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朱に交わらず
「うわぁ、こんなもらっちゃっていいんですか!?」
「えぇ、是非召し上がりください」
食事を済ませた青年の前には
卵等から作られた生地で生クリームを挟んだ菓子や
クッキー等が一つの大きな盆の上に
盛られていた。
「例年、この時期は物資が乏しくなり、
普段なら食事を切り詰め、活気無く
暮らしていかねばならないのです」
今までを振り返るかのように副村長が下を向く。
「しかし、今回は君がこんなにも早い時期に
依頼をこなしてくれたお陰で、
久々に余裕ある生活が遅れそうですよ」
そうですか、それは良かった!
と、甘味を堪能しながら彼は応える。
「しかし、何故、いつもこの時期に
窮してしまうのです?それならもっと
早い時期に依頼を出すとか」
「理由は二つあります。
一つは、この村は基本的に貧しくて、
依頼する物資の値が一番低くなる収穫期
にしか、十分な量を注文できないのです」
「もう一つは」
諦めたかのような遠い目だ。
「隣村を結ぶ山路に、魔物が巣食っているのです」




