猿真似VS猿芝居
私達は町の宿屋で3泊分の前払いを済ませ、
部屋に入った。
ちょうど昼時だったらしく、サービスとして
もらったサンドイッチ(のような料理)を
テーブルの上に載せ、私はとりあえず
部屋の隅の椅子に腰かけた。
「それじゃあ、色々と聞かせてくれないか?」
「のんびりは出来ない。要点だけだ。」
先ほどの、焦った様子はなくなっていた。
彼女から聞いた話をさらに要約すると、
彼女はある国(何故か聴き取れなかった)の姫の
付き人兼護衛であった。しかし、幹部の裏切りで
王族がそろって国を追放され、彼女は近隣諸国への
貢物の一つである姫のおまけとして、商隊に運ばれていた。
その途中、霧が彼らを取り囲み、気づいた時には
商隊とその護衛が死体となっていた。
元々、隙をみて脱出するつもりだったらしく
(その方法は私に教えてくれなかった)、
異変に気付いた彼女はすぐに檻から抜け出した。
しかし、姫の姿はなかった。積み荷も綺麗に消えて
おり、賊の類の仕業である可能性が濃厚であった。
ひとまず彼女は死体の鎧等を拝借し、騎士に化け、
残された馬と馬車と彼らの装備を近くの町で金に換え
姫を取り戻す準備を整えるつもりだった。
そして、私はそれを阻む障害となりえるわけであり、
分け前を出すから協力してくれ、という事だ。
私の素性とか、戦闘能力だとか、色々と幸運な誤解を
受けたままであるので、そのような面倒ではあるが
今の私にとっては有難い申し出がなされているわけだ。
彼女は鎧を外すと、全裸姿のままテーブルの上のサンドイッチを
掴み、口へと運んだ。
私はその光景を淡々とみつめるように努めた。




