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雪解けと不作為の備忘録
その夜、青年は山を村から眺め続けた。
竜の寿命が長いとはいえ、この村では
作物が取れないということが当たり前となるくらいに
氷竜がここにとどまっているのは異常だ。
この村の問題を解決するのは比較的容易である。
ただ、できるだけ各方面に穏便に、かつ自分に
利益が落ちるように解決を図りたいのだ。
そのためにはまだ、知らなければならない事がある。
欲に惑わされ、タイミングを逃せば
大魚は釣り針から外れ、雪は解け泥水となる。
青年としては差し迫ってはいないがゆえに
自制心と俯瞰の心で見定めていかなければならない。
そのような課題も時には心地よいもので、
暖かさの気配を含んだ風に巻かれながら
青年はクッキーをほおばり、山を見つめる。




