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昨日見た犬の品種と鳴き声について語る事は一度としてなく
私と彼女は近くの街に着いた。
聞くところによると、ここは大陸の
南東に位置する場所で、海の側でありながら
降雪の多い山で有名な地域らしい。
大陸の端でありながら、その街は
非常に規模が大きく活気があるとのことだった。
私が特に何の傷を負うこと無く彼女
の協力を得てここまでこれたのは
私の頓珍漢な応答のおかげでもあった。
「「私をどうするつもりだ」」
と、彼女と私は同時に同じ言葉を発した。
咄嗟に私は今まで使ってきた独自の処世術
を繰り出した。
何の事はない、ただ暗い瞳で、何か考えが
あるのか、そうでないのか、そんな判断も
し難い必要最小限の動作と所作で相手を
伺うのだ。
前職でも今の職においても、これは
なかなか役に立っていた。
相手に後ろめたい事や弱味があれば、
ほろほろとそれらが崩れもれだしてくる。
とはいえ、あのような
非日常かつ危機的な場面では、
通常しようとも思わないが。
テンパっていたが故に、
それができたのであろう。
まぁ結果として、彼女は
自身が偽物の騎士であり、
広義の泥棒であるということも
露呈してしまったのだ。




