滝、三度彩られ横断せし
「氷竜というのは断片的に人間の言葉を理解できます。」
ただ、と一呼吸おく。
「その個人差・・・個体差ですか。それが大きく、
まったく言葉を理解できない、野獣に近いものも
多いです。ええ、こっちの方が普通ですね。
・・・恐らくですが、ここの山にいる奴は
きっと頭のいい方ですよ。ええ、言葉が通じる
度合いが大きい方だという意味で。
といっても、竜言語という竜同士で会話するための言葉であり、
僕達の言語とはまったく違います。竜の種類によっても
言葉が通じ合わなかったりもします。」
唐突な青年からの情報に村長たちは驚きの表情を隠せなかった。
いくら竜といえども、会話をするほどの知能があるとは思っていなかった。
地方によってこの手の理解度には差が大きい。王都や魔物に関する
知識に明るい地域では、竜だけでなく、一部の魔物はそういう言語を
扱えたり、人間と意思疎通にできるものも少ないことを知っている。
世界は広大で情報の共有も極めて限定的であった。
魔物の存在すら信じない地域もあるくらいだ。
博識すぎる事による疑念を払拭しようと、
青年はたどたどしく説明する。
「・・・僕は、そういうのに普通の人達よりかは、
慣れていて、知識もある方です。ええ、まぁ仕事上でもあり、
今までの経験上でもそうです。」
村長はやや訝しげな、
副村長はやや合点がいったような顔をしている。
「加えてですが」
話が本筋に向かおうとしたところで、
村長が副村長に目配せをした。
副村長は席をたち、
部屋を出ていってしまった。
村長はさぁ気にせず続けてという顔持ちで
再び青年の方に意識を向けた。




