください」

さっきの失礼モノクル野郎とは違って善良なモノクルだ。


なんかけむたい。

「あ?」

このグラサン男のせいか。

ともあれ火事じゃなくてよかった。


否、別の匂いもしている。

「食べる?」

「うん」

本の精霊に餌付けされてしまった。


「まってくださいそれ、毒キノコですよ」

糸目がキノコを叩き落とす。


「ズ=カン…」

コックは料理を落とされて不服そうだ。


「毎度毒草やら毒魚やらを見つけてくるんですから…しかたないですね」


「うわああチズルが泡を吹いて倒れた!!」

へえ、妖精にも毒キノコは効果あるんだ。


ちらりと学ランの彼を見る。

「おれ三根(まつね)コウ!あ…べんきょーしないと」

…切り替えがはやい。


郷瓜(さとか)ショウだ」

やれやれ、といった様子で名乗る暗そうなブレザーの男。


「エイホです」

地味だ。


「なぜ君に僕達の姿が見えたのかはわかっている…それは」

「それは?」


「君が本を読まないからだ!!」

「画集は見てるよ」


あれも総まとめにすれば本みたいなもんでしょ。


ガシーラがにこやかに親指を立てている。


「おい…ガシーラが笑ってるぞ」


「彼女が本を読まないのは謎だ」

まだいたのか探偵。


「ああ怖い…」

カルトという変な格好の男も、他の人に気をとられて視界から消えていた。


「今時本読まない人なんてたくさんいるじゃん」

むしろ本を読む若者のほうが珍しい。


「くくっ…君くらいだと携帯小説とかもあるだろ?特に恋愛ジャンル」

ラヴァというチャラ男が鼻で笑っている。


「あーそれも…ヒマじゃないし」


「これは重症だ」

「…生来まともな仕事につけんぞ」


誰が言ったのかわからないが、聞こえている。


「フ…本を読む読まないは、彼女の自由ですよ」

「精霊王…」


いきなり語り出したのはエルフ耳の男。


「ノヴェル様!?」


「はあ…」

ノヴェルの姿を見て、騎士の格好をしたジュイルが密かに、とても偉い人への尊敬とは言えないため息をついていた。


「たしかに私達は君に本を読んでもらいたい。

それは決して私達が本の精霊でそれを好きだから押し付けたいわけではないのです」

「はあ…でも精霊王さん、皆というわけじゃないけど押しつけようとしていた人もいたような…」


ちらりと2、3名を見据える。


「テリスにラヴァだな…」

眼鏡の人がため息をつき、頭を抱える。


「話を戻しますが…たしかに本を読まなくても生きていけます」

「そうなんだ?」

それを言ったら本末転倒じゃない。


「しかし、人生に余裕と充実を与えるのが本だと思うのです」

「気を悪くするだろうけど、本って文字ばっかでつまんないんだよね」


「初めは皆そう言うんだよ…」

「いつの間にか本無しでは生きられくなりますからね…フフ」


なんかこわい。


「ああ恐い…」

カルトが頭に巻いた三角の布で目隠しをした。


「一先ず沢山ジャンルを用意しましたから好きなものを見つけましょう」



「いやーおくれてsorry」


おしゃれというかハイテクそうな3D眼鏡の男が現れた。


「ナビノル!」

「誰?」

もう次から次に現れてわけがわからなくなってきた。


「君が本の世界に行く手助けをしてくれるんだ」

「私が本の世界に?」



「そうだよ、僕たちジャンルズを選んで、その世界を脳内で体感してもらおうと思って」

「なるほど、本を読まなくても読んだ気分になるんだ……」


だから3D眼鏡なのね。


「じゃ、気になったものでも言ってごらんよ」


「うーん……」


こうして、自分に合う本を探すことになった。



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