表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ため息の海

作者: Caelum

秋のひやりとした月とともに

いつからだろう。君の不幸がおいしく感じられるようになったのは。

人の不幸は蜜の味というけれど、僕にとってのそれはチョコレートのように甘ったるくて、鼻に抜ける何とも言えない苦みが気持ち悪い、癖になるものになってしまった。


ため息が溶けていく夜は、なんにもないようであった。ほんとに。なんにも。


ふと考えた。

この星の広い広い海に一滴の毒物を垂らしても、大事にはならないだろう。

この広い海に、タンカー一隻分の劇薬をたれ流したら、少しは影響が出てくるかもしれない。

この海に、世界の真水と同量の毒が流入したら多くの生き物が死ぬだろう。

この海に、いったいいくらの毒をたれ流したら、海は毒薬と同じものになるのだろう。


じゃあこの空気は、と僕は思った。

僕らはいつも誰かのため息を吸っているのだ。


何億もの人間が、ほぼ毎日吐き出すため息は、

もはや空気を汚し、幸せを殺し、何もかもを失くして、ため息に変わっていくんだ。


きっとこれが、誰もが本当に幸せになれない理由なんだと思った。

君の不幸がくれる、君のため息は、僕の空気なのだから。


さぁもっと、君のため息を。



最後まで読んでいただきありがとうございます。


読み終わったあと、皆さんも気づかないうちに

毒を吐いてしまっていたらこっちのものです


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ